家庭教師メガーネ
メガーネのすばらしさを描けているか逆に不安になる事この上なす
国境の街サカナールの魔王軍襲撃、伝説に残るゴーレム戦から一月が過ぎた!否…まだ一月、人々は伝説と共に、神話の時代に生きている…その事実に、誰しも熱を感じていた。…うねる時代の熱だ、何かが起きている!まだ…伝説は終わっていない!
気を抜いては行けないのだ!目を見開け!伝説を見逃すな!!
…
……
……………
「では君はこの事件で、戦争がどう動くとおもいますのん!?」
「ふぇぇ?は…ばばば…えぇ~っと…」
「…もうよろしい!」
帝都
高級住宅街で一層尖がった屋根のお屋敷、エリートトンガリハナ家のお屋敷である。
「ワケオぼっちゃま!そんな事では週末の社交界には出れませんわよ?」
「うぅ…」
貴族の一員たるもの最低限の見聞は持っていなければ恥をかく、貧乏人はヘラヘラと己の無学を笑えば良いかも知れないが、「家」を背負う我々は違う!その責任を感じ、常に知的にエレガントにとマダム トンガリバナは息子を叱った。
「最近は学校の勉強にも、付いて行けて無いようですわね!」
「うぅ…ごめんよママン」
「ママンじゃありません!こんな事では町ではやりのカードゲームとやらもお預けで!誕生日プレゼントに百科事典を選びますよ!」
「びぇええ!?悪かったよ マ…お母さま!」
平 和
魔王国との戦争は決して終わったわけではない。魔王ラグナの魔王国全国ライブツアーの始まりに合わせ両者の衝突が無くなっただけだ。
これからの不安定な厳しい時代、愛する息子はもっと強く賢く育って欲しいものだ。
マダム=トンガリバナはため息をつき手に持った新聞を机に置いた。
「レッスンは一旦休んで、夕食にしましょう。銀の鐘のあと家庭教師を呼んでいますからね」
「はーい!」
素直!庶民なら地団駄を踏んで、勉強の日々に反発をするでしょうに…うちのぼっちゃまは本当に素直!いい子!
(この子は素直で努力家よ、この子の成績が伸びないのは…そう、私を含め、教師が不甲斐ないからだわ)
食事と入浴を済ませ、まもなく銀の鐘がなる。
(今回の家庭教師は、優秀な方だと良いのだけれど)
…
……
…………
「はじめましてマダム、インテリ=メガーネです」
「ふえぇええええええ!?」
眩しいぃいい!
なんて高身長!なんて肩幅!なんてサラサラヘア!なんてハスキーボイス!なんて… まるで…!
「…ラファウェル!?(天使長」
「…フフ、面白い方ですね」
どうしてこうなったか解らない!けれども現実だ、あ、現実ザます…あばば、もう混乱しすぎてキャラが解らなくなってきたざますわね、あれやりすぎ?
眩しすぎる光の前では、逆に何も見えない!もう解らない!私はだれ!?ここはどこ!?5W1H?天上天下過去未来!?
「わー!本物のメガーネさんだ!サイン下さい!」
うぉおおん!ぼっちゃますごぉおおい!平常運転んんんん!すごいわ!
救国の英雄!人類の最後の希望!帝国1の頭脳!帝国中に数万人のファンを持つ現人神を前にして平常運転!
「あぁ…この子は、大物になるわ」
ほろり…涙が一滴
そうこうしている間にメガーネはマイ羽ペンでサラサラとサインを書き上げ、子供に渡しながら微笑みかけている。
「知っていてくれてありがとう…君の名前を教えてくれるかい?」
素敵!
「では、さっそく授業をはじめましょうか、もう鐘も過ぎ、街は眠る時間。あまり夜更かしは子供の成長に悪いですからね」
「あっはい!よろしくお願いします!」
メガーネはぼっちゃまに幾つかの小テストをし、学力を図った。“何が出来て、何が出来ないのか”子供の成長、教育方針を決める上でとても重要な事だ。
(帝国1の頭脳を誇る、メガーネさん!一体…一体どんな画期的、革新的な方向で教育をして下さるのかしら!?)
メガーネの一挙手一投足から目が離せない!それは息子も同じようだった。
「メガーネ先生!勉強できるようになるには、どんなコツがあるんですか?」
息子の質問に、メガーネ先生は微笑み…美しくも逞しい指を、細い顎に当てて逡巡、そしてゆっくりと口を開いた。
「…108個」
「え!?」
(そんなに!?そんなにあるの!すごい!すごすぎるわ!やっぱり凄いひとなんだわ!)
「凄いやメガーネ先生!教えてくださああい!」
素直に喜ぶ息子と、感動で涙が止まらない私に、メガーネ先生はしかしこうおっしゃいました。
「テクニックや、上手いやり方なんて気にしてはいけないですよ?大切なのは努力、いいですか?努力です!」
私はコーヒーを入れました!息子も素直に狂ったように100マス計算を繰り返し…三日三晩による徹夜の強行の果てついに学年で1番の成績を収めました。
今でもメガーネ先生の熱い言葉の数々が脳裏を過ると
無性に漢字の書き取りをノート一冊やりきりたくなるくらいです。
「…さてと、では私はこれで」
3日間の徹夜の後に、メガーネ先生はそうおっしゃり館から出て行かれました。
私達と同じように、一睡もせずにおられたのに一切の疲れを感じさせない、しっかりとした足取りと、さわやかな笑顔でした。
「メガーネ先生!ありがとうございました!」
先生はこの後、そのまま前線に飛び、新しい砦の設営指示、そしてファンクラブのサイン会と多忙極まるご様子でした。
「こんなハードな予定の中で、どうしてうちに起こし頂けたのですか?」
「……不器用でしてね、私は」
彼の前では、王も奴隷も、ファンクラブも戦争も、勉強で苦しむ親子もすべて等しく“助けを求める民の声”
「あまねく全てを救ってくださる。本当に…神様みたいなお方でしたわ。」
マダム トンガリはファンクラブのインタビューにそう答えた。
今無職なのでめっさ書いてる
今しか書けないしねぇ
漫画家を目指そうかと思ったけど
案外絵じゃなくて妄想、設定弄りが好きだと気がついて
文がすこぶる楽しいれす
ぬぬん