第一回 壁ドン会議
「さてメルシア、世界の動向を教えてくれ」
「ッハ グラース様」
元救いの天使メルシアはテーブルに地図を広げた。
テーブルの上でに立ちポーズを決めるグラースだが眼鏡を黒く塗っているため地図が見えない。
メルシアは地図を見ながら状況を頑張って整理する。
「真ん中の王国の動きがおかしいですね、あっちこっちの支配からの何か塔をたててます」
「ソロモン王国が辺境を支配…技術支援、本国の塔のための採掘塔の建築よろしい!」
メルシアは必死に頑張ってるのだが、いかせん地頭が悪い。
グラースは目を閉じて尚、冴えわたる叡智で空白を理解する。
元々が高い地位に居たので、下地になっている情報量が違うともいう。
「彼はすでに堕落している!我々…暗黒堕天軍の管轄ではありませんね、次」
「は…ッハ グラース様」
腕を組みながら、ついにテーブルの真上に浮かび上がったメガーネは水平に体を倒し
テーブルを真正面から睨みつける…見えてないけど!
「新しくトマト山から悪魔の軍団が地上へ、天界からガブリエスとガブリエムが下りてきました」
「なるほどなるほど、これは面白い!」
距離感を間違えてテーブルから高さ1センチのギリギリまで詰め寄りながらグラースは笑う
メルシアは悶える。
「なにが起こってるか…わかるかいメルシびゃ」
…ついに机の上にキスをしながら、メグラースはメルシアに質問を投げかけた。
何が起こってるか…メルシアはもちろん作者の私にも判らない!
なんでこいつ机の上で寝てるんだろう…
「わ…わかりません!すいません!」
「やれやれですね」
グラースはテーブルから手探りで降りた。
そしてメルシアの方に向き直り説明する。
「ソロモンが原因でしょう…彼が地獄の支配者階級をあらかた引っ張ってしまった。今地獄は地上以上の大混乱のはずです。
何せグレゴリの範囲外、心を持たない人形のままで突如操り手を失ったのですから」
「ひゃい!//////////」
…近い!1センチ!うっひゃぁああああ!
「多くの悪魔達は良いでしょうが、問題は中間の“半覚醒”の悪魔達…半端に考える頭があるので大混乱…とりあえず地上に出て上司を探すのと…一部は難民ですかね」
「にゃ…にゃるほど!くぅう!」
…くやしい!30センチ!離れた!?さすがに気付かれた?あぁ…しかもテーブルの方に向き直ってしまった!あああ…こ…こうなったら!
メルシアは足音を消すようにすこーし空に浮く
そしてスーーーーとグラースに近づく
事故れ事故れ事故れ事故れ事故れ事故れ事故れ事故れ事故れ事故れ事故れ
「無能な上級天使達はようやくこれを“厄災”と認定したようですね…やれやれ…今更出てきて何をするとうのだ…アルマゲドン…ん?」
グラースは何かを思い付いたようだ…!
そしていたずらを思い付いた子供のような笑顔で…先ほどメルシアがいた方に駆け寄り壁にドンした。
「ドーナッツ屋の次は…アルマゲ丼なんてどうだドゥフン」
「め…グラース様大丈夫ですかぁあ!あぁ!血がぁあ!鼻血と口血がぁああ!」
…これで、今後の作戦会議は一旦お開きとなった。
グラースはメルシアという仲間が出来たので、いよいよ本格的に「世界を堕落させる作戦」について本腰を入れた。
メルシアはグラースにぞっこんラブだったので依存は無い。
「はいメガーネさまアーん」
「すまないなあーん」
グラースは眼鏡を黒く塗ってしまったがため、大概の事が出来ない。
その癖に態度と言葉がデカい、なんという駄目人間っぷり…メルシアの心は燃え上がる。
お昼休憩をはさんで、会議の続きが始まる。
「あとはあっちこっちのちいさな国ですが、よくわからないです」
メルシアの頭では細かい所、込み入った説明は出来ない。
「なるほど…一番近いのは、メルシアがいた国ですね…」
「あ…私、すいません、指名手配されちゃってて近づけなくて…」
「なんと!」
しばし考え込むグラース
パチン!
指を鳴らす。
「次の目的地が決まりました。そこの首脳部を堕落させましょう!」
…え?
「な…なんでですか?」
ドキドキ
「私のメルシアを追いかけられては面倒ですしね」
グラースは壁に向かってそう言った。
メルシアはメガーネの背中に飛びついて、メガーネの顔が壁にドンした。
「…グラースさまぁああ!すきぃいいいい!」
パラパラ…
グラースの頭は壁にめり込んでいて聞こえていなかった。
…こうして
地上には5個の勢力
塔を建設するソロモン王と、小国軍
天使ドーナッツチェーン
悪魔難民軍
天界無能軍
グラースとメルシアの暗黒堕天軍
が揃った。