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第28話 最強S級チート『剣聖』 2

「おいガキ、さっきから聞いてりゃ、この数の妖魔の群れを前にしてずいぶんと威勢がいいじゃねぇか! その度胸だけは褒めてやるぜ!」

 ヤツザキトロールが無駄にでかい声でもって喚き散らす。


「俺は単に事実を言ったまでだけど?」

「かっはっはは! 事実、事実ときたか! たかが人族のチビガキごときが、頭のねじでも飛んでるみたいだな!」


 ヤツザキトロールにつられるようにして、ぎゃはははと低級妖魔どもが一斉に笑いだした。


「安心しろ、今から二度とそんな生意気な口がきけないように、捻りつぶしてやるからよ! お? なんだなんだ! よく見りゃ、俺好みの揉み応えのあるいい乳をしたメスがいるじゃねぇか!」


「ひっ――!」

 卑猥な言葉と好色な視線を投げつけられたウヅキが、おびえるように後ずさりする。


「おい、お前ら、他の奴は好きにしろ。だが、あのメスだけは殺すな。生け捕りにして連れてこい、俺様の愛玩動物として飼ってやるからよ!」

 またもや一斉に下品な笑いを始める妖魔ども。


「……今、なんて言った?」


「お、なんだ? 怒ったのか? ああ、あのメスはお前の女か。だったらちょうどいい、てめぇを半殺しにしたあと、目の前であのメスを俺様の絶倫でひぃひぃ言わせてやるぜ。これなしでは生きられなくなるように穴という穴の奥の奥まで、徹底的になぁ! がっはははは――!」

 イラっ……!


「いい加減、黙れよボス猿。耳が腐る」

「あぁ? なんだと? 誰がボス猿だと? もういっぺん言ってみろ!」


「お前みたいのと会話するのははっきり言って時間の無駄だ。何より(かん)に障って気分が悪い。御託(ごたく)はいいから、つべこべ言わずにさっさとかかってこいと、そう言ったんだ」


「くはぁっ! ほんと口のへらねぇ青二才だな。いいだろう、俺様が現実ってもんを教えてやるぜ!」

「できるもんならやってみろ。ただしその代償はもらうぞ――お前ら全員の命でな」


「抜かせ――! おい、お前ら! まずは手始めにあのスカした小僧を半殺しにしてやれ! ただし絶対に殺すなよ! 半殺しにして、目の前であのメスを俺様のイチモツで犯し尽くしてやるんだからよぉ!」


 ぎゃはははと沸きに沸く妖魔ども。

 まったく、こんな風に女の子を(おとし)(はずかし)めて何が楽しいんだか。


「やれやれ――本当にイラつく低脳どもだ――」

「……てめぇも、いつまでもスカしてんじゃねぇぞ!」


「これ以上話してもなんの益もないだろ? 死にたい奴から、とっととかかってこい。あの世で後悔させてやる」

 早く来いよと、左手の人差し指と中指で、くいくいと挑発してやる。


「このクソガキ――! おい、お前ら! なにをちんたらしてんだ、とっとと行かねぇか! 軽くぶちのめしてやれ!」


 号令一下(いっか)、ヤツザキトロールの指示を受けた低級妖魔どもが俺のもとへと殺到した。

 手に持ったこん棒や粗末な剣を振り上げ、俺を叩き潰さんと津波のように押し寄せる。


「セーヤさん、危ないです!」


 そんなウヅキの悲痛な叫び声が聞こえた瞬間――5つの首が、()んだ。

 神速の踏み込みからの(きら)めく一閃が、最前列にいた下級妖魔5体の首を瞬時に()ね飛ばしたのだ。


「は……?」

 何が起こったか理解できずに、一瞬呆ける妖魔たち。

 もちろんその隙を逃す理由などない。


「ちゃんと前を見ていないと――死ぬぞ」

 俺が踏み込むと同時に、さらに5つ、今度は6つと、次々と妖魔の首が空を舞っていく。


「――こっ、この野郎!」

「やっちまえ!」


 やっとのことで我に返って応戦しようとする妖魔ども。

 だが、


「遅い――!」

 俺が踏み込み日本刀(かたな)を振るうたびに、抵抗らしい抵抗もできずに、それこそ断末魔すらあげられずに首を飛ばされる妖魔たち。

 俺には触れることすらできず、ただただ斬られては力なく崩れ落ちる。


「俺じゃなく村人を狙えば少しは俺も手間取ったろうに、よりにもよって俺を狙うとはね。まったく,指揮官が無能だと部下は悲惨だな」


 こうしてわずか1分少々で、100を超える低級妖魔どもは全て首を()ねられ、文字通り全滅したのだった。


「全部で108体、ちょうど煩悩の数だな。縁起がいいのか悪いのか」

 確認するまでもなかったのだが、念のため日本刀(かたな)を見てみると、これだけの数を斬ったにもかかわらず血の跡どころか汚れ一つついていない。


 最強S級チート『剣聖』の超絶技巧もさることながら、この日本刀(かたな)自体が、強力な力を内包しているのだ。

 その力の本質はS級チート『剣聖』の能力をもってしても、完全には把握しきれてはいない。


「ちょっとやりすぎたかな? ウヅキを(おとし)められて、ついカチンときちゃったんだよな」


 今になってやっと理解が追いついたのか、いつの間にか成り行きを遠巻きに見ていた村人たちからドッと歓声が巻き起こった。

 「さすがです、セーヤさん!」という声も聞こえたので、軽く手を挙げて応えてあげる。


「さてヤツザキトロール、これでお仲間はみんな墓の下だぜ?」

 曇り一つない切っ先を、ヤツザキトロールへと向けて俺は宣告した。


「次はお前の番だ。ウヅキを(はずかし)めたこと、地獄の底で未来永劫、後悔させてやる――」

この度は本作をお読みいただき誠にありがとうございました。

よろしければブックマークと評価をいただければとても嬉しく思います。

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