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インテリ・メガーネ~神の肉体を持つ叡智の化身~   作者: 前歯隼三
堕落せし天使長編 本編
39/42

ソロモン王の軍勢


塔を完成させたソロモン王の次なる目的は「月」の建造である。

悪魔と天使から奪った叡智により、既に月を形造る錬金術や

月を月たらしめる力の付随、その術式など…「必要な技術」はそろっている。

人員は使役した天魔とアンデットで事足りる。

もんだいは…核となる材料だ。


材料は二つ「悪魔の心臓」と「天使の輪」

悪魔の心臓は小型核融合炉のように無尽蔵な力を発生させる

天使の輪は世界からエネルギーを吸収する器だ。


力の発生装置とその力を収める器の存在で、月という超巨大な「箱舟」が完成する。


「心臓は既に我が手中にあり、天使共を狩る時が来たようだな」


ソロモンは中心の三指を曲げ、親指と小指を立て呪文を唱える


<キド・テレフォ・ナイセ・ゼロロ“アネミア”>


右手の甲に魔法陣が浮かび、ソロモンの脳内に音が響く


プルルルル…


プルルルル…


プルル(ガチャ


(はい!こちらアンデット研究室 室長アネミアです)

「私だ、アネミアよ。12魔族を連れ空域会議室に来てくれ。アルマゲドンを始める」


(は…はい!10軍は3日以内に集まります!全軍ですと地獄侵攻軍がありますので1月はかかるかと)

「ふむ、慌てる事も無い。…現場のスケジュールは乱す必要はないぞ。侵攻軍はそのまま不参加でよい」


(はい!ではただいま!早急に調整致します!……ったく忙しいのに…ガチャ)

「……減俸だな」



アネミアはソロモンの右腕の吸血鬼だ。

人間だった頃は不治の病にかかった娘を救うため、医療と禁術の研究をさせ大きく貢献したのだが

結局は娘を助けれず… 罰と実益を兼ねて実験体にしたら吸血鬼として生き延びた。


人間であった時は自身も病弱で無口であったが、吸血鬼になってからは慌ただしく動き回り

口も悪くなってきた……。

…もう少し研究が早く進んでいれば、娘も吸血鬼として生きていけたかも知れないと思うと胸が痛い。


アネミアは

ソロモンと自身が実験で作り続けた実験体

アンデットは勿論

しゃべる犬や豚などの改造生物

悪魔や天使を弄って生み出したキメラ

鬼や河童や小人など

そういった者たちの管理者として不眠不休で働いている。

…部下を付ければいいのだが、元が根暗な研究者なのでコミュ症なのだ。

全て一人で抱え込んで泡を吹いている。



「天才なのだがバカだ、おしい人材だな…」


…まぁ実際、ソロモンは自分以外の全てを下に見ているので期待はしていないのだが。

ちなみにだが

彼女は有能なのでヴァンパイアとしたが、娘の治療に関わった他の物は全て処刑している。

多少の無能は許容だが、あまりの無能は罪だ。



<キド・テレフォ・ナイセ・ゼロロ“ミツメ”>


右手の甲に魔法陣が浮かび、ソロモンの脳内に音が響く


プルル(ガチャ


「はい、ソロモン様、如何様で御座いますか」


「…ふむ、貴様は有能だな。アルマゲドンだ」


「わかりました」(ガチャ


三つ目はソロモンの左腕、治療や死者蘇生には一切興味がなく娘の治療には役に立たなかったが

錬金術に長ける、生粋の研究狂だ。

塔の建造や月の建造の中核を成す存在で、ソロモンの英知を見ながら盗み、たえず自身の研究に取り入れ

己の力で天を目指す男。…有能な者がみなそうであるように、彼は時間を無駄にしない。

ソロモンとの会話はいつも数事だ。


「伝わったのか不安だな…まぁ、信じるか」


この世界において、ソロモンの次の有能な男だ。




…さて三日後

バベルの塔、中階層「空域会議室」にてソロモンの配下アネミアと三つ目

そして12軍団の中10軍団が集まった。



それでは12軍団の解説をはじめよう!



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「アンデット軍」

ヴァンパイアアネミアと元研究員のヴァンパイアと

死者復活実験で作られたゾンビやスケルトンの軍団だ!

不眠不休で働けるので、塔の建造ではもっとも重宝された軍団だぞ!



「トーキングバード軍」

動物実験で生まれた喋るとりだぞ!召喚された悪魔の「フェニックス」など

鳥形の悪魔の血を使ってるので火を吹いたりすごい鳥もいる!

基本は見回りなのだが、物覚えが悪く報告には向かない!

小人軍と合わせてようやく仕事が出来るのだ!



「トーキングミート軍」

同じく喋る豚、食べられたくないので必死に働くぞ

その必死さから何体かは人間の魔術師、研究者並の知能を開花させ

各所で文官のような働きをしている!

食糧や資材、資金、社会保障、各種事務手続きなんでもござれだ!



「トーキングステーキ軍」

喋る牛だ!彼らも必死にがんばり、何体かは肉体の限界を超えて超戦士の領域になっている!

牛型魔族の血が入ってるので二足歩行して魔法を操る戦士もいるぞ!



「牙軍団」

狼や犬の軍団だが喋れる個体は少ない!

追跡能力にたけ、裏切り者をおいかけ噛みつく粛清部隊として恐れられているぞ!



「猫人軍」

猫と人を合わせたような軍団だ!リトルディアの「魂の器」の候補として

可愛い猫耳少女の研究をされて生まれたかわいい軍団!

知能は低いが高い魔力と俊敏性をもっていて、各国に忍び込む忍者部隊だ!



「トーキングゴリラ軍」

強靭な肉体と高い知能を持ち合わせた理想の存在だ!

建築から運搬、戦闘、事務までなんでもこなせる!

人間を憎悪しているぞ!



「角人軍」

ゴリラ軍から知能を引いて魔力を足したような戦闘狂集団!

人と悪魔の血を混ぜて作られたキメラだ!

今は地獄を侵攻しているぞ!



「魚軍」

哺乳類以外の実験として作られた魚達だ!

人魚から巨大魚、カニや貝などごちゃごちゃでバラエティに富んでいる。

食べると栄養価が高いので、ミート軍とステーキ軍に仲間意識を持たれている!

戦闘も知能もダメだが、特殊能力に秀でた個体が多いのが特徴だ!



「器軍」

魚研究の究極系だ!天使族の輪の持つ「力の器」というメカニズムは数多くの生物で

研究されたが、適応したのが魚族だけだった。

緑の体に甲羅を背負った悍ましい人型の生物で頭に「器」を乗せている。

この器であらゆる魔力を体内に吸収し、驚異的な再生力を実現させた生物の完成形

高エネルギーの器が脳に近いからか、知能は低い。

何故か尻に執着する。

今は地獄を侵攻しているぞ!



「巨人軍」

人造人間研究の産物だ!デカい!強い!食費がかかるので

数体しか生み出されなかった!資源の回収などで貢献している!

というかそれしか出来ない!



「小人軍」

人造人間研究の完成系だ!小さいので可愛い!

喋る能力はないが補うほどにコミュ力が高く、ジェスチャーやあらゆる方法で

動物全般と会話をしている。

トーキングバード軍の背にのって見回りの仕事もこなすお利口さんだ!



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「集まりましたソロモン様!」


「うむ、ご苦労アネミア」


…改めてみると凄まじい光景だ。ほぼ、失敗作だが。

考え方によっては成功作だ。


全ての実験は、娘リトルディアを救うためにあったのだがから失敗

天魔を相手に戦う戦力としては成功

…ままならぬものだ。


「ソロモン様、わたしの兵団もご覧ください」


「三つ目、何か作ったのか?」


ブワッン


三つ目のマントから大量の白い球体が飛び出し宙に舞った。


カタカタカタ


会議室の天井のタイルが剥がれ落ち

落下までの数秒で人型に変形し、直立する


「ほほう」


三つ目が指揮棒のような物を振るうと

それらが一斉に動き出し、

会議室の一番外側に整列した。


パチン


「おー」


三つ目が指を鳴らすと、空中に四角い窓が展開し

地上の様子が移し出される。


採掘現場で巨人に混ざって作業をする超巨大メカだ。


「完成いたしました、ゴーレムです」



…ぞくり


ミート軍とステーキ軍は戦慄していた。

仕事が奪われる…食われる…


「素晴らしい!これでアルマゲドンはより盤石な物となった!」



爵位持ちや王クラスの悪魔72体を従え

大天使2体を封じ12の怪物軍とゴーレム兵器


…この世界最後の戦争

戦いは、始まる前から終わっているも同じ!…


圧倒的戦力!!



カツン

ソロモンは杖で床を叩き注目を集めた。

杖に仕込んだ拡声の魔術によって、その声は会議室に響き渡る!


「田畑を焼け!天使を狩れ!地底を掘り返し!すべてを塔に吸い上げろ!この星のあらゆる物を根こそぎ

空に集め、我々は第二の月を作る!」


三つ目は研究者として嬉しいのだろう

仮面の下でも笑っているのが解る。



ケタケタケタ…アンデット軍はいつもどおりに笑ってる

責任者のアネミアはきょとんとして、気が付いて、慌てだした。


「あ…ちがいます!ソロモン様…はい!黙らせます!」



カツン


「従う者は新しい世界の住民として迎えようぞ、逆らう者はこの地に残し、我々は飛び立つ!

この空っぽの地に残るのは!神の哀れな人形だけだ…神の鎖たる天魔をこの地に封じ込め!…我々は神の定めからさえ離脱する!」



ワー

ワー

ワー

ワー

ワー



こうして戦争は始まった。

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