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第277話 1000年後にリベンジよ! 今度は負けないかんね!

「え、精霊さん……?」


 それは見間違えるはずもない、すっかり元の20cmサイズに戻った精霊さんだった。

 生前(?)と変わらず、ふわふわと浮いている。


「うー、死ぬかと思った! っていうか死んだ! 間違いなく今アタシ死んでたよ!? そしてそこから復活してみせたアタシってばマジ有能……! 戦いには負けたけど、でも実質アタシの勝ち、みたいな!?」


 相も変わらずのハイテンションな精霊さんが、そこにはいたのだった――!


 もちろんここまでのダメージはかなりのものだったようで、


精霊原子(マナ)がすっからかんだよ……」

 その言葉通り、精霊さんは身体が一部透けたり明滅したりしちゃっていた。


 そんなリニューアルしたニュー精霊さんを見て、


「チッ――」


 《神焉竜(しんえんりゅう)》が露骨に舌打ちをかましながら口を開いた。

 その口腔内には、膨大な量の漆黒の粒子が集まりはじめて――、


「待て! まてまてまてまてまて、待てぇぇぇぇぇぇいっ!!」


 俺は、もう一度殺る気満々の《神焉竜(しんえんりゅう)》を全力で止めた。

 必死に止めた。

 それはもうあらん限りの声を振り絞って止めたのだった。


「いちおう確認するんだけど、今お前なにしようとした!?」


「それはもちろん《神焉の黒き炎(ラグナロク)》でもって、今一度消し炭にしてやろうとしたのじゃが?」


 さも当たり前なことのように言う《神焉竜(しんえんりゅう)》。


「残念ながらそれはノー! ノーサンキュー! もう戦いは終わったんだ、だから暴力ももう終わりだ! な! ほら、子供も見てるから、な!? ここからは平和裏に対話で解決しようじゃあないか! 話せばわかる、人類みなきょうだい!」


(わらわ)は人ではなくドラゴンなのじゃ? そしてそやつも精霊じゃぞ?」


「うぐっ、確かに……いや、言葉は種族の壁だって越えられる! 精霊さんもそれでいいよな!?」


「まー、アタシは負けたしねー。言うこと聞かざるを得ないっていうか? それでもいろいろ発散できたから、わりかし気分はスッキリしてるかも? ってことで、また1000年後にリベンジよ! 今度は負けないかんね!」


「1000年後にリベンジマッチ……ほんとポジティブだよね、精霊さん……」

「頭のネジが完全に緩んでおるのじゃ……」


 とかなんとかわいわいやりとりをしつつ、俺たちは巫女エルフちゃんたちのところへと戻っていった。


 …………

 ……


「さすがです、セーヤさん!」

 戻った俺をまず迎えてくれたのは、ウヅキの満開の笑顔&お決まりのフレーズだ。


 さらには、


「はおー様、おつとめご苦労(くろー)さまですー」

「うにゅ、しんわざ、すごかった」

「相反する両極を束ねた幻想の黄金漆黒剣――さすがは《神滅覇王(しんめつはおう)》なのです」


 巫女エルフちゃん、ハヅキ、トワと、女の子たちから次々と賛辞の声が飛んできて――。


「ははっ、それでもないさ(きらりーん!」


 モテモテハーレムの主を満喫してまんざらでもない――ごめんなさい、今俺は嘘をつきました。

 ラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』をここぞとばかりにガツンと使い、女の子たちからはさらなる賞賛を受けて――心底ご満悦な俺だった。


 精霊さんこと《精霊神竜》との戦いは、こうして幕を閉じた――。

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