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インテリ・メガーネ~神の肉体を持つ叡智の化身~   作者: 前歯隼三
地の底で生まれし愛と憎しみ編
11/42

魔王ラグナは手を抜かない!!

正直メガーネよりラグナたん書いてたい。(真顔


 アイドル活動の最中に、その知らせは届いた。


 丸頭光博士の敗北


 それ即ちラグナ像ダンシングフェスタ計画の完全崩壊を意味し…ちょっと嬉しいラグナの気持ちと裏腹に、国中は悲しみに包まれた。


「ああ!動くラグナ像計画があぁ!」

 博士の遺作、動くミニラグナ像はプレミアが付いた。


 さて…博士の敗北は帝国に魔王軍が破れた事を意味する、そっちのが大変じゃないかとラグナもいささか思ったが…うん、戦争の事は周りに任せていて良くわからなかったので、ラグナは国民の悲しみと不満を癒すべくアイドル活動に本腰を入れた。

 さてさてさてだ!やると決めたら手は抜かない!


「全国ツアーやるんならさ~!やっぱり街ごと衣装を変えましょう!」


 偉大なるラグナ像

 恐怖のラグナ像

 友愛のラグナ像

 正義のラグナ像

 お姉様ラグナ像

 ロリっ子ラグナ像

 猫耳ラグナ像

 セクシーラグナ像

 ツンデレラグナ像

 剛腕ラグナ像

 男装ラグナ像

 全裸ラグナ像


 黒歴史だと思っていた国中の像も、よくよく考えたら面白い趣向た。各像にはコアなファンがいるのでそれぞれの像をイメージした衣装のサプライズを用意すれば…ふむ、きっと会場を熱く盛り上げる!

 しかし…うん…


「うん…裸はなしね」


 裸のラグナ像の代わりに、博士の遺作、超合金ラグナ像のコスプレをしたらどうか?提案をしたら会議室にブーイングの嵐が巻き起こった。


「う~ん、けっこうカッコいいと思うんだけどなぁ」


 最初はどうかと思ったが、博士のセンスはなかなかの物だ。この超合金ラグナ像…胸が目立ちすぎて気付かなかったが、背中に取り付けられた鉄の翼や肩から生える謎のトゲトゲ等…正直好き。


「目から光が出るってギミックも好きなんだけどなぁ…」


「いやいやいや…それは剛腕ラグナでやりましょう」


「全裸のラグナ像ですからねぇ…、あどうです。この水着を着てみては?」


「紐じゃないそれ!…えっ………なんでもさっと出るの?持ってたのコレ?何故!?」


 なんやかんや会議は進み、全国ツアー各聖地でのコンセプトが決まった。衣装だけでなく、それぞれの会場で1曲づつ歌が作られるとの事で魔王ラグナは真剣な眼差しでスケジュールを睨んだ。


「手は抜きたくないけど…時間がないわね。うーん…曲作りはみんなに任せるけど…城を出発する来週までに3…いや4曲までは仕上げて頂戴」


「延期しませんか…?ライブで各地を回りながら覚えていくなんて無茶ですよ!」


「舐めないでほしいわね…、あなたは私の才能を信じられないの?私はプロよ!?」


「し…失礼しました!」


「ラグナ様万歳!!」


 一方…その会議でついでに決まったのだが、ライブに集中する為にも帝国へ休戦交渉に入る事に決った。

 当然である、一年もやった小競り合いの結果、敗北もしたが人間達は魔王国を軽視せず、サカナールよりこちらを領地として認識は十分している様子…当初の目的は果たしている、ならば非生産な戦争よりも…ラグナグッズを作る方が世界の為だ。

 …人間と交流がある猫魔族の代表としてファンファンが派遣される事となった!


「…問題は振り付けね,ダンスの基本は同じにして…各衣装に合わせたポージングだけとかどうかしら?」


 ファンファンが帝国へ旅立ったあとも、熱い会議は続けられた。戦争資料はダンボールに入れ片付け…ライブ企画書に目を通す…ふむ、私たちの本当の戦いはこれからだ!


 3年後…

 新曲「初恋はラグナの雷で」の売り上げは上場、人指し指をピストルに見立て、恋の雷を飛ばす演出と、伝説の高笑いによる神話の再現。

 この曲でラグナ様に恋をしたという新規ファンも多く。

終戦の足音に浮ついた国民達は、より一層聖地巡礼に足を運んだ。


「ラグナ様の聖地巡礼をするようになって…体重が100キロ落ちました!」

「ラグナ様のライブにお布施をしたら、初めての友達が出来ました!」


「うんうん!嬉しい声を聴くとやる気が出るわね!」


 ラグナはアイドル活動にやりがいを感じ、強い生きがいを感じていた。…しかし、時々考えてしまう。


 ラグナは控室で、マネージャーからもらった報告書を読む。帝国に向かったファンファンからの報告書だ。


 今日は帝国代表のメガネと帝国の食文化を調べたらしい。明日は一緒に劇場に向かい、文化芸術の観点から、人と魔人の歴史的溝とこれからの交流の問題点を語り合うとか。


「うーん…マネージャー?」


「すいません、本当は大臣なんですけど」


 吸血鬼族代表の男が疲れはてた目でそう返した。

 彼は優秀だが…いかせん真面目すぎる。国営とライブ活動、どちらが本業かはき違えているようだ。


「この報告書って…報告書よね?」


「………」


 大臣は目を反らした。うん、これデートしてるだけじゃね?


「二つの国の争い、…越えがたい歴史の壁、それらを乗り越えて“平和”を目指すという事は、それはそれは大変な事なのですよラグナ様。ファンファンさんは一人異国で、その難題に立ち向かっておられるのです」


「越えられない壁を超える…それってつまり?」


「愛のはばたき!」


 ♪

 天の果てから奈落の底へ恋に落ちたらフォールダウン

 盲目の罪で身を滅ぼして、後悔ないわ私負けない

 あぁ

 飛び上がり目指すのよ

 あぁ

 愛の翼で


        作詞作曲 ラグナ=アルデンテ


 ラグナは報告書を暖炉にくべた。まさか自分のベストアルバム「奈落を超えるは愛の翼で」の歌詞で気分を害する日がこようとは…


 地上に出てからの数少ない友人の恋なのだから、それは応援したい気持ちもあったが。

 目まぐるしい日々の中で無くした思い、いや…あえて見ないようにしていた大きな傷穴…胸にぽっかりと空いた大穴を、思い出してしまった。

 ラグナは暗記中だった舞台の台本も暖炉にくべた。


「寒いぃぃいいいい!もっとぉおお!もっと火をくべてぇえええ!」


 そうだった…ラグナは恋を知るために地上に出たのだ。

 うん



 ファンファンとメガーネが帝国で愛を紡ぎ、ラグナがライブ会場に新たな炎の御柱を打ち立てていたその時に帝国北方サカナール、魔界への入り口、猫骨森その狭間の開けた大地“国境”ゴーレム岩に向けて怒り狂ったゴリラの群れが向かっていた。

うっひゃぁーーー、ようやく時系列追い付いて来ました!

主人公が誰か解らなくなってきた!

わっはー!

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