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第167話 自分を、自分で褒めてあげたい!

「アリッサ。休日に呼び出してすまないね」


 『プロジェクトSS(ダブルエス)』―― 《神滅覇王(しんめつはおう)》顕現計画に参加が決まってから数日後。


 私は異世界転生局の本部長から緊急の呼び出しを受けて――今日は休日だったんだけれど――登庁していたのだった。


「とんでもありません、新人は頑張ってなんぼですから! 24時間365日いつでも出勤する心づもりです! 休日出勤も、夜勤からの連続早朝勤までどんとこいです!」


 私はここぞとばかりにありったけの熱意をアピールした。


 このビッグプロジェクトに抜擢(ばってき)された以上、どれだけやる気をアピールしてもアピールしすぎることはないはずだから。


「熱意と心意気は素晴らしいけれど、幸いなことにうちはそんなブラックな職場ではないよ。遵法(じゅんぽう)精神にのっとった、清く正しい公務員だからね」


 これでもかとやる気をアピールしてみせた私に、しかし本部長は苦笑いで返してくる。


「今日は休日手当をつけて、次の大型連休の前に代休を1日追加して超大型連休にしてあるから安心したまえ」


「ありがとうございます! ――あの、それで早速なのですが、急に呼び出された理由をお聞きしてもよろしいでしょうか?」


 わざわざ休日に呼び出したのだ。

 なにか大きな動きがあったというのは想像に難くない。


「結論から言えば――」

 そこで本部長はもったいをつけるように溜めを作ると、


「000000000666異世界アガニロムのデータ解析チームから速報があがってきてね」


「――!」

 背筋が自然とピンと伸びた。


 きっとこれは――!

 私は一言一句漏らさぬ心意気で、本部長の言葉に耳を傾ける。


「ま、はやる気持ちは分かるけれど、そう気張らないでくれたまえ。そしておそらく君が推察した通りだろう。神話級戦闘系SS級チート《神滅覇王(しんめつはおう)》の顕現が観測された」


「《神滅覇王(しんめつはおう)》が……!」

 

やはりこういうことでしたか……!


「あの、でも、こんなに早くでしょうか?」

 麻奈志漏(まなしろ)さんがアガニロムへと異世界転生してから、まだ数日しか経っていないのだ。


「ああ、こんなに早くだ。君を散々()かした私が言うのもなんだが、はっきり言ってここまで早いとは、想定の範囲外だったよ」


 言って、やれやれと肩をすくめる本部長。


「ところで速報ということはですね。一応まだ確定ではないということでしょうか?」


「なにせSS級の解析は前例がないからね。現在、様々な観点から再解析中ではあるが、ほぼ決まりで間違いないだろう。S級チートではありえない異常な規模の空間のゆがみが観測されている。しかも1度ではなく2度、だ」


「――え?」

 2度も?


「だってそんな、まだ10日も経ってはいないのに――」


「彼はよほど適正値が高かったのだろう。データを見る限り、彼――麻奈志漏(まなしろ)誠也は、このわずか10日に満たない短期間で、2度の《神滅覇王(しんめつはおう)》の顕現に成功したようだ」


「すごい……! すごいすごいすごいすごいです! 麻奈志漏(まなしろ)さんの異世界にかける情熱は、それほどのものだったんですね……!」


 その報告を聞いて、私はまるで自分のことのように嬉しく思ったのだった。

 やはり麻奈志漏(まなしろ)さんは最高に素敵な、男の中の男だったのだ……!


 同時に自分の見る目が間違っていなかったことが、ちょっとだけ誇らしかった。


 そんな素敵な男の人の背中を押してあげることができた自分を、自分で褒めてあげたい!


「ああ、それなんだけどね?」

 本部長がちょっと言いにくそうに尋ねてきた。

「無敵転生」をお読みいただきありがとうございました!

よろしければブックマークと評価をいただければとても嬉しく思います!

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