第206話 《世界劫末セシ封印ノ黄金剣》
荷電粒子砲を猛烈にチャージしていくトワ=《スサノオ》をみて――、
「おっと、こいつはなかなかどうして……こりゃ今の出力だとATフィールドごと撃ち抜かれるか……ってことで、お前の出番だぞ神剣」
俺は荷電粒子砲を跳ね返した時に溶解して、今や柄だけになっていた《草薙の剣》にぐっと力を込めると、
「神竜より出でし、滅びと復活の象徴たる神なる剣よ、《草薙の剣》よ――!」
その偉大な神剣を神剣たらしめる伝説を、
「今ここに新たな姿となって生まれ変わるがいい――!」
高々とうたい上げる――!
俺の強烈な意志を受けた《天照》がここが勝負とばかりに燃え上がり、カウンターチートをはねのけて怒涛の勢いで黄金の力をうみだしはじめた。
「『固有神性』《ヤマタノオロチ》、発動――!」
《草薙の剣》が、まばゆいばかりの黄金光に包まれていき――そうして俺の手の中に、刃渡り3メートルの黄金の大太刀が出現した!
それは黄金の粒子を巻き上げ長さ数十メートルにもなる《|天地開闢セシ創世ノ黄金剣》と比べれば、比べようがないほどに小さな――そして静寂な剣だった。
しかし――、
「これはっ! ATフィールドを刀に何重も重ね掛けしたというのですか!?」
その本質は、最強の盾であるATフィールドを幾重にも重ねて作り上げた、全てをシャットアウトする超々高密度の絶対封印剣なのだ――!
「くっ、――ですが! 通常の荷電粒子砲は30%の出力で発射しているのに対して、《収束荷電粒子砲》は出力1000%超! 実に33倍以上です! たかが重ね掛けしたくらいで受け止めきれるはずはありません!」
「33倍か。それなら、ま、どうにかなるな」
「え――?」
トワ=《スサノオ》が場違いなほどにきょとんとした声を上げた。
「今の全力をぶっこんで100倍ATフィールドの重ね掛けにしたんだけど、うーむ、少しやりすぎだったかな……」
「まさか……100倍などと、そんな戯れごとを……」
「戯れごとかどうかはすぐにわかるさ。ほら試してみろよ? その上で《神滅覇王》のなんたるかをトワ、お前の身体と魂の、奥の奥まで刻み込んでやるからよ――!」
「く――っ、いいでしょう! もはや問答は無用です! 最強不敗の伝説とともに、塵と消え去りなさい《神滅覇王》!」
トワの構えたバスターキャノン荷電粒子砲が、俺をロックオンする。
――リーンリーンリンリンリンリンリンリンリンリン――――!!!!!
まるで連打しているように激しく鳴り響く遠い鈴の音――。
「荷電粒子充填率1200%! 《収束荷電粒子砲》、ファイアァァァァァァァ――――――ッッッッッッ!!!!」
トワのものとは思えない、昂った感情をそのままダイレクトに込めたような激声とともに、
ズブシャアアアアアアアアーーーーーーーーーッ!!!!!!!
耳をつんざく洪水のような異音とともに、破滅の粒子をまとった極太の荷電粒子ビームが発射された――!
その破滅の熱線を、
「行くぞ――これが最終決戦だ――」
迎え撃つはATフィールドを何重にも重ね掛けした結界によって作られた、何ものをも通しはしない、新たなる黄金不敗の絶対剣――!
「世界よ、劫末じろ――、《世界劫末セシ封印ノ黄金剣》!!」