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第272話 Don’t think、feel.

「限界を超えて燃え誇れ、『固有神聖』《天照(アマテラス)》――!」


 俺が裂帛の気合いとともに、《天照(アマテラス)》を限界突破で稼働させようとした時だった――、


主様(ぬしさま)(わらわ)の力を貸すのじゃ」

 《神焉竜(しんえんりゅう)》がそう短く告げてきたのは――。


「えっと、《神焉竜(しんえんりゅう)》?」

 その意図するところを汲みきれなかった俺に、


「今の主様(ぬしさま)は全力には程遠い――であれば、共に戦う(わらわ)が力を貸すのは、これは当然のことじゃろうて?」


 さも当たり前のことであるかのように言ってくる《神焉竜(しんえんりゅう)》。


 《神滅覇王(しんめつはおう)》がフルパワーが出せない中、力を貸してくれると言ってくれるのは素直にありがたい。

 とは言うもののだ。


「力を貸すって言われてもな……」


 ドラゴンと心をかわす騎乗系S級チート《竜騎士(リュウナイト)》によって、人馬一体ならぬ人竜一体となった俺たちは、すでに阿吽の呼吸で意志の疎通ができるほどに、完全で完璧な100%の共闘状態にあったからだ。


 であれば。


「気持ちは嬉しいんだけどさ? これ以上いったいどうやって力を貸すって言うんだ……?」

 そんな疑問を俺が抱いてしまったのも、これは無理もないことだろう。


 しかし《神焉竜(しんえんりゅう)》は俺を背中に乗せたまま、世間話でもするかのようにさらっと言葉を続けていく。


「なに、そう難しく考えることはないのじゃ。(わらわ)主様(ぬしさま)、これほどまでに心を通わせあっておるのじゃ。まずは少し肩の力を抜いて、周囲の力の流れに身を委ねてみるのじゃ」


「肩の力を抜いて、周囲の力の流れに身を委ねる……」


 今まさに《精霊神竜》との最終決戦をやろうとしている中で、いきなりそんな突拍子もないことを言われてもな……と、そう思わなくはなかった。


「なに、主様(ぬしさま)ならきっとすぐに感じ取れるはずじゃよ」


 だけど同時に。

 何の根拠も勝算ないことを《神焉竜(しんえんりゅう)》が言うはずはないということを、俺は確信をもって理解していたわけで――!


 だったら――!

 まずはやってみる、話はそれからだ!


「すーー、はーー」

 俺は大きく一度、深呼吸をするを――、


「知覚系S級チート『龍眼』発動!」


 《神滅覇王(しんめつはおう)》によって超絶強化された『龍眼』を使って、周囲の力の流れにアクセスを開始。

 より深く深く、力の流れを紐解いてゆく――。


「Don’t think、feel. 考えるな、感じろ――何がどうこう言う前に、まずは《神焉竜(しんえんりゅう)》を感じるんだ――!」


 俺は《神焉竜(しんえんりゅう)》の姿を思い浮かべながら、その力を感じとり、手繰り寄せ、半ば同化するように意識を浸らせてゆく――!


「ここまでの戦いで、既に(わらわ)主様(ぬしさま)は深いところで繋がりつつある。後は最後の一欠けを埋めるだけ。大丈夫、主様(ぬしさま)なら(わらわ)の力、苦もなく扱えるはずなのじゃ――」


 迷子の子供の手を優しく引いてくれるような、二人きりのベッドの上で語る睦み言のような。

 そんな慈愛にあふれた言葉とともに――、


「これは――!」


 《神焉竜(しんえんりゅう)》から俺の中へと、溢れんばかりの膨大な黒粒子が俺の中へと流れ込んできた――!


「この力は――!!」


 阻むもの全てをことごとく終焉()わらせてきた――それは暴力的に過ぎる破壊と終焉の黒き炎――!


「『固有神聖』がリンクしている!? 《天照(アマテラス)》を通じて、《神焉竜(しんえんりゅう)》をより深く感じられるぞ――!」


 俺が扱いやすいようにと、《神焉竜(しんえんりゅう)》がそれはもう微に入り細に穿って力を制御・調整してくれているのが――《神焉竜(しんえんりゅう)》が俺を想ってくれる気持ちが、これでもかと伝わってくる――!


「パスが繋がったのじゃ……やはり主様(ぬしさま)はさすがなのじゃ! それでは(わらわ)の黒粒子、しばしの間、主様(ぬしさま)に預けようぞ。思う存分に使うがよいのじゃ――!」

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