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わたしの羽  作者: 田中らら
3/12

少女

スクリーンに音も無く流れる映像。


映像の中の私はとても疲れている。


そういえば昔から電車は苦手だった。

今は外出が出来ないので、

電車に乗るなんて想像も出来ないが、

昔は通学、通勤の為、毎日電車に乗っていた。


でも自分のことをこんなに客観的に見る経験は無い、

映像の中の私は今より20歳は若いが、

とても疲れている。


「若いね」


急に隣で声がした、

横を見ると白いワンピースを着た女の子が立っている。


ビビりな私は普段なら悲鳴を上げるところだが、

その時はとても冷静だった。


「だって今より20歳も若いから、

 まだ20代前半だもん、若いよ」


普通に返答する私がいる、

少女が誰なのかわからないが、

とても昔から知っている気がした。


「いいかげん、気が付いたでしょ?」

少女が言う。


何を言っているのか理解が出来なかった。


そして突然部屋が明るくなる、

スクリーンに朝のニュースが写し出される、

そこで目覚まし変わりのテレビが大音量で流れて目が覚める。


普段は見た夢は起きたらすぐに忘れてしまうのに、

この夢は鮮明に覚えている。


本当に夢だったのか?


あのスクリーンの部屋の匂いまで覚えている。


そんな感傷に浸っている暇は主婦には無い、

すぐに朝ごはんの支度を始めいつもと同じ朝の時間が流れて行く。


洗濯を干していると、

パートに出かける主婦がベランダ越しに見える、

なんともいえない気持ちになる、

自分は働けない、旦那におんぶに抱っこ状態、

こんな自分でいいのか?

働ける人が勝者ではないことぐらい頭ではわかっている、

でも心の中はそうではない。

自分は負け組で、普通に働ける人が勝ち組、

朝の通勤の光景を見るといつも気分が下がる。



主人は家事、育児が仕事だろと優しく諭してくれるが、

心には響いていない。

心のどこかで、自分の生まれて来た使命は何なのかを探している自分がいつもいる。


家事が終わり、

昨日の夢のことを思い出す。

あれは夢だったのか?

「気が付く」って何に?


またいつもと同じ1日が終わり夜が来る。


夢の続きなんて見たいことがないが、

昨日の夢の続きが見たい、

あの少女と話しがしたい、

こんなことを考えながら私は眠った。



そして昨日と同じスクリーンの部屋に私はいた。







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