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第248話 この精霊さんの正体はおそらく――

「考え、じゃと? ふん――っ」

 むっかー!って感じの精霊さんを、小ばかにしたように鼻で笑う《神焉竜(しんえんりゅう)》。


「そう言って偉そうにしていられるのも今のうちだかんねっ!」

 精霊さんも馬鹿にしかえすように、にやりと笑ってみせる。


 ……やばいな。

 常に上から目線&煽り耐性ゼロの《神焉竜(しんえんりゅう)》と、拡散スピーカーを搭載した歩く煽り魔の精霊さん。


 この2人の相性は極めて最悪だ……!


 しかもこの精霊さんの正体はおそらく――、

「なぁ精霊さん、さっき気付いたんだけどさ。お前ってもしかして――」


 ここまでの「知恵比べ」。

 ぶっちゃけ完全におんぶに抱っこされていた俺は、女の子たちに知的でカッコいい頼れる男であることを見せつけるべく、その正体に言及しようとして――、


「ふっふーん! 何を隠そうアタシはね! ううん、このアタシこそが! 偉大なる精霊の王、《精霊神竜》なのよ!」


 ドヤァァァァァァァァァッッッッッ!!!!


 くっ、精霊さんに超ドヤ顔で先に言われてしまったぞ……!

 なんてやつだ、俺の知的でクールで超カッコいい見せ場を奪うとは!

 だいたい、トリックを見破った探偵が華麗に種明かしする前に、洗いざらい自白する犯人がどこにいる!?


 ――って最初は思っていたんだけどね?


「最初から知っていたのじゃ?」

「ですよねー」

「うにゅ、しってた」

「右に同じです」

「巫女エルフですからー」


「……え? ……知ってた? ……最初から? ……みんな?」


 えっ?

 うええっ!!??


(わらわ)ほどになれば見ればわかるのじゃ」

「総合的に勘案してそうかな、と」

「かん」

「随所にそうである証拠が見て取れました」

「巫女エルフですからー」


 な、なんということだろうか!

 俺の頼れる女の子たちは、初期の段階で精霊さんの正体を看破していたのだ!


「な、なんて奴らなの! 全部知っていて、あえてアタシを泳がせていたってわけ!? いわゆる、おとり捜査ってやつ!? 悔しい、くぅぅ――っ!!」


 あ、良かった。

 精霊さんの頭は俺と同レベルだったよ……!

 ちょっとだけ仲間意識を感じちゃいます!


「……ところで《神滅覇王(しんめつはおう)》。アンタさっきなにか言いかけてたわよね?」

「え、あ、いえ、その……」


 くっ、言えない……!

 俺以外のみんながみんな、最初から精霊さんの正体を見抜いていたというのに、ついさっきそれに気付いたぜ、ドヤァ! とか恥ずかしすぎて言えない……!


「は? なにもごもごしてんのよ? アンタ実は陰キャのキョロ充なの? 言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよね」

「…………ぐすん」


 俺はただただ黙ってうつむいた。

 涙を必死にこらえながら……。


「なんで泣いてんのよ? ……まぁいいわ、ちょっと話がそれちゃったわね。つまり! そっちが暴力に訴えるなら、こっちも力で相手してあげるってことよ!」


 ちみっこい精霊さんが、巨大な《神焉竜(しんえんりゅう)》にビシィッ!と人差し指を差し向けた。

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