第268話 そんな、あたしのカミカゼ・アタックが――!?
真っ向からぶつかり合った最強の矛と最強の盾はしかし。
「矛盾」することなく――、
ゴリゴリ――ッ!!
ギャリギャリギャリギャリ――――ッッ!!!!
黄金の粒子をまき散らしながら力強く輝き燃え盛る《ゴルディオン・ランス》が、
「おおおおおおおおおおおっっっっっっっっっ!!!!!!」
『断罪の真空壁』を強引に捻じ伏せ、力づくで粉砕し、そして打ち貫いた――!
「そんな、あたしのカミカゼ・アタックが――!? 『断罪の真空壁』は、1枚1枚が大きな山を支える分厚い岩盤のような硬さを持った、108層からなる多重多層複合シールドなのに――!」
「いちいち説明的なセリフだな……分かりやすくていいけど……」
ずっと思ってたんだけどさ。
かなりの説明したがり屋さんだよね、《精霊神竜》って……。
それはさておき。
その、触れるもの全てを打ち砕く破魔の黄金槍は――、
「穿て、《ゴルディオン・ランス》――!!」
『断罪の真空壁』をぶち抜いた勢いそのままに《精霊神竜》へ達すると、その極光に輝く身体を容赦なく打ち叩いた――!
「うわーーーーっ!!」
《精霊神竜》がその美しくカッコいい姿からは想像もできない、やたらとへっぽこで情けない叫び声をあげる。
「むぎゅぅ~~~~!!」
そして独楽のように激しく錐もみしながら跳ね飛ばされると、地面に向かって一直線に落下していった。
そのまま墜落するのかと思いきや――、
「がんばれアタシ……! 諦めたらそこで試合終了だから……! つらく苦しい時間を積み重ねた者にのみ、勝利の女神は微笑むんだから……!」
《精霊神竜》はまたもやハイパー根性論を見せると、再び空へと舞いあがってきたのだった。
「あの謎のド根性はさすがの妾も認めざるを得ないのじゃ……」
「正直俺も、今のは直撃させたと思ったんだけどな……? もしかして精霊とかのエネルギー体って、痛みを感じなかったりするのかな?」
「むしろ逆なのじゃ。身体という器を通さず直で外界とやりとりをするエネルギー体は、ダメージもダイレクトに感じるはずなのじゃが……」
「マジか……」
「ふふん、《精霊神竜》たるこのアタシをあまり舐めないことね……!」
俺たちの会話を聞いて――やられたのはそっちの方だってのに――なぜか大きく胸を張ってまるで勝った風に語っちゃう《精霊神竜》。
「相変わらずメンタルも凄いのじゃ……鋼メンタルなのじゃ……」
「どこまでも限りなくポジティブに振り切ってるよなぁ……」
思わず感心させられてしまった、俺と《神焉竜》だった。
「褒められて悪い気はしないわね! さすがアタシ! ま、そっちの黄金槍もなかなかやるじゃないの! 見直したわ! ――ってことは接近戦は、これは良くないわね……ってことで、アタシダーーッシュっ!!」
言うが早いか、《精霊神竜》は回れ右するとぴゅーっと逃げ出した。