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インテリ・メガーネ~神の肉体を持つ叡智の化身~   作者: 前歯隼三
地上に舞い降りたラファウェイ(天使長)編
5/42

ファンファンの平和な日々~ドーナッツ宮殿は今日も甘々~

長きにわたる帝国と魔王国の戦争は

ついに終焉を迎えていた。

円卓を模した巨大な宮殿、ドーナッツ宮殿で両国の代表が顔を合わせ

平和の着地点を模索する

 帝国王都、ドーナッツ宮殿の一室で魔王国の代表、使節団団長、十二魔族が一つ“猫魔族”のファンファンは危機を迎えていた。

 帝国の代表として通された男が、教会の壁画から飛び出たかのような神聖さを纏いファンファンの向かいに腰掛けたのだ。


 息が詰まる…心臓は鼓動を早め、血液をファンファンの

まだ幼さを残した顔に送る。真っ赤になった顔で、瞳は潤み震える体に力が入らない!

 その癖頭の上の猫耳はピョコピョコと跳ね尻尾はちぎれんばかりに振られていた。


 目の前のこの光の化身が、先日のサカナール戦にて

魔王国最強の兵器ゴーレムを、たった一人で打倒した男なのだ。

 おそらく、帝国…いや、人類で最強の武人


 交戦中の魔王国には詳しい情報、彼の出生や能力など、多くの事は未知のまま届いてはいない、しかし1年も続いた戦いの中で魔王軍が苦渋を舐めた幾つかの戦い、その報告に…確かに彼と重なる報告があった…


 細く引き締まった肉体、美貌、オーラ、メガネ、スーツ、メガネ!

 人間達は魔王に対抗するべく…ついに神を召喚したと!


「ファンファン様、メガーネ様、会議の準備が整いました」

「ふぁっ…!ふぁい!!」


 ぐっふぁぁああ!

 危なかった、息止めてた!やばっかった!

 顔面なんて血が行き過ぎて耳血出てた!あっぶねぇえええええ!!


「団長殿、大丈夫ですか?」

 メガーネ殿が純白のハンカチを差し出し、私を労わってくれた。正直、もう会議の内容とかよく解らない…全てを彼に捧げたい…あぁ…さようなら魔王軍、さようなら魔王ラグナ様…あぁ…あっぶねぇ!ラグナ様は裏切れない!あっぶねぇ!…くぅ…メガーネ様ファンクラブに入会するだけにしときます。



……

…………


 幸運な事に会議は一日では終わらず連日、かれこれ3年ほど続く事になった。幸福な日々に感謝し私は今日もドーナッツ宮殿の会議室に向かう。

 メガーネ様は私の手作りのお弁当、受け取ってくれるだろうか?故郷から送られた魚の干物は魔王国でも一番の味だ!きっと…きっと喜んでもらえるはず!あぁあああ!


 会議の前はいつもドキドキと緊張する。



……

…………

 メガーネ様とはこの三年色々な話をした。

 星座の名前、星の歴史…好きな料理。時々思い出したように終戦の着地点の話をしたものだ。


 そもそも魔王国は建国に伴う、領土と人民、平等の上になりたつ様々な権利のために戦いの狼煙を上げたのだ。けっして帝国を侵略するのが目的ではない。

 サカナールのゴーレムもそうだが、魔王国の軍は見た目の派手さ、強大な印象を相手に与えつつも実際に町を襲うのではなく、前線の帝国軍を威嚇するを主な活動にしていた。


 確かに牙ゴリラ一族など、一部過激派存在したが…それらは猫魔族をはじめとした、穏健派の策略でラグナライブの運営にかかわる設営・建築・街道の整備…そしてプレミアムチケットの優先販売で抑えらえている。

 それでいて、彼ら過激派の主張もしっかりと魔王国は受け止めあえて“一案”として正式に世界に表明していた


 それは歩みよる両国の間の壁にみえて、平等を勝ち取るための強気な姿舐められてはいけないそれは対等な関係を結ぶ上で絶対に必要な事だった。


「……それをメガーネ様があっさり倒してしまうんですもの!魔王国はそれはそれは大変だったんですよ?」


 …まぁ、お陰で、終戦の話し合いのため私が出国しメガーネ様に会えたのですけど。


 メガーネ様はとるにたらない私の話をいつも優しく微笑み聞いてくださいました。



……

…………

 そうそうメガーネ様について、わたしは多くを知りました!

 最強の武人だと思っていた私の認識は大間違い!メガーネ様は帝国一のIQの持ち主で!現皇帝…賢帝サエワタール4世の家庭教師でもある凄いお方だったのです!

 文武両道、スタイリッシュでエレガント!メガーネ様のファンクラブは格市町村にありなんと王都ではメガーネ様を祭る神殿が建造中だと聞きました。

 神殿が開設した暁には帝国は正式にメガーネ教を国教とみとめ、多くの国民に推奨する考えのようです。

あぁ、素晴らしい!いよいよ早く終戦させて、国籍を帝国に移したいです!


 そもそも…なんで魔王国にはメガーネ様の威光が届いていないのでしょうか?


 恥ずかしながら私も実際のお会いするまでは、この偉大な恩方を知りませんでした。

 …まぁ、戦時中の敵国ですからなどとは…それは常識の範疇のお話、地上に神が舞い降りたのなら…戦争など些末な事など関係なく、全世界にそのご威光が届いてしかるべきです。しかるべきだったのです!

 …戦犯は、そうです。

 あえて呼ぶならば「戦犯」は、魔王国内部の男将軍達でした!


 魔王国は魔王様一人の絶大な美貌とカリスマ性によって生まれた国、もしも魔王様がメガーネ様を知り、もしも恋に落ちてでもしまっていたら…きっと魔王国は地上から無くなっていた事でしょう。

 それはそれは…とても平和な終戦。

 そんな未来を無くしたのですから、男将軍共はまさに平和の大戦犯です。


(…でも、もしそうなっていたら。私はメガーネ様とお会いできなかったのですね)


 さてさて、本国から届いた資料を片手に今日のお仕事をはじめましょう。

 今日の議題は正式な国境の制定、小さな山や川…、海辺や小さな田舎町…地図の上で、世界をなぞる美しい指をみながら、私は思わずに居られません…


「いつかメガーネ様とご一緒に、この町

に訪れたいものですわ」


「そうですね…、ファンファンさん。そのためにも平和を、二人で目指しましょう」


 あらやだ!心の中で呟いたつもりが、唇からこぼれてしまったようです。


 一仕事終え、お弁当をつつきながらメガーネ様は楽しいお話を、為になるお話を話してくださいます。


「ファンファンさんご存じですか?コーヒーはIQに良いんですよ?」

「まぁ…メガーネさんがおっしゃるなら!」


 戦争の終わらぬも、喉かな日々。

 終戦を目指しながら、心から望めない私の幸福な日々。

 あぁメガーネ様!平和を願えない矮小で愚かな私を許してください…



……

…………


 3年に及ぶ、平和交渉の末、ついに最終資料がまとめられ…、皇帝と魔王の元へ送られた。

 あとは正式に王達がこれを認め、幾つかの手続きの元、戦争は終わりを迎えるだろう…そんな時に事件は起きた。


 それはかつて、悪食猫男爵を苦しめた恐怖の軍勢、牙ゴリラ軍の反乱である!

いやっふぅううう


ようやくここまでかけた!

いつ始まったのかも分からぬ謎戦争は、いつのまにか謎終着へ


いやぁ

よかった、あとひと踏ん張り!

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