幻想の形跡
ノアは1人森の中に来ていた。
目的は父__ハインがいった
「ゴブリンを1人で狩るまで帰宅禁止」
「はぁ。父さんってたまに無茶な事を言うよね」
そうハインが、こういった無理難題をふっかけるのは今に始まったことではないのだ。
そのためノア自体はなれてしまっているのだ。
「まぁ、ゴブリンを見つけるところからだよね。ルディ達に力を借りれないわけだから、接触しないようにしないと『オープン』」
ノアは《ROM》の中に入っている剣を取り出した。
「奴らに見つからないように慎重に………」
『グギャァァァァ!!』
「おぅ、マジかよ………」
まず
ゴブリンとは何か。
ホブゴブリンの進化種で、オークの劣等種とも呼ばれる存在。ただ、力のないゴブリンはオークに匹敵するために知恵を得た。
さらにその知恵を持って、ゴブリン達は徒党を組んだ。
つまり僕が言いたいのは、余程のことがなければゴブリンは1体で行動することがない。
僕が出くわしたゴブリンはなんと5体。
Lvは恐らくと言うより絶対僕より高い。
「どうしよう……………に、逃げるか!」
勝てない、僕はそう感じ一目散に逃げた。
「……っ!!」
だが、それは叶わなかった。
やはり狡猾なゴブリン。1人の獲物を捕らえるのに5体のゴブリンを回り込ませていた。
計10体。通常なら3体が普通だが、コレは不味い。力がないとはいえ数には勝てない、それは明白。
しかもたった1人、力がないルーザー。
もう終わった。
ゴブリンが近づいてきた。
そして棍棒を振るいあげたその時
「ルーザーなんて誰が決めたんだい?」
父__ハインの言葉を思い出した。
誰かが僕を呼んだ。
『てめぇはゆめを夢で終わらせるのか?』
違う、終わらせたくない!
まだ僕は諦めたくない。
『ならば何を望む?』
なら、この数を圧倒し敵を倒せる力が欲しい!
『その程度ではダメだ』
なっ!僕では無理なのか。
『違う、その程度の幻想はただの目標に過ぎない。てめぇに必要なのは本当にそれか?』
…………出来るなら、出来るなら母のように分裂できる力、敵を薙ぎ払えるルディのもつ勇者の力が欲しい。
そう思ったとき、体の奥底からナニカが溢れかえって来た。そして自然とその『言葉』が生まれてきた。
『そうだ。それがてめぇの幻想だ。そしてそれは現実になる!叫べ!その力の名を!』
僕はその『言葉』を叫んだ。
「『幻想の形跡』っ!」
その時、僕の中にナニカが生まれた
そしてこの声がいった
『戦え!そして現実に打ち勝ってみせろ』
「おう!」
ところかわってルディたち御一行
「はぁはぁ、これで全部か」
「あぁ、ゴブリンの数おかしくねぇか」
「計10体だもんね」
「そうですわね、ですがさすがルディ様見事にけちら___」
「じゃあ帰るか」
「そうだな」
「…………」
「やっぱ、明日ノア呼び出すか」
「ルディに賛成、やってて安心感ってのがないし」
「なっ!なぜですか?!ルディ様!あいつは敗者なのですよ!それこそ貴方のような方には一生の汚点になるような………。それなのに何で……私を選ばないのですか!」
「お前があいつのことをそう蔑むからだ」
「ルディの言う通りだな。それにあいつのことだ。明日は参加してくれるかもな」
「いやいや、多分今回はきついと思うぜ」
「そしたら、お父さんが兄さんを__ってあれ!」
「「ノア!?」」
「あっ、みんな………僕頑張ったよ…」
___ドサッ…。
彼らが見たのはゴブリンの死骸を周りに散らして、倒れたノアの姿があった。
しかし驚くのはこのゴブリンの数。
しめて、30体
皆さんは「剣いつ買ったんだ?」と思われますが実はこれ支給品なのです。
幻想の形跡、このタイトル実は技のひとつでした。正式名称は幻想の形跡と言います。
勢いで書いたソフィアの性格が予想以上に自分の想像を超えてしまい若干後悔してますw