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わたしの羽  作者: 田中らら
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昔の記憶

昔から心の中に何か違和感を感じていた。


その違和感が何かは、わからなかった。


ただ地球で生きることは大変で、

肉体は重くて、

自由に動けなくて、

言葉はややこしくて、

テレパシーでコミュニケーションが出来たら、

どんなに楽かと考えていた。


現実世界に生きながら、

私の居場所はここではないのかもしれない、

という漠然とした不安がいつも私の心の中にあった。


だが昨日の少女と話したことで、

私の中でバラバラだったパズルのピースが、

ピタリとそろい、一歩前進した。


自由に外出が出来なくなり、

暗中模索の毎日だった私が一筋の明かりを見つけたような、

このチャンスを逃したくない、という強い思いが私の中にあった。


昨日の少女は誰だったのか?

そんな疑問より、

今は自分のことで頭がいっぱいいっぱいだった。


私の中の過去の膨大な記憶が蘇った。


昔の私は宇宙にいた。

どんだけ前なんだと思うかもしれないが、

多分生まれる前だ。


私は宇宙でプカプカで浮いている。


青い地球にとても憧れて、

肉体を持ち、顔があり、五感がある人間になりたいと、

強く願っていた。

悲しい、嬉しい、おいしい、きれい、

良い香り、風の感触、空気の味、

私はすべてに憧れていた。


そんな昔の記憶をまるで昨日のことのように思い出した。


幼い時に自分に名前、身体があることに違和感を感じたこと、

早く移動できないもどかしさを感じたこと、

肉体が重いと感じたこと、

これらは私の生まれる前の記憶が関係していたことで、

病気ではなかった。

負け組でもなく、

弱い人間でも無かった。


対処方法はまだわからない、

でも原因がわかったことで、

心はだいぶ軽くなった。


昨日の少女との出会いで、

私の生活は一変した。


しかし、

不思議なことに少女の顔だけはまったく覚えていなかった。


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