第20話 異世界温泉 ~ウヅキと~
「ウ、ウヅキ……!?」
俺の置かれた状況などから、多角的かつ極めて精緻な分析を試みるに――つまりどうやら、ウヅキが温泉に入ってきたようだった。
え?
そんなもん見りゃわかるって?
悪い、今の俺はどうやらひどく動揺しているようだ。
ぺたぺたという可愛らしい足音が、俺の方へと近づいてくる。
俺がもう既に上がったものと勘違いしたのだろうか。
それともチートの発動か?
しかしラブコメ系S級チート『ラッキースケベ』は、今回に限っては発動してない。
「……いや発動しろよ……温泉で発動しないで、どこで発動する気なんだよ?」
……あっ、言っちゃった……つい思わず本音が……じゃなくてだな!
「ご、ごめん、長湯しすぎたか? この温泉、すごく気持ちよくってさ。すぐに上がるからちょっと待ってて――!」
俺はウヅキにしっかりと聞こえるようにと、少し大きめの声で「まだここにいるよ」アピールをしておく。
偶発的接近遭遇が過失であったという客観的事実は、裁判の時に大事になってくるからね!
湯気ごしに視界に入ってしまったウヅキ|(裸)《かっこはだかかっことじる》をこれ以上は見てしまわないようにと、泣いて馬謖を斬る覚悟で背を向けながら、
「……ごくり」
しかし向ける前に思いっきり目に焼き付けてしまったウヅキのたわわに実った無垢なるおっぱい……!
いやだって目の前に裸の女の子がいたら見ちゃうじゃん!
――慌てて立ち上がろうとした時だった。
「セーヤさん――」
むくむくと反り立ちはじめたいけない股間を隠しながら、背中を向けて中腰になった俺の動きを遮るようにして、ウヅキが身体を寄せてきたのだ。
「う、ううう、ウヅキ――!?」
中途半端に背を向けて立ち上がりかけていた俺に、破壊力抜群のふかふかダブルメロンぱいが押し当てられる。
押し当てられた双丘は、むにゅりとたわんで形を変え、
「――こフぅ」
その圧倒的な存在感の前に――背中に当たってるから後ろに、か? いや今はそんなことはどうでもいい――思わず変な声が出てしまった。
しかしそれも無理からぬことではないだろうか。
だってさ、むにゅむにゅがもぎゅもぎゅっとしてて、しかも今はお互いに裸なのだ。
つまりウヅキのおっぱいが俺の背中にダイレクトに押し付けられているんだよ!
FとかGとかHとか、そんなカテゴリが全部どんぐりの背比べに思えるような圧倒的な銀河級おっぱいが、お、おおお、俺の背中に押し当てられてるんだよ!?
その至上の感触たるや、
「――――」
とても言葉では言い表せるようなチンケなものではなく。
ただただ俺の下半身がむくむくと鎌首を持ち上げて、俺の心の内をこれ以上なく雄弁に代弁してくれていた。
「セーヤさん……男らしくて硬いです……」
「ど、どこが……っ!?」
「素敵な背中です……」
「あ、うん、そうだよね、硬いのは背中だよね……っ!」
はい、今、完全に先走っている人がいました!
「あの、ウヅキ……その、ど、どうしたんだ?」
ヤバい。
背中に当たる感触がヤバすぎる。
柔らかすぎてマジヤバい!
俺の語彙もマジヤバい!
だって仕方ないだろう、背中に触れる感触ただ一点に俺の意識は全振りしていて、余計な思考にリソースを割くことを脳が拒否しているのだ。
しかも柔らかい巨大マシュマロの中に、左右に1点ずつ固いぽっちが……あったりなかったりして!?
なにこれ? なんなの!?
いやわかってるよ、分かっているんだけども!
そこに何があるかを認識してしまえば、俺はもう立ち止まれなくなってしまうこと必至!
全速前進ヨーソロでイケイケなラブコメ系A級チート『止まるんじゃねぇぞ……』は、既に準備万端で待機しちゃってるし!
股間に目をやると、それはもう限界突破で雄々しく天に向かってそそり立っちゃってるし!
「お、おおおお落ち着け、落ち着くんだ麻奈志漏誠也……まだまだ全然ちっとも焦るような時間帯じゃない……!」
まずは深呼吸を、深呼吸をするんだ――!
「わたしには、こんなことくらいしかできないですから」
「こ、こんなことって――ご、ごくり」
「妖魔から助けていただいて、だけでなくハヅキの病も癒していただいて……」
はぅ……首元に、ウヅキの吐息が……!
「ハヅキのあんな元気な姿を見られるなんて……なのにその恩を返せるものは、セーヤさんのためにできることは、わたしには何もなくて……だから――」
「だ、だから……?」
「だからセーヤさん……わたしの初めてを貰ってください――わたしを女にしてください」
「――――!」
き、き、き、キターーー!
なんか最後の最後で、すごい展開来ちゃったんですけど!?
終わったと思っていた異世界転生1日目は、実はここからが本番だった! 的な感じなんですけど!?
32年間、他人がのぼるのを指をくわえて見ているしかできなかった大人の階段を、異世界転生1日目にして俺はたったかのぼってしまうのか!?
いつのぼるの!?
今でしょ!
異世界転生、マジ半端ないっす!
「セーヤさん……」
そのまま、俺はウヅキに後ろから優しく抱きしめられた。
さらに強くむにゅりと押し付けられる、圧倒的なまでのおっぱい。
前へと回された両の手が胸元を優しくさすると、腹から下腹部へと次第に下へと下へと降りていく。
「――ぁっ」
触れるか触れないかの優しいタッチに、思わず情けない声があがってしまった。
ウヅキの手が艶めかしくうごめくたびに、えもいわれぬ快感が腰から背筋をかけ上っていく。
あと少しで俺のリトルまなしーに触れるというところで、急にウヅキの手が止まった。
「ここで焦らしてくる、だと……!?」
くっ、なんていう高度な焦らしプレイなんだ……!
この先に待つであろう魅惑の展開を前に、まさかの突然のおあずけを喰らって、俺の情動がたぎりにたぎる。
「ウヅキ、俺、もう――」
我慢できない、と手を取って振り向こうとした時だった。
――ウヅキの手が震えていることに気が気付いたのは。
ウヅキの女の子らしい可愛い手が、まるで怯えるように震えているのが見えたのは――
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