第282話 あてんしょん、ぷりーず
「じゃあ話もいろいろ一段落したところで、俺たちはそろそろお暇するよ。サーシャも連絡がつかなくて不安がってるかもしれないし」
「では妾の背に乗るがよいのじゃ。ひとっ飛びと行くのじゃ」
その言葉とともに《神焉竜》が身体を地面に這わせた。
そこへ、まずはハヅキとトワの幼女2人がテキパキと《神焉竜》に乗り込んでゆく。
ああ、この2人はほんと手のかからないよくできた子たちだなぁ……。
「あてんしょん、ぷりーず」
「ご丁寧にありがとうございます」
「……ほんと、どこでそんな言葉覚えてくるの?」
「うにゅ?」
幼女2人に続いて、次はシロガネが乗り込んだ。
すでに白銀の狼モードから、小学校高学年くらいの女の子スタイルへと変身している。
そして、
「毎度すみません……お尻が重くて……」
「なーに、これくらいいいってことよ」
むしろ役得的な?
最後にウヅキのお尻をもにゅっと押し上げてあげて、
「よーし、全員乗ったなー」
そのあと俺も乗り込んでこれで全員――と思ったら。
「ではクレアもご一緒しますー」
言って、巫女エルフちゃんが乗り込んできた。
「あ、巫女エルフちゃんも一緒にくるんだ?」
「巫女エルフですからー」
「え、あ、おお……」
すごいパワーワードだな巫女エルフ。
もはやそう言われると「あ、そうかな?」って条件反射で思っちゃうもんな。
「はおー様のおそばにて、ご奉仕するのが巫女エルフのお役目ですからー」
「ご奉仕ね、うん、ご奉仕……いいと思うよ!」
むふー!
さらには、
「~~~~♪」
精霊さんがピューっと飛んで乗り込んでくる。
「えっと、精霊さんも一緒にくるの?」
「もちろん! アタシが引きこもってた間に世界がどんだけ変わったか、この目で見てみたいんだよねー!」
「そっか……そうだよな」
精霊さんはずっとエルフ村に縛られてきたんだもんな……。
広い世界を、変わった世界を見てみたいよな。
「それにアンタと一緒なら、面白いことには事欠かなそうじゃない? なんせ《神滅覇王》だかんね! すでにSS級に囲まれてる人生がフツーなわけないし!」
「俺も普通の人生を送る気はないかな」
俺はこの異世界で最高のモテモテハーレムを作るのだから……!
「それにほら、アンタってばなんか苦労してそうだし? 苦労の数だけドラマあり、よ!」
「俺の苦労を楽しむ気満々だね……」
相変わらずいちいち一言余計な精霊さんだった。
ほんと、悪気はないんだよな……思ったことを裏表なくそのまま言っちゃうだけで。
そんな感じで。
大所帯となった俺たちは《神焉竜》の背に乗って森を一気に超えて――。
そしてサクライ家のあるアウド村の少し手前で降りた。
《神焉竜》もきれいなお姉さんへと姿を変える。
巨大な黒竜が村に舞い降りたのを見た村の年寄りたちが、びっくりしすぎてショック死しないようにとの配慮だった。
そのまま俺を中心にわいわい言いながら、ピクニックよろしく街道を歩いていくと、すぐにサクライ家のあるアウド村に着く――、
「なん……だと……?」
そこにあったのは信じられないような光景だった。
「アウド村が……アウド村が……無くなっている!?」
妖魔の群れを全滅させた村の入り口も。
踏み固められただけの小道も。
薪割りをした広場も――。
その全てがきれいさっぱり、なくなっていたのだ――。
「無敵転生 ――全チート、フル装備。」 この異世界で、ハーレムマスターに俺はなる! ~最強チートフル装備で異世界で人生やりなおし~
第四部「古の盟約」 完。
第四部もお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
この後は「知恵比べ」で少しだけ登場した「聖母マリア」の外伝を10話ほど挟んだのち、第五部へと続きます。
外伝は直接本編とは関係ありませんが、セーヤたちの本編から数百年ほど昔のお話になります。
作者の息抜きというか休養も兼ねておりますので、ご理解いただけると幸いです(ぺこり