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第193話 ひらく、どあに、ごちゅうい

「うにゅ、かってに、ひらいた?」

「おいおい、これってまさか自動ドアかよ……」


 岩が左右に開いたのを見て、ハヅキが驚いて目を丸くした。


「ひらく、どあに、ごちゅうい」

「……どこでそんな言葉覚えてくるの?」

「うにゅ?」


 そして開いたと同時に、室内には電気の光と思しき人工の明かりが点灯して――、


「外側を岩肌に擬装してたのか……なんかファンタジー異世界だったのが急にSFになったな……ともあれ、ちょっと中を見てみるか」


「だ、だいじょうぶ?」

 突然の展開にハヅキが不安そうに聞いてきたので、


「俺は強いから心配なんていらないよ」

「ぁ……」

 俺はやわらかく微笑むと、きゅっと服の裾を掴んできたハヅキの小さなおててを、優しくそっと握ってあげた。


「それにこっちの方が慣れてるからな」

「こっち?」


 おっと――、

「ううん、なんでもない。ま、なにかあったら俺が全力で守ってやるから安心してていいぞ」


「まなしーが、いうなら、あんしん」

 ハヅキがニコッと微笑んだ。


「トワもあまり俺から離れるなよ」

「……」


 ん、あれ?

 返事がない。


「トワ? どうしたんだ?」

「……あ。すみません、少しぼーっとしていました」


 そう言ってトワは俺ではなくハヅキの袖をちょこんと掴んだ。

 了解ということなのだろう。

 それにしてもほんとトワはハヅキに懐いてるな。

 仲のいいお友達って感じでほっこりするね。


「じゃあさっそく中に入ってみるか――」

 そうして踏み出した俺たちが目にしたのは――、


「なんだろう、この部屋。えらく広いな……」

 野球場かよってくらいにだだっぴろい大広間だった。


「うにゅ、うえも、たかい」

 ハヅキに言われて見上げると、天井は30メートルくらいあるようだ。

 そして壁も天井もその全てが、無機質で人工的な金属によっておおわれていたのだ。


「体育館をさらにでかくしたような……これってもしかして格納庫か?」

「すごい、おそと、みたい」

 ふぇーって感じできょろきょろと見渡すハヅキ。


「っと、そうだ。トワはなにか思い出したこととかないか?」

「……よく分かりません。ですがなんとなく懐かしいような気もします」

「やっぱなにかしら関係はありそうだな……よし、奥の扉のところまで行ってみよう――」


 大広間の奥には一つの大きな扉があって、俺たちはそこを目指して歩いていったんだけど――、


「あ、あっ、ああ――っ!」

 そのちょうど中ほど辺りで、急にトワが苦しみ出したのだ。


「トワ、おい、急にどうしたんだよ!?」

「あっ、うっ、ぐぅっ……! ここは……ここは、だめです……! ここにいては、だめです……! だめ、トワが、トワでなくなる――!」


 尋常じゃない様子で悶えるように苦しみ出したトワ。


「おい、トワ! しっかりしろ、おい!」

「早く離れないと、だめ、あ、あ、アああああああァァァァぁぁぁぁァアアアあああああAAAアアアッッッ!!!!」

 絶叫するトワの瞳は、いつの間にか血よりも赤い真紅の輝きに染まっていて――!


「トワ!?」

 さらに真っ赤なオーラがトワの身体から吹き出しはじめたのだ――!


「おい、おいってば! ――っ!?」

 ――瞬間、俺はハヅキを抱えてその場を飛びのいた!

 なぜなら、知覚系S級チート『龍眼』が猛烈な殺意を感知したからだ。


 その直後、


 ドゴォォォォォォーーーーーーンン!!!!


 轟音とともに俺とハヅキの居た場所へと、奥にあった扉をぶち破った巨大な何かが飛び込んできて――!


「あっぶねぇ――って、はぁ!? いや、え!? なん……だと……? いやほんと、なん……だと……!?」


 その巨大な物体を見た俺が、驚愕の言葉を並べ立ててしまったのは無理もないことではないだろうか?


 だってその全高8メートルほどの人型の巨人は、いうなればそう――、


「ロボットおっ!?」

 だったのだから――!

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