悪食=猫男爵の成り上がり 中2 ~三人目の英雄・仮面の魔法剣士ネコオ~
厨2
かっこいいよ!
かっこいいよ猫男爵!
ゴリラにバナナ投げるためだけに生まれたのに!
すごいよ!産みの親もびっくりだよ!
これは彼の伝説の最も熱き1幕である。
ネコオがサカナールの守備兵となってしばらく、絶望が街を包み込んだ。
無限に湧き出る泉の如く…森から湧き出る異形は“河童族”巨大な両腕で胸を叩き…空を揺らすは“牙ゴリラ族”
その二種族の連合というだけで、かつてない恐怖と絶望をサカナールの街に与えていた。
更に厄介なのは、その二つの種族を率いるのが“吸血鬼”である事。
「さぁ!暴れなさい私の眷属達よ!私に新鮮な人の血を届けるのです!」
吸血鬼に血を吸われ、“眷属化”した河童と牙ゴリラ…魔族の大群が砲撃や弓矢に怯む事もなく押し寄せる!
「も…もう駄目だ!サカナールは…帝国は…もう終わりだ!!」
…パラパラパラ
「…ん?この水は…魔力?」
晴天の中、突如振り出した雨に。吸血鬼…アネミーア16世は違和感を感じた。
両軍の戦いが巻き上げた土ぼこりが降り続ける雨に溶け消えてゆく…そして段々と強まり渦巻いてゆく“水魔法”の気配!
「いけない!全員後ろに飛ぶのです!!」
…アネミーア16世の叫びはコンマ数秒遅かった!
場に渦巻いた魔力は一斉にうねり!巨大な水の柱を…壁を…いや違う!
人間の国、帝国はサカナールの街を守る石づくりの壁、その壁を覆うように…2枚目の壁“水の壁”が姿を現したのだ!壁に取り憑いていた愚かな敵を巻き込んで!
ゴボッゴポポポ!
水に捕らわれた牙ゴリラは無力だ…河童は元々無力だから役には立たない!
(ありえない…!こんな大魔法を人間が!?そんな事はありえない事だ!)
アネミーア16世は蝙蝠の…、闇の王の翼を広げ前に出る。
水の壁の向こう…安堵に崩れる人間達の中心に…仮面の男が立っていた。
男が指をはじくと共に、水の壁は霧へと変わり…拘束を解かれた河童とゴリラ達は落下して泥沼と化した大地に刺さる。
「……何者ですか、あなたは!?人間…では、ありませんね…」
「………」
仮面の男はマントを翻し、腰につけられた剣を抜いた!
帝国の紋章が刻まれた、ありふれた守備兵の長剣だ!
(ただの守備兵?…これほどの魔法の使い手が!?)
……やはり!
アネミーア16世は確信をする、帝国に組みする魔族の存在!
「…やはり人間は油断が出来ない!ただの食糧調達のつもりでしたが…本当に攻め滅ぼさねばならぬ存在のようですね!」
アネミーア16世は両手から8本の杭を投げた!
その杭は沼にはまった部下に刺さり、河童とゴリラ…二色の血柱を空へと上げる!
空中に上がる血柱は、吸血鬼アネミーア16世の元へと集まり…魔剣“ヘモグロ”に姿を変えた!
変幻自在の無形の刃は、前代剣聖をも屠った伝説の刃…伝説を知る守備兵たちの動揺を他所に仮面の男は前へと踏み出す…
これが…ここからが公式に残された彼の戦績、伝説の始まりだ!
仮面を付けた魔法剣士!彼こそが後のサカナール侯爵いや、こう言った方が伝わるかな!?
この伝説、物語の主人公は“悪食の猫男爵”その人だ!
河童と牙ゴリラの屍の上、魔剣と対峙するその勇姿
インテリ=メガーネ
魔王ラグナ
伝説ひしめくこの時代にあり
“3人目の英雄”と数えられる!伝説の男…その若かりし日の姿であった!
…さて、この熱き戦いを語る前に、少し過去へと遡ろう。奴隷から脱した彼が英雄になりまでの数日だ…その数日を知ればきっと、その日々の後…再び場面が追いついた時、君は英雄の仮面の下を覗き見るのだ。
ネコオの立場からすると
魔界に残した同胞、猫魔族の立場がなくなる事は避けたいんですよね
人間に味方する魔族=猫魔族なんてなったら大変です
仮面の魔法剣士とかどんだけカッコいいんだよネコオ