第259話 《神焉竜》vs《精霊神竜》
とまぁそんな感じで。
《神滅覇王》という無駄に豪華なギャラリーに見守られながら繰り広げられる、《神焉竜》と《精霊神竜》による天上での一騎打ち。
序盤戦こそ拮抗していたバトルはしかし――、
「なっ!? 《神焉竜》が押されはじめた……!?」
次第しだいに《精霊神竜》有利な局面が増えてきたのだ――!
《神焉竜》が立て続けに被弾し、逆に《神焉竜》の攻撃は《精霊神竜》にほとんど当たらなくなってゆく――!
「そらっ! 水系最強精霊術! 『超高圧聖水散弾』!!」
言葉とともに《精霊神竜》の眼前に巨大な空色の魔方陣が浮かび上がった。
そこから圧縮水弾が雨あられと発射され、横殴りの豪雨となって《神焉竜》に襲いかかる――!
《神滅覇王》によって超絶強化された知覚系S級チート『龍眼』が、即座に反応して解析したところによれば――、
「――毎秒210発!? さっき使った時の3倍以上じゃないか……!」
しかもただ数が多いだけではない。
1発1発がまた3倍以上に速くて重いのだ――!
さしもの《神焉竜》も、弾幕によって周辺ごと面制圧されては、かわそうにもかわしきれない。
ズドドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォォンンン!!!!
「ヌぅぅゥッッ――――!!」
聖水弾による途切れることのない飽和攻撃をもろに喰らった《神焉竜》は、中空で完全に動きを止めてしまい――、
「足が止まったわ、チャンス!」
そこへ《精霊神竜》が容赦ない追撃を叩き込む――!
「吼えろ! 雷系最強精霊術! 『精霊滅殺雷振破』!!」
力ある言葉とともに、《精霊神竜》の眼前に真っ白な魔方陣が浮かび上がると、そこから十数本の雷の柱が発生した。
それらがいばらの冠のように互いに絡みあって一本の極大の雷のビームとなりながら――動けない《神焉竜》へと向かって一直線に伸びていくと――、
ズ―-――ドゥォォォォォォォォォーーーーンンンッッッッ!!!!!
どてっぱらに直撃し、耳をつんざく轟音とともに大爆発が巻き起こった!
「おい、《神焉竜》――!」
今のは文句なしに完全な直撃だった。
まさかやられちまったのか!?
「くそっ、もう四の五の言っちゃいられねぇ……!」
無理を承知で《神焉竜》の助太刀に割って入ろうと、両足に黄金の力を込めた瞬間――、
「グルァァァァァァァァァァァァァッァッッッッッ!!!!」
猛り狂った大咆哮とともに、爆発の煙を吹き飛ばして漆黒の粒子ビームが撃ち放たれた。
自慢の防御力でもって攻撃に耐えきった《神焉竜》が、必殺の《神焉の黒き炎》でもって強烈なカウンターアタックを撃ち放ったのだ――!
しかし、
「それそれ、待ってたわ! 今度は負けないかんね――!」
《精霊神竜》の眼前に、今度は漆黒の多重多層魔方陣が展開される――!
「ふっ……これがアタシの全力全開……! 必滅最強精霊術奥義!! 『銀河殲滅爆砕黒粒子砲』!!!!」
複雑怪奇に入り混じって展開された多重多層魔方陣から、常軌を逸した膨大な力を秘めた漆黒の粒子ビームが、《神焉竜》へと撃ち放たれた――!
これもご多分に漏れず、精霊さんだった時に使ったのと同じ技だった。
しかし――、
「冗談だろ……なんつうパワーだよ……!」
さっきとは比べ物にならないほどの、暴力的なまでに膨大な黒粒子の量だったのだ――!