第290話 ま、もってあと一週間ってところかしら? せいぜい楽しませてもらうわ(笑)
ナスターシャに続いてウェルシアを失ったわたしは、新しい美少女メイドのアイリーンを雇った。
「わたしは掃除をするように命じたはずだけど?」
そう言った私の指にはほんのわずか、ちみっとホコリがついている。
さんざん窓の桟を指でこすってようやくついたホコリだ。
つまりいつもの難癖だった。
今日からはこの新人美少女メイドをいびり倒す予定(笑)
「申し訳ありません、直ちに掃除しなおしますので!」
「その間、わたしは部屋にいられないのだけれど? あなたはメイドの分際で、わたしを部屋から追い出そうというの?」
「め、滅相もございません! あの、その……」
「ほんと使えないグズね。もういいわ、さがりなさい。顔を見るのも不愉快よ」
「ほ、本当に申し訳ございませんでした……し、失礼いたします……」
肩を落として去っていくアイリーンを、わたしは嫌らしいにやにや笑いとともに見送った。
「ま、もってあと一週間ってところかしら? 辞めるのが先か、心が病むのが先か。せいぜい楽しませてもらうわ(笑)」
~~後日。
「くっ、あれからもう一か月もたつっていうのに、意外に粘るわね……何を言われても全然メゲナイし、なんなのこいつ……! 頭おかしいんじゃないの!?」
アイリーンはわたしのいびりに鋼の意思でもって耐え抜いていた。
しかも指摘したところを次からはそれはもう完璧にこなすせいで、わたしのいびりネタも尽き始めつつあるのだ。
「もはやわたしの気分だけで普段とは逆のことを言うたぐいの難癖以外は、ほぼ不可能なレベル……!!」
なんかもう負けた気分になる今日この頃、わたしのストレスはマッハだった。
「ほんっと意味が分かんないんだけど? ここまできたらもうマゾなんじゃない!?」
そう考えたらなんだか背中がぞぞっとした。
やだもう風邪かしら?
~~アイリーン~~
今日もマリア様は素敵でいらっしゃいました。
特に、いたらぬ私を叱る時の嗜虐的な瞳……思い出すだけでゾクゾクしちゃいます。
だってそうでしょう?
些細なミスをみつけてはねちねちと指摘してくる――つまりその間は私のことだけを、真剣に見て考えて感じてくれているということ……!
私がより完璧に仕事をすればするほど、マリア様もより真剣に私の粗探しをしてくれるんですから。
これからももっともっと完璧に仕事をこなしてみせます……!
ああ、マリア様に怒られるたびに、私の内またをしとどに濡らす温かいもの……。
マリア様にばれないように必死だったのですから。
本当にマリア様ったら、罪なお・か・た……。
この下腹部より流れる温かいものが、股ぐらを濡らすしとどの潤いが、これが恋――いえ愛!
ああ、マリア様、痴情にふける憐れなメス豚をもっともっと叱ってくださいな……!