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水色のワンピースの彼女
水色のワンピースの女性は、
手を伸ばして、
私を助けようとしてくれていた。
私は「主人がいるので大丈夫です」と
柔らかく断ると、
「どこに?」と水色のワンピースの女性が聞いて来た、
「そこに…」と私が滝の方を見ると、
そこには誰もいなかった。
水色のワンピースの女性の手をかりて、
私は水から上がった。
ビショビショの私を見て女性は笑っている、
「ごめんごめん、大人がこんなビショビショなのが、
なんかおかしくて、なかなか見ない光景じゃない?」
彼女の笑顔がどこかで見覚えがある気がしたが、
私もおかしくなり、二人で笑っていると、
彼女が「着替えあるの?」と聞いて来た。
私は着替えが無いことにその時に気が付いた、
「じゃ家に来なよ」
「え?」
「だってその服じゃどこも行けないよ。」
「でも旦那が…」
「大丈夫だよ、携帯電話あるでしょ?
旦那からそのうち電話があるよ。」
昔からの知り合いのように接してくる、
気さくな彼女の誘いを断ることが出来なかった。