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第23話 俺はある一つの重大な結論を得るにいたった。

 翌朝。

 喧々諤々(けんけんがくがく)のセルフ激論の末に夜更かししすぎた俺は、お昼近くまで眠りこけてしまっていた。


「朝まで寝つけなかったはいえ、人の家に泊まっておいて、初っ端からこの重役出勤ぶりはちょっと感じ悪いかな……?」

 部屋を出て廊下を進みながら、ふとそんなことが頭をよぎったのは、俺が小心者だからなのだろうか。


「それにしても、夢じゃなかったんだな、異世界転生」

 朝起きてまず最初に考えたのがそのことだった。

 異世界うんぬんは実は全部夢で、目覚めたらやっぱり日本だって――なんて起きて早々に不安になったのだ。


「でも、夢じゃなかった。俺は本当に異世界転生したんだ――!」

 しかも全チートフル装備の最強イージーモードというおまけつきだ。

 と、


「「あ――っ」」

 居間へと向かう廊下の途中で、とてとてやってくるウヅキと鉢合わせた。


「お、おはようございます、セーヤさん」

「う、うん、おはよう、ウヅキ」


「その、ちょうど起こしにいこうかなって、思ってたんです」

「そ、そうなんだ。ありがとう」

 二人の間にちょっと微妙な、でも全然嫌じゃない、そんな甘酸っぱい空気が流れる。


 そのまま二人して押し黙ることしばし。

 俺の顔をみて何か言おうとするものの、視線が合った途端に照れながら目を逸らすウヅキが可愛すぎて、俺も無性に照れくさくなって、こそばゆい沈黙にお付き合いしてしまったのだった。


 だがこのまま黙っている訳にはいかない。

 なぜなら俺には、言わなければならないことがあったからだ。


 そう、俺はラブコメ系S級チート『天使と悪魔のそこまで言って委員会』によって、ある一つの重大なる結論を得るにいたったのだ。

 さすがはS級チート、効果は抜群だ!

 得た結論とはつまり、こういうことだ。


 やっぱりやらせてほしいと、今からお願いをするのだ……キリッ!


 ふっ、最悪だと、あえて言おうカスであると、(なじ)りたければ(なじ)るがいい!


 だがしかし、

「言わずに後悔するくらいなら、俺は言って後悔するんだ……!」


 いいや決して後悔なんてしないはず!

 だって今の俺はチートてんこ盛りのフル装備なんだ。

 特にラブコメ系S級チート『ただしイケメンに限る』、俺は君のこと信じているからね!


「「あの――」」

 おっと、間が悪いことに、話し出しが被ってしまった。

 お約束にもほどがあるだろうよ。

 だが今はそれすらも青春って感じで悪くない、ああ、悪くないとも!


「あの、セーヤさんからどうぞ」

「あ、いやウヅキから先に言って」


 お互いにどうぞどうぞと譲り合う。

 これまたお約束である。

 そういう奥ゆかしいところも実に可愛いくて、どんなピンチでも駆けつけて守ってあげたくさせられるね……!


「じゃ、じゃあわたしから失礼しまして……あの、昨日のことなんですけど、その色々とご迷惑をおかけしました。わたし気を失って、最後は介抱までしてもらったみたいで」


 ぺこり、とウヅキが頭を下げた。

 それはもう丁寧に、上目遣いとかまったくせずに、つむじが見えるくらいにしっかりと頭を下げていたのだ。


 サイドテールが馬のシッポみたいに可愛らしく揺れ、おっぱいもたゆんと揺れ――前かがみになったことで激しく重力に引かれている……っ!

 そんなウヅキの姿からは、真摯な感謝の念があふれていた。

 本当にいい子だよな……うん。


「ううん、ぜんぜん気にしないでいいよ。そんな風にされると俺のほうが恐縮するって言うか。それにほら、いろいろ役得もあったしね」

「わわっ、それは、その、お見苦しいものをお見せしまして……」


「見苦しくなんてなかったけどね。逆に見ないようにするのが大変だったっていうか」

「セーヤさんのえっち……も、もう、この話はなしですなし、なしなんです!」

「はは、オッケー、了解だ」


 はふぅ、女の子とこんなに楽しくおしゃべりできるなんて、この世界はなんて素敵なんだろう。

 よし、後はこのままいい感じの流れで、行きつくところまで俺は行くんだ――!

この度は本作をお読みいただき誠にありがとうございました。

よろしければブックマークと評価をいただければとても嬉しく思います。

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