出会い2
8
卒業式も終わり数日がたった。今日は校長に退職願いを出すつもりでいた。しかし、いざ校長に会いに行くと開口一番
「やぁ、先生待ってたよ。今日は先生の退職について一つ相談があるんだ。」
そんなことを言われた。校長の話しによると私の授業が、他の先生たちへのいい勉強になったそうだ。もう少しここに残って他の先生たちの指導をしてもらえないかと言うことだった。
これから一ヶ月は盲導犬との共同訓練があるし盲導犬がいたら学校には入れない、という旨を伝えた。すると
「それなら問題はありません。一ヶ月の休養と言う事で休みを取ってから復帰してくだされば大丈夫ですよ。それに卒業生たちもたまに遊びに来るみたいですし。その時は彼らをびっくりさせましょう。」と言われた。そんなこともあり、一ヶ月の休みをもらい、盲導犬との共同訓練に参加した。
9
今日は盲導犬の卒業式だ。ラブラドールレトリバーのラブだ。
これから私の目となり私を支えてくれる。
あれから1ヶ月間、訓練士の指導のもと共同訓練を行った。今日から私の生活を支えてくれる頼もしい相棒だ。
明日校長へ相棒の紹介を兼ねて会いに行くと電話した。
それから私たちは後日全校生徒へ集会で挨拶をすることになった。
10
「先生、今日は試したい事があるんです…」
「はい?なんですか?」
「実はですね、今年度からテレビを導入したんですよ。」
「はぁ、それで?どうするんですか?」
「えぇ、それを使って集会しようと思うんですよね。」
「生徒たちを集めなくていいんですか?」
「はい、生徒たちからの『お尻が痛い。』とか『前が見えない』と言った苦情が多くてですね。月に一回も使用する予定がないので有効活用しようかと思いましてね。」
「それで私が試験運用して、生徒たちの様子を校長先生が見て回ると言うことですか?」
「さすがですね先生、そのとおりです。ホームルームの前に放送して、そのままホームルームに入れるのか試そうと思いましてね。」
「そうゆうことでしたら、分かりました。」
そう言って校長室を後にした。
ラブに先導されながら私は職員室に入った。
すると何人かの先生がこちらに声を掛けてきた。
「先生、お久しぶりですね!その子が例の?」
「えぇ、この子の名前はラブと言います。昨日卒業したばかりです。」
「へぇー、この子が。昨日卒業したばかりなのに平気なんですか?」
「卒業と言っても、様々な訓練を終えてから試験を受けたみたいなものですので。問題無いですよ。それにこの子は優秀ですから。首席で卒業したんですよ?」
「すごいですね!実は卒業式はその子だけだったとか言いませんよね?まぁ、なんかあったら言ってくだい。手伝いますので。」
「ははは、そんな訳ないじゃないですか。ちゃんと他の子もいましたよ。はい、ありがとうございます。その時はお願いします。」
こうして私たちは、職員に相棒を紹介も兼ねて挨拶をして回った。
その後、帰宅して妻と一緒にラブとの出会いを思い出していた。
to be continue…