閑話 ハロウィン
ハッピー?ハロウィン!
書くつもりなんて毛程も無かった。
ただ、いつもと違う(ある意味変わらない)紗奈ちゃんを書きたくなって書いた。後悔も反省もしていない。
誤字脱字等があると思いますが、ご了承ください。
突然ですが、今日、十月三十一日とはなんの日でしょう?
答えはハロウィン。都会の街中にコスプレ集団が大量発生したり、「トリックオアトリート」と言って子供たちがお菓子を集りに来たり……えっ?口が悪い?すいませんね。
さて、ここで一つ、ハロウィンについて説明しようか。
元々ハロウィンとは、古代ケルト人の収穫祝いである。収穫が終わると暗い冬の季節が始まり、悪霊や魔女が訪れやすくなると信じていた当時の人々にとっては、彼らを追い払うための大切なお祭りでもあった。
その後、カトリックの国々で十一月一日が「諸聖人の日|(All Hallows Day)」となり、その前夜祭として十月三十一日が All Hallows Eve と呼ばれるようになった。現代の人々は、 All Hallows Eve を略して Halloween(Hallow’een) 、つまりハロウィンと呼んでいる。
それを知ったアメリカが、なんやかんやで皆で楽しむお祭りに変えたのだ。多少偏見があったり、説明が雑だが許してくれ。
ついでに言っておくと、先に記した「トリックオアトリート」とは、十六世紀頃、アイルランドやスコットランドで子供や貧民が仮装し、家々を訪ねて歌を歌ったり、祈りを捧げて、変わりに家主(家の者)からケーキを貰っていたのが始まりだ。話の続きとして、その子供たちや貧民に食料を与えた家には幸運が、拒んだ家には不幸が舞い降りたことから、「お菓子をくれなきゃいたずらする」が生まれたのだと。決して和気藹々と(稀に殺伐としているが)笑顔でお菓子を要求していた訳ではない。ましてやくれなかった相手を虐める訳でもない。皆ちゃんと歌ってたり祈り捧げてたんだぞ、見習え現代人。
と言った感じで(多少見方が偏っているが)、ハロウィンはただのお祭りではない。これからは少しでも意識してくれ。
□ □ □ □ □
俺──氷室颯太は、リビングで立ち呆けている。
理由は、目の前に広がる光景だ。
可愛らしい元後輩であり現義妹の少女、夏目紗奈が、少し扇情的な、つまりえっちぃ衣装を来て飾り付けをしていたのだ。
「お、お帰りなさいです。お兄ちゃん……」
流石に恥ずかしいのか、紗奈は顔を赤く染め視線を反らす。
「え、えっと、ただいま」
颯太は戸惑いながらも、言葉を返す。
いやいやいや、なんでそんな格好してるの!?エロい、もとい不埒だよ!?
こんな言い訳をしているが、正直に言います、めっちゃ好みです。いや、もう言い訳は言わないけど、とにかくエロい。紗奈ちゃんの発展途上(どことは言わないが)な体が、布面積の少ない衣装によって、ギリギリのラインで隠されている。
肩は勿論のこと、腹部の白い肌(ついでにおへそも)露になっており、ニーソ(正確にはオーバーニーソックス)と極短のスカート|(隠れていない)によって、とてもエロいことになっている。いや、エロって単語言い過ぎでしょ。
「えっと、父さんと母さんは?」
流石にこの姿を見せるのは宜しくない、絶対に。
「えっと、二人には今日は帰って来ないように頼みました……」
えっ?
「その、今日はお兄ちゃんと二人っきりがいいって言ったら、二人とも笑顔で了承してくれました」
いやいやいや!なに気軽に了承しちゃってんの!?義兄妹だとしても、年頃の男女が一日二人っきりとかダメでしょ!?
「あ、うん……」
颯太は返す言葉が浮かばず、頷く。
「お、お兄ちゃん、どうします?」
少しの沈黙の後、紗奈は未だに視線を反らしながら訊ねる。
「どう、と言われても……紗奈ちゃん、先にその服着替えてくれないかな?」
「えっと、誘惑──じゃなくて、今日はハロウィンなので仮装してみたんですけど、ダメですか?」
紗奈は潤んだ目で颯太を見詰める。
今、絶対誘惑って言ったよね……
「寒くない?」
「それならお兄ちゃんとべったりねっとりくっつけば問題ないです」
そう言うと、紗奈はドヤ顔をつくる。
ちょっと表現が卑猥だけど、ドヤ顔が可愛い……
どうやら颯太は既に、紗奈に甘くなっているらしい。
そうしていると、紗奈は颯太の目の前まで歩き、潤んだ瞳で見上げる。
「ど、どうしたのかな?」
颯太は少し戸惑い、いつもと違う口調になってしまう。
「お、お兄ちゃん。と、トリックオアトリート……」
俺氏死亡。死因、萌え死。
「お、お兄ちゃん、大丈夫?」
大丈夫じゃないよ……今告白されたら断れる気がしない。決して、いやらしい意味ではないぞ。
「トリックオアトリート、お菓子くれなきゃイタズラします……っ!」
そう言うと、紗奈は呼吸を荒げながら、颯太との距離を縮める。
おかしいな、いたずらって絶対違うよね?そうじゃないよね?
身の危険を感じた颯太は、急いで紗奈との距離を取る。
「ど、どうして逃げるんですか?」
「いや、今の紗奈ちゃんは危ないから」
「むぅ……」
紗奈は不満気な声を上げ、頬を膨らませる。
「ほら、お菓子ならあげるから」
よかった、事前にお菓子を買っておいて。
そう思いながら、颯太は先日買ったお菓子を取り出すため、棚の戸を開ける。
「は?」
そこに、買っておいた筈のお菓子は存在しなかった。
「どうしたんですか〝先輩〟、もしかしてお菓子ないんですか?」
急いで振り向くと、紗奈が悪戯な笑みを浮かべながら近付いて来ていた。
紗奈のその表情から、颯太は察した。
まさか、この日のために隠された!?
勿論、颯太の考えは当たっているのだが、紗奈が場所を答える筈もない。
「お菓子が無いなら、イタズラですね♪」
「ッ!」
颯太は紗奈を避けて、台所からリビングに移動する。
「お、落ち着いてっ!」
そう言いながら後ろに下がる。
不意に、足に何かがぶつかり、颯太はソファーに倒れ込む。
それを好機と見たか、紗奈は距離を縮め、颯太に馬乗りする。
「っ!?」
颯太の脳を支配したのは、〝柔らかい〟という言葉だった。
もう、ナニが柔らかいかとかじゃない。紗奈ちゃん自体が柔らかいッ!
どうやら、颯太の思考は少しバカになってしまったようだ。
「さぁ、イタズラの時間ですよ……♪」
そう言うと、紗奈は颯太の服の中に手を入れる。
そのまま、颯太の体を這わせ、念入りに撫でる。
「うふふ、顔を赤くして、先輩可愛いです」
「可愛いのは、紗奈ちゃんの方だけどね……」
その言葉に、紗奈は恥ずかしさで耳まで真っ赤に染めるも、手を退けることはなかった。
「ねぇ先輩、実はこのコスプレ、友人に借りたんですよ」
ふと、紗奈がそう言う。
「そ、そうなのか」
「それでですね、これってサキュバスって言うらしいんですよ」
その言葉に、颯太は目を見開く。
「先輩は知ってますか?」
勿論、知ってますとも。
サキュバス、正しくはスクブス。キリスト教に出てくる下級悪魔。夢魔、淫魔とも言われる。夢の中に現れ、男性を襲う。ついでに、サキュバスは女性の夢魔、男性の夢魔はインキュバスと言われる。……今回の俺、解説多くないですかね?
それはともかく。
「そ、それがどうしたんだ?」
その言葉に、紗奈は淫らなオーラを出しながら、口を開く。
「だから、お菓子をくれない先輩に、え、えっちなイタズラをしちゃいます」
そう言い終えると、紗奈はより一層顔を真っ赤に染める。
リンゴも驚く赤さだろう。
そして、今の紗奈ちゃんの言葉に反応してしまった自分を殴りたい。勿論、下は反応してないが。流石俺の理性。
颯太は途切れる寸前の理性を振り絞り、声を上げる。
「もし紗奈ちゃんが良い子にしてくれるなら、ご褒美をあげよう──」
そこからは早いものだった。
颯太の言葉に、紗奈は満面の笑みで喜び、颯太の上から退いた。
その後すぐにサキュバスのコスプレから普段着(といっても、十分お洒落をしていたが)に着替えた。その際に、颯太も部屋に戻り、部屋着に着替えた。
隠されていたお菓子も、紗奈がすぐに取って戻ってくる。どうやら部屋に隠していたらしい。
戻ってきた紗奈は素直に謝り、お菓子を机の上に置いた。
そして今、颯太は紗奈に膝枕をしていた。
「ふふふふ~ん♪」
紗奈はご機嫌に鼻歌を歌う。
颯太は、自らの膝に預けられている紗奈の頭を、ゆっくりと撫でる。
この度に、紗奈は気持ち良さそうに体を動かす。
「本当はもう少し激しいご褒美をもうそ──想像してましたけど、これはこれで十分です♪」
「そーかい」
紗奈の言葉に、颯太は相槌を打ちながらも、撫でる手を止めない。
「その、〝お兄ちゃん〟はさっきのコスプレ、どうでしたか?」
さっきのコスプレ、と言うのは、サキュバス(らしい)の衣装のことだろう。
「正直、すごいエロかった」
「ふぇっ!?」
颯太の感想に、紗奈は目を丸くしながらも顔を真っ赤に染める。
もう湯気でも出てきそうだね、ホント。
「そ、それじゃあ、また着てほしいですか?」
紗奈の問いに、颯太は「うーん」と唸りながら口を開く。
「ちょっと過激だから、できれば着ないでいてくれるとありがたいかな」
「そうですか」
そう言うと、紗奈は体を起こし、正面から颯太に抱き付く。
「紗奈ちゃんっ、ホント甘えん坊だな」
「えへへぇ~♪」
颯太はその体勢でも、紗奈の頭を撫でるのを止めなかった。
どうやら、紗奈の頭を撫でるのが癖になってしまったようだ。
それから、二人で夕食をとり、二人で風呂に入り、二人で寝ることになってしまった。
勿論、颯太としては嬉しいことなので、断ることはしない。誘惑をしないという条件付きだが。
結局時は過ぎ、時刻は十時四十分。寝る時間になってしまった。
颯太の部屋で寝ることになり、狭いベッドで体を密着させる。
「おやすみなさい、お兄ちゃん♪」
「あぁ、おやすみ」
そう返し、颯太は目を閉じる。
意識を手放す寸前、颯太は今日を振り返り、思う。
──サキュバスコスの紗奈ちゃん、もう一回見たいな──
この作品を読んで頂きありがとうございます!
誤字脱字、改善点等がございましたら容赦なく教えてください!
感想、ブクマ登録宜しくお願いします!
良ければお気に入りも~♪
この作品を読んで頂いた読者様に最大の感謝を