表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

憂鬱

なんとなくパンを買った。

昼休みにはもう購買に人がいない。

大抵甘いパンが残っていて、人混みに気圧される事無く楽に買える。

糖分が口の中にしつこく残る、全然美味しくないけど腹を満たすのに貢献は出来る。


「いっつもそれ食ってるよな、うまい?」


隣の席から話しかけられた。


「さっぱうめぐねー」

「甘ったるそうだべなー」


名前はユウジ、余り関わりはないが学校で話すくらいには仲が良い。


「もう食いたくね、貰ってくんね?」

「えーやだ」

「俺の親切心が」

「もっと太りやがれ」


ちなみにうちの高校は田舎出身が割りといるので訛りが強い人が多い。

自分もそのうちの一人だし、だからといって普通は気になることでもない。


「太郎ー」


後ろから声をかけられた。

振り返るとスマホでゲームをしてる友達だった。


「マルチやろ」

「だる」

「殺すぞ」

「やります」


気兼ねなく話せる親睦の深い彼、吉田一樹(よしだかずき)は、高校から仲良くなった同中の奴。

同じ部活になったのもあるが、一番は趣味が合ったことにある。

自分の好きなゲームが割りとマイナーなこともあり、同じのが好きと聞いた時は正直飛び跳ねるほどうれしかった。

それからいつも一緒に行動したりプライベートでも+αで遊んだりしてる。


「えーそいづ雑魚じゃね」

「おめさのレベルに合わせでんだべや」

「たしかに」


一樹はやりこみが半端ではなく、俺より後から始めてるのにレベル差がすごい、やばい。

だからいつも寄生してお世話になっているのだ。


「太郎いっつも同じキャラ使ってるよなー」

「だって可愛いじゃん、めっちゃ好き」

「きも」

「はい」


女の子キャラ、結構好みの容姿をしているのでめっちゃ使ってる。

というかこの子以外全然使ってない、腐ってる。


「昼休みあとどんくらい?」

「今一時」

「三回行けるな」

「稼げるべ」


残りの時間を全てクエストに消費し、経験地とお金を稼いで今度のイベントに備えるのだ。

一樹も俺も準備完了し、出撃のボタンを押した。

そしてとうとう二人の意識はゲームにのめりこんでいった。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□

放課後、特にやることも無いので家に直行した。

地元の高校なので、少し遠いが徒歩で帰れる距離。

一時間もすれば着くようなところにあった。

玄関に入り、靴を脱ぐ。

そして着替える為に制服を脱ぎ、すぐ前にある服掛けにかける。

やっぱり歩いたせいで結構汗が染みていた。

そんなワイシャツをすぐに脱衣所へ行き、洗濯機に投げ入れた。

かけてあるズボンのポケットからスマホを取り出し、急いで居間へ向かった。

そこら辺にブチ投がってる部屋着を適当に着て、座布団に腰をかける。


「暇だ」


スマホをひらく。

一樹からLINEがきていた。


『お前今日部活は?』


やることも無いとは言ったが今、普通は部活の時間なのだ。


『だるいからサボるわ』


『珍し』

『体調悪いからって言っとくわ』


『よろぴく』


今日は気分が乗らない、部活なんてする気も起きない。

トーク一覧に戻る。


 山西美月(やまざいみつき)

  『そうなんだ』

  『そうだよ』


最後に俺が送ってそこで会話が終わっている。

おとといの事、土曜日の悲劇。

あれ以来少し反省してLINEを控え中。

憂鬱な気分の原因は大体これ。


(なんでこんなに淡白なんだろう)


付き合ってから一週間は経ってるけど、冷め切った対応がどうしても抜けていない。

否、お互いの事をよく知らないままだったから仕方ないのかもしれない。

胸がズキズキする、心の奥が痛い、くすぐったい。


「はあ~~~~~~~~~~~~~~~」


でっかい溜息をついて、一層暗い気分に拍車をかけながら座布団を丸めた。

そして頭をのせ、枕代わりにするとついに不貞寝をし始めたのだった。

家族が帰ってくるまで、すこしのリラックスタイム。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ