第275話 《暁宵重ナリシ幻想ノ滅焉剣》――レーヴァテイン・アンビバレント
《精霊神竜》の前方に展開した高速回転する巨大魔方陣。
そこから放たれたのは、5色の破滅の煌めきに彩られた美しすぎる超絶破壊光線だった。
《激烈極光!極超新星爆発!》。
それは《神焉竜》の《神焉の黒き炎》さえも凌駕する、全てを破壊し尽くす極光の巨砲だ――!
その破滅の極光を――、
「おおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ―――――――っっっっっっっ!!!!」
俺は、今や100mに届こうかという長大無比な黄金漆黒神剣でもって――、
「《暁宵重ナリシ幻想ノ滅焉剣》――《レーヴァテイン・アンビバレント》!!」
渾身の力をこめて叩きつけた――!!
黄金と漆黒。
それは決して交わることのない両の極。
その互いに互いを喰らいあい相克する光と闇を束ね、一つの力に織りなした――、
「これは始まりと終わりが並び立つ、両の極みの幻想剣だ――!」
《神滅覇王》と《精霊神竜》、互いが誇る必滅の奥義と奥義が――、
《暁宵重ナリシ幻想ノ滅焉剣》と《激烈極光!極超新星爆発!》が――、
「おおおおおおおぉぉぉぉっっっっ!!!!」
「うぉりゃぁぁぁ!!」
真正面から激突する――!
「出力的にはほぼ互角か!? ……いや俺たちの方が押している!」
初撃の勢いそのままに押しこもうとした手は――しかし、半ばでピクリとも動かなくなってしまう。
「ぬぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ! 誰がミジンコだゴルァッ!!」
《精霊神竜》が不屈のド根性で抗う――どころか、なんとまさか押し返してきたからだ――!
「この――っ! ほんとしぶとい……!」
「まったくなのじゃ……! この幻想剣は妾と主様の愛の証……! ぼっち小精霊ごときに後れをとることは、これは絶対に許されぬこと……!」
《神焉竜》が女のプライドにかけて絶対に押し負けるものかと、《精霊神竜》にだけは負けるものかと、べらぼうな量の黒粒子を俺へと送り込んでくる――!
さらには増え続ける黒粒子に呼応するように、本調子ではないはずの《天照》も吼えるように猛りながら、これでもかと黄金の粒子を生み出しはじめて――!
勢いを取り戻した《暁宵重ナリシ幻想ノ滅焉剣》が、再び押し返してゆく――!
全てを照らし染める黄金と、全てを塗りつぶす漆黒。
幻想の世界で互いに互いを刺激しあい高めあった2つの力によって、ひときわ威力を増した《暁宵重ナリシ幻想ノ滅焉剣》が――、
「くっ、もうだめっ……気力と体力の限界――」
ついに《激烈極光!極超新星爆発!》を呑みこみ、平らげてゆく――!
「終わりだ《精霊神竜》! 俺たちの、勝ちだ……!」
《激烈極光!極超新星爆発!》を粉砕した《暁宵重ナリシ幻想ノ滅焉剣》が、《精霊神竜》へと到達して――、
「ぅ……ぁ……」
神滅と神焉、2つの最強の合わせ技が、《精霊神竜》を激しく打ちたたいた――!
必滅の幻想覇王剣の直撃を受けた《精霊神竜》は、抵抗むなしくすぐに神竜の姿を保てなくなって――、
「きゅぅ……」
元の20cmほどの小さな精霊さんへと、その姿を変化させたのだった。
これで後は振り抜くだけ――だったんだけど、
「安心しろ。命までは獲らねーよ、これくらいで許してやる」
100メートル超の剣を振り抜く手を止めると、俺はそうそっと語りかけた――。