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第185話 マノワトちゃん(仮) vs トワ

「まの、わと?」

 なんだそりゃ……?


「それが……なまえ?」

「……分かりません。ですが何もわからくなった中で、これはとても大切な言葉のような気がしたのです」


 ふむ……。


「じゃあとりあえずはマノワトちゃん(仮)にするか。名前がないと何するにも不便だしさ?」

 と言ってみたところ――、


「せ、セーヤさん、それはその……」

 俺を全肯定することにかけては右に出る者がいないウヅキが、珍しく言葉を詰まらせた。


主様(ぬしさま)はほんに素晴らしい殿方じゃが、時折り斜め上のセンスを発揮することがあるのじゃ」

 さらには《神焉竜(しんえんりゅう)》からもダメだしを喰らってしまう。


「くっ、放課後に渋谷に行くような超軽いノリで領地をせしめてきた上に、エルフの秘宝まで持ち出してきたお前にだけは言われたくないんだけど……!」


 そりゃまぁ、確かに?

 そのまんますぎる名前だけどさ?


 女の子二人に呆れられてしまって、ちょっとショックな俺だった。


 チラリとマノワトちゃん(仮)を見ると、こちらも同じように不服そうな顔をしていた……。


「でもさ、どうもマノワトって言葉以外には何も思い出せないみたいだし、とりあえず名前を付けてあげないといけないと思うんだよな。そう考えたら急場しのぎとして、マノワトちゃん(仮)も意外とシンプルで悪くない気が――」


 そんな未練たらたらの俺の言葉に止めを刺したのは、


「トワ」

「え?」

 ハヅキのたった一言だった。


「わと、わとわと、わとわ……、だからトワ。トワ!」

 どうかな? って顏で俺たちを見上げてくるハヅキ。

 そして、


「あら、とっても素敵な名前ですね」

「うむうむ、なかなか悪くないのじゃ」


 ハヅキときたら俺の「マノワトちゃん(仮)」と違って、満場一致で女性陣の支持を取りつけてみせたのだ。


「トワ……永遠(とわ)か……」


 まぁ俺もね、「トワ」ってのはなかなか悪くはないとは思うけどね?

 『マノワトちゃん(仮)』よりも、ちょっとだけセンスが上な感じかな?

 俺のはちょっと近代アートな攻め過ぎ感が無くもないっていうか?


 逆に「トワ」ってネーミングセンスは誰もが認める良さっていうか、さすがはサーシャも認めた天才肌のハヅキってところだね!


 というわけで。


「マノワトちゃん(仮)改め、今から君の名前は永遠(とわ)、トワだ――!」


 ハヅキの背中に隠れるようにしていたマノワトちゃん(仮)改めトワは、


「トワ……トワ……、トワ!」

 その名をなんどか口にすると、『マノワトちゃん(仮)』と名付けられそうになった時とは打って変わって、とても嬉しそうな表情を浮かべたのだった。


 同時に、少し誇らしげなハヅキの顔も見ることができて、


「うんうん、俺はとても満足だよ。っとそういや自己紹介がまだだったな。俺は麻奈志漏(まなしろ)誠也。《神滅覇王(しんめつはおう)》にして《王竜を退けし者(ドラゴンスレイヤー)》の麻奈志漏(まなしろ)誠也だ」


 ここぞとばかりに二つ名をアピールする俺に続いて、


「わたしはウヅキ。ハヅキのお姉さんなの。よろしくね、トワちゃん」

(わらわ)は偉大なる《神焉竜(しんえんりゅう)》じゃ。新たな門出を用意してくれた主様(ぬしさま)に感謝するのじゃぞ、トワ」


 ウヅキと《神焉竜(しんえんりゅう)》がそれぞれ自己紹介をする。

 すると、


「しんめつ、はおう……?」

 トワが俺を見て呟いた。


 ピキーン!!


 喰いついた、喰いついたぞ!!

 幼女が餌に喰いついたぞ!!


「こほん。そうだ、俺は――いや俺こそが最強不敗の絶対神話、《神滅覇王(しんめつはおう)》その人なのさ! なーに、かしこまらなくたっていいぞ! 俺はそういうの全然気にしないからな!」


 でもって、苦しゅうないぞ、もっと褒めたまえ。


「《神滅覇王(しんめつはおう)》のマナシロ・セーヤ……」

「あふぅ……。他人に二つ名で呼ばれることの、なんと胸に心地よいことか……」

(*'ω'*)チラッ

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