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始まらない物語

始められなかった王子様

作者: 火素矢

「始まらない王子様との物語」の〈王子様〉視点の話

 彼女だ……俺の心はそう歓喜で絶叫した。


 幼い頃から夢を見る。


 多分前世とかいうのを夢で見たのだろう。



 俺はどこぞの王子だった。




 厨二病とか言われると一言もないが、東欧だか何処かに似ていた国の王子だった。いやどうにも魔術じみたものを使っているから、異世界とやらかも知れない。


 戦乱の時代だった。国の内外は乱れ、人は死んでいく。



 そんな時代、俺は王宮の侍女を見初めた。


 美貌も然る事乍らその温かい雰囲気に惹かれて強引に自分の物にした。


 現代に生きる俺からしたら非道な行為だ。


 だが現代の善悪で考えるべき事ではないのだろう。


 何時でも会えるように邸宅を与え、そこに出入りした。


 王宮の敷地内ではあれ、別段その邸宅自体は豪勢でも何でもない。年老いた管理人夫婦に預けただけの、それは“囲っている”だけという誹りを免れない。



 大貴族の娘でも大商人の縁者でも何でもない、言わば愚痴を吐いても誰に洩れることもないだろう。


 側近の一人が、然るべき家に養女として出して正規に迎えればなぞと、賢しらげに言上してきたが、全く判っていない。



 キチンと礼儀作法なぞは教育されているとはいえ、男爵の家ですらない騎士の家系の娘だ、私の言う事の半分も理解できまい。


 つまり彼女自身も理解できていない私の愚痴を誰に漏らすというのか。

 どこぞの大貴族の紐がつけば愚痴を言い辛いし、それではこの娘、エリィの価値がなくなる。


 ……酷い話だと本当に思う。


 だが内外に敵を抱え、家族すら味方ではない王太子だ。俺がそう批難しきるのも……。


 邸宅に行き、暖かくて美味い心尽くしで胃を満たし心を休める。


 そう、都合が良かったのだろう。伯爵、いいや男爵・子爵であれ貴族の娘をこんな風に扱えば抗議の一つ二つ来るだろう。


 野に咲く華には稀な美貌だが騎士爵の家の娘だから、こんな風に……ハッキリ言えば使い捨ての如く扱えた。


 確かに彼女が生きている頃に、戯れに来世があれば今度こそ供に、ぐらいは言った。だが本気で言ったかといえば、怪しいと自分でも思う。


 エリィは心地よかった。だが心地良いだけの嗜好品に過ぎない。



 そうしてエリィ自身がそれを弁えた娘であった。王子たる俺が滞在するのだ、邸宅の調度品はそれなりに豪華になり、食材は適当に豪勢になる。


 だがエリィ自身で選んだものもなく、すべて検閲されているものだ。


 外に出る事も許されず、手紙も全て検められる。彼女自身がどれだけ王子自身を慕ったのか疑問もある。


 だがエリィは王子(おれ)が贈り物をすれば素直に喜んだ、どんなにたわい無い物でも。


 戯れの如き「来世が云々」も頬を染めて頷き、星を供に眺めた。朝焼けを美しいと思ったのは、初めてでもある。


 恋人ごっこか夫婦の真似事か、ママゴトのようなものだ――だがそれがどれほど王子(おれ)の救いになっているか、気が付いていなかったのだ。


 やがて隣国の姫を娶らねばならなくなる。戦国乱世の時代、王太子たる者が我が儘は言えぬ。


 さらには国内の貴族派の姫も側室に迎えねばならなくなる。 


 そうなれば準貴族の娘なぞに会いに行く暇などない。

 一月おきになり二月が流れ……気が付けば頻繁に出向いたあの邸宅に、向かうことはなくなっていた。


 王侯の姫君たちは見目もエリィに負けてはいないが、頭の良さは段違いだった。


 会話の全てが刺激的であり、国政も忙しくなり思い煩うことも止めていた。


 そこで気が付けばエリィが死んで数ヶ月は経っていた。


 邸宅を管理していた老夫妻は余所に移ってしまったし、状況なぞ知る由も無かった。


 しかし調べても他殺でも自殺でもなく、食が細くなって身体を壊し、そのまま風邪を拗らして亡くなってしまった。


 だけだった、だけだったのだが。


 

 心に走った衝撃は尋常ではなかった。


 王子(おれ)は妻を亡くした、とそう思えてならなかった。

 教養もなく家事とちょっとした庶民的な料理が出来るだけの娘が、王子(おれ)にとってどれだけ救いとなっていたか。


 戯れに口にした来世という戯言、それを思いながら激情のまま涙をこぼした。


 この場を去ればまた王太子に戻らねばならないのだから。





「……君、どこかで会った事があるか?」



 サークルの仲間にねじ込まれた合コンに出たのは、気晴らしの意味もあった。


 潔癖を気取る積もりはないが、肉食獣の如き女達と遊ぶのは疲れる時もある。


 そこに彼女(エリィ)がいた。

 何故だか俺には判ったのだ。


 だが俺の問いに「さあ」と気のない返事だったし、特に他の男に興味がある風でも無かった。


 彼女に話し掛けねば、せめてアドレスだけでも聞き出さねばと焦る心と裏腹に、回りの女達が五月蠅くてどうしようもなかった。



「……二次会……ってアンタ明日バイト早いんだっけ」


 彼女の友人らしい女がそう言うと、一言礼らしき物を言い後ろも見ずに去って行った。


 名前を呼んだが、聞こえなかったように歩いて消えた。


 だが俺の心は「ようやく見つけた」と叫んでいた。名前と学校さえ判れば幾らでも見つける術はある。 


 実際大した手間もなく、名前と簡単な経歴を知る事が出来た。

 実家の手を借りることもなかったぐらいだ。




「……巫山戯やがって」


 憤りが止められず、机を殴りつける。



「出身校が同じじゃないか」


 生徒会に所属した俺は、一応有名人だった自負がある。


 なのにだ、十五年同じ学校に在籍していながら、俺の事を知らないと答えたとは。



 だがまあ良い。


 ようやく会えたのだ。彼女(エリィ)を再び俺の手に抱くために行動に出なければ。


 今は判らずとも思い出せば俺の手を取ってくれる。

 疑いもせず、彼女の学校に向かう。


 校門で彼女を待っていると、回りがざわつく。だが気にもしないで彼女を待つ。


 ついに彼女がきたが、俺が居る方を見ても気にもしないで時計だけを気にして立ち去ろうとしていた。


 俺は咄嗟に走り寄り、彼女の名を呼ぶと腕を掴んだ。



「……あの、何のご用でしょう?」


 怯えるでもなく、だが困惑したように俺を見る。


 ……それはまるで他人を見るようで。




「……少し話せないか、ここは目立ちすぎる」


 抱き寄せようとしたのを抵抗されて腹が立った。


(この女は俺のものだ)


 そう強く思いつつも、まさか往来でそんな事をするわけにはいかない。


 だがこの女(エリィ)は迷惑そうにこちらを見るだけなので、思わず掴んだ腕に力を込めた。



「痛いです、離して下さい」


 そう言われたが、話を聞こうともしないこの女(エリィ)が悪いのだ。


 

「君が話を聞いてくれたら……」


 だが埒が明かないと、僅かに手を緩めた。



「……分かりましたから落ち着いて下さい。話は聞きますが、ファミレスか喫茶店で伺います」



 聞く、という態度ではなくて、正直渋々という感じである。だが多少は前進したと、俺はホッとした。


「……どうせならもっと良い店で……」


 彼女との食事なら奮発しても良い、言外にそう言ったつもりだったのだが。



「……顔を知っているだけの誰かさんと、食事を共にする気はありません。痛いので、いい加減に腕を離してもらえますか」



 衝撃を受けた。ただ静かに俺を包んでくれたエリィの筈のこの女(エリィ)が、俺を拒絶するのか。


 だがこんな場所で騒動を起こしてもつまらない。


「……分かった、行き付けの喫茶店がある。そこまで「いやです」……なぜ?」


 喫茶店ですら嫌だというのか?


 だがファミレスや駅前のチェーン店の喫茶店では、俺とエリィの再会が安っぽくなってしまう。



「貴方のテリトリーで話す気も、こんな晒し者になった上で、近くの喫茶店で話す気もありません。二駅先の駅前の喫茶店で話しましょう……当然ですが私は電車で行きます」


 そこまで……なんでそこまで俺を拒絶する。

  


「だが……」


 何か言おうとして、この女(エリィ)から嫌悪の目で見られたことに気が付いた。


 駄目だ、思い出す前に嫌われてしまっては話にならない。


 鼻白んで手を離すと、少し言葉に詰まってしまった。


 すかさずメモ帳に駅名と喫茶店の名前を描いてページを破り、こちらに渡してきた。

 メールでなかったのはアドレスを知られたくなかったのだろう。


 


「……分かった。その喫茶店に必ずきてくれ」


 メモを受け取ると、確認するように吐き捨てるように言葉を出していた。



 そうして近くのコイン・パーキングに止めてあった車に戻った。






「……それで、何のご用でしょうか。合コンで一言喋っただけで、アドレス交換もしなかった人に、急に腕を掴まれる憶えはないのですが」



 30分程後に、二駅程遠くの駅前の喫茶店で向かい合って座る。


 彼女は珈琲を啜る。だが俺はチェーン店の珈琲なんて舌にあわず、余計に機嫌が悪くなっていた。



 彼女の言い草も、俺の存在を無視しているに等しい。


(思いだしたらタップリとお仕置きだ)    


 そんな嗜虐心まで抱きながら泥水のような珈琲を啜る。



「……君は嘘を吐いたね。俺と会った事も無いって」


「はあ」


 呆れたように溜息をつくのでムッとした。



「そうですね、私は貴方と高校が同じです。同じ学年ではあったでしょう……それで?」


「それでって、知っていたら知っていると言えば良いじゃないか」


 そうだ、何も知らないフリをする事はないじゃないか――俺たちの仲で。



「私は「さあ」と言っただけです。いえ確かに貴方は目立つ方でしたから存じ上げていますが、同じクラスになった事もなければ話した事もない。だから知っているとは言わなかった」



 それは学生時代から一貫して俺に興味がないと言う事か。


(……巫山戯るな)


 もう駄目だ。

 この女はエリィの生まれ変わりだろうが、俺のエリィじゃない。


 大丈夫、名前を呼べば、俺の(エリィ)だと思いだしてくれる。



「エリー」


 万感の想いを込めたために、多少発音が変になってしまった。


 だが俺がこう呼びかければ、またあの笑顔を浮かべるだろう。



「……どなたかとお間違いですか? 私はエリィと言う名ではございません」


 な・んだと。


 この後に及んでまだ俺を分からないというのか。



「私が分からないのか。生まれ変わっても一緒と言ったじゃないか」



 夕暮れの日差しが遠くなり、俺はあの頃の(王子)に戻っていった。



 俺の中の俺が急に叫び出す。


(おかしい、今日の俺は傲岸不遜に過ぎる。いくら何でも他人を()なんて思っていないぞ)


 そうだ、確かに友人たちに傲岸不遜とか俺様とか言われている。

 だが言う事を聞き入れないぐらいでこんな見下すような思考になるほど俺は終わっていない。



 だが肉体の制御は俺の心をはなれ、(王子)が俺を埋めていく……悲鳴を上げながら彼女の方を見れば、金色の髪の少女が見えた、気がした。


 だが冷たい視線で俺を見ていた、あの頃のような笑顔ではなくて……それを見ながら次第に意識が遠くなっていく。






「……俺は今何か言ったか?」


 意識が跳んだ、気がする。


 だが「エリィ」と呼びかけてから、意識が曖昧だ。

 だが壁に掛かった時計を見れば時間は幾らも過ぎていない。


「……さあ? 何かエリィと呟いたようですが、すぐボーッとされたようです。話が終わりなら私これからバイトがあるので失礼します」


 先程までの強熱は消えているが、それでも彼女が「エリィ」である事は間違いの無い話だ。


 未練がましく、だが先程よりも注意して腕を掴んだ……いや掴もうとした。




「……あなたがどんなにお偉いかは知りませんが、予定の入っている女にしつこいのはどうかと思います」


 鮮やかに振り払うと、俺に興味など一片もないように立ち上がる。


 テーブルを見れば彼女の分の珈琲代がキッチリ消費税分までおいてある。



 そうして去って行く彼女を、俺は追い掛けることが出来なかった。






 とぼとぼと車に乗り、家路につく。


 今日の俺はおかしかった。


 あまりにも傲岸な態度で、あまりにも駄々っ子のように振る舞っている。


 前世の王子が表に出たのかと思ったが、それにしたってだ。


 彼女を「エリィ」と呼びかけてから強熱が沸騰し、そうして気が付けば普段の俺に戻っていた。


 だが俺にはあの笑顔が必要なのだ。


 


 次の日からあの夢(・・・)を見る事は無くなっていた。それでも俺は彼女を手に入れるために、躍起になって………………空回りした。



 正規に付き合いを申し込もう、そう思った。幸い彼女の実家もそう悪い家でもない。


 少なくとも門前払いされる程、俺の家は安くもない。



「……何を言うかと思えば」


 父母に打ち明けたら呆れられた。



「……家格が釣り合わないとか言うのか」


 呆れた目で俺を見た父母にカッとなって、挑むように言ってみる。



「それもありますが、それ以上に相手の気持ちはどうなのです」


 冷や水を浴びせられたような気持ちになるが、それでも奮い立たせていった。


「確かにまだ……だが、絶対彼女は俺の気持ちを受け容れてくれる」


 筈だ。


 だが父も母も胡散臭そうな目で俺を見ている。


「……当人同士の問題も然る事乍ら、格差のある家だとコンセンサスが重要だぞ。一挙手一投足、全ての部分を見られる、粗を探すためにな。お前は守れるのかそんな状況から」


 うぐ、と父の言葉に言葉が詰まる。


 王子(おれ)は彼女を守れなかった。

 でもだからこそ今世では、彼女を俺が幸福にするのだ。



「……貴方が望んだという娘の経歴を見ました。彼女の今の立場は特に問題とは思えませんが、我が家に嫁として入るのなら別です」

「礼儀作法に教養、さらには出身大学。嘴を容れる部分は無数にあります。彼女を娶るとして、彼女が幸福になる確率は低いでしょうね。ただでさえ柵の多い我が家です、多少見目が良い位なら、有名芸能人でも連れてきなさい。そうすればまだ世間様が防波堤になってくれます」


 母は冷静にこちらを見つめた。


 分かっている、分かっているのだ。



 だが俺はあの(エリィ)から得た温もりを手放したくはないのだ。



「そもそも格差のある相手との婚姻の場合、本人たちの想いよりも覚悟が重要です。(わたくし)も母として息子が幸福になるに越したことはありませんが、余所様のお嬢さんをみすみす不幸にさせたいとも思いません」


 何時も優しい母が、厳しい表情で睨み付けてくる。


「それを踏まえて、貴方は彼女の同意を得ているのですか?」



 ガックリと、俺は心が折れる音が聞こえた気がした。



 

 取り付く島もない父母の正論を相手に何も出来ない。


 それでも一応向こうの家に打診はしてくれたようだ。


 だが彼女の家はやんわりと断ってきた。



「我が家はそちら様と釣り合いが取れると自惚れられるような家ではありません。何かのお間違いでは?」


 そうやんわりと言われたと、俺に伝えてきた。


 最初俺は信じられなかったし、むしろこんなにしっかりとした家なら、なぞと思い母に言いもした。



「……打診したらそう言われましたが妥当なことです。物の分からない輩は玉の輿に憧れたり出来ますが、実際に嫁に出すとなればこちらの家格にあわせた準備も必要です。貴方が次男三男だと言うのならまだしも嫡男なのです、嫁入り道具も莫大にもなりましょう……向こうの身代にも関わるぐらいには」


 国家元首……の代理は招かれる結婚式だ。

 ちょっとやそっとの結婚式では対応できない。


「むこうもそれなりの家ではあるのです。さらには会社の規模も違いすぎる。吸収合併というのも馬鹿らしい、下手に両家が結びついたら、どう考えても下請けにしか成り得ません。ですが向こうの商売なぞこちらは特に必要もない、なのに娘との縁だけで仕事を回されたりして、娘が離縁でもされて出戻って梯子が外されたらせっかくの家業がお終いになってしまいます」

 

 そんなつもりはない、俺はそう言いたかったが、母に胡散臭いモノを見る顔をされた。


「……現状、貴方が彼女を欲する物は何ですか? 容姿は確かに可愛らしいお嬢さんですが、我が家に入るにはそれ以外の物が足らない。だのに貴方は欲しいという、相手の心が手に入ってもいないのに。これ以上言うのなら、せめて彼女の心を手に入れてから言いなさい」


 以降は話を聞いてもくれなくなった。

 父はもっと聞いてもくれない。


「美人が欲しくて愛人にしたいという話なら親も家も巻き込むな。そこまで干渉する気はない。だが彼女を家に入れたいというのなら段取りが必要だ。我が家はちょっとした悪評ぐらいで潰れたりはしないが、それでも好んで悪役になぞなりたくもない」


 父の言うことも母の言う事ももっともだ、と思う。

 だが頂に住まう孤独な心を癒やす場所、翼を休め爪を鋭くするのには彼女(エリィ)が必要なのだ。





 校門で話すのは迷惑そうだから、彼女のバイトが終わる時間に彼女に会いに出かけた。



「……エリィ……」


 彼女を見ても、心から溢れる物が無い。前に見かけた時には心から「かのじょだ!!」と思えたものだが。


「……」

 

 胡乱げな目でこちらを見たが、特に興味を示さなかった。


「……待ってくれエリィ」



 それでも興味ないという風でこちらを見もしない。


「……エリィとは誰のことです? 〈王子様〉」


 揶揄するような口調でエリィは言った。


 一瞬鼻白むが、気を取り直して彼女に声を掛けようとし、手を伸ばす。


 エリィの顔が見えたかと思うと、一瞬気が遠くなった。




 気が付けば何処か分からない空間で俺はただ彼女に請うていた。




「……だが俺には君のあの笑顔が必要なのだ」


 すると目の前の女(エリィ)が、あの(・・)笑顔を浮かべた……ように見えた。


「……こんな笑顔を有り難がるなんてね。こんなの諦めと恭順の顔よ、笑顔なんてもんじゃない、恐怖が根幹にある媚……阿諛追従の笑みだわ」


 蔑むように吐き捨てた。



「何を美化しているかは知らないけれど、無理矢理犯しておいて、来世にも残るような恋だと……本気で思っていたの? ましてや王子様(あなた)は監禁して飽きて捨てただけ……あなたの理屈は良いとして、無辜の民であるが故に無力なエリィは屈服しなければ殺されるから絆され愛した。けれど今世までそんな想いが持ち越すと……本気で思っていたのですか〈王子様〉?」


 私はエリィじゃないのに、そう言いたげな彼女に一言も言い返せなかった。


「……だが、だからこそ俺は今度こそ貴女を幸福(しあわせ)にしようと……」


 だが此処で本当に口を閉ざすと、このままではここで終わる。


「そうしてこのまま無理矢理自分のモノにして囲いますか……飽きるまで? 前と今ではちょうど立ち位置が似ています。似ていて変わっていない、今のあなたでは結末も同じでしょう。どう考えても私はあなたのお家に相応しくもない所までもいっしょ、ならば家を出て凡庸な幸せでも追求できますか……あなたが」


 違う……違う……違う。俺が望んでいるのはそんな事じゃない。


 ただエリィとの暖かい家庭が……。



「エリィのことすら良く憶えていないだろうに、私のことなんてよく欲せますね? 私は知識も教養も家柄も……何一つ釣り合っていません。でも別にそれを恥じていませんよ。私はこの辺の女ですが、それでもそれなりに生きていけるから」


 確かに彼女を妻に、となれば色々ある。だが努力すれば……。


「それに私があなたの話を聞かないで拒絶するのはそんな私を見もしないで(ゆめ)(まぼろし)のような過去を美化しているだけの男に興味なんて湧かない」


 だが俺は種撃を受けた。俺の記憶の中のエリィは、こんな事を言わない……何故かあれから記憶が甦ることも夢を見ることも無い、次第に薄れていく記憶だ。


「所詮はこの世の何処にもない御伽噺、それも美化するような綺麗なモノじゃなくて醜悪な類でしょう? 囲った女を飽きても手放さないで死なせたなんて。なんで飽きて放っておいた女に執着しているのか謎です。まして私はまったくの別人、無理矢理身体を奪われたら弁護士と供に警察に駆け込みます」


 御伽噺……綺麗じゃない夢……囲った女を死なせただけ……飽きて放っておいた女……執着……違う……違う……違う……違う……ち……が……う。


「だってあなたには誠が見えないもの。夢を美化して残り香だけを根拠に口説かれても飽きたら捨てられるとしか思えない……私はエリィじゃないから余計に。エリィだって美貌以外は凡庸だったから飽きたってのに、私はあんなに従順になれないもの。あなたのお家に入るには馬鹿みたいに憶えることも多いのに、あなたを好きでも嫌いでもない私に、才能があっても厳しい苦労を前提に従順になれなんて言わないで……エリィと同じだけ凡庸な私なのに」


 俺は……ただ美化しているだけなのか。目の前のこの女は……エリィでは無いのか。



「……支配者の孤独……頂きに佇むモノの苦悩……そんなモノ、私は知らない。あなたが前世も今世も心の内に孤独を抱えていても私は知らない。そう言うのはキチンと恋愛をしてその相手に求めて……私はあなたとは縁の無い女よ」


 拒絶……これ以上はない拒絶だ。



「……エリィは……貴女では無いのか……いいや俺も分かってはいたのさ。背負わねばならない重さに……俺じゃない誰かの愚かさ故に失った愛だったものを美化して、その誰かが得た安らぎを自分のモノと勘違いしていたかった」


 だってエリィのこと自体良く思い出せない。

 エリィ本人と顔を合わせても愛せるかも不明だ。というよりも価値観が違いすぎて無理だろう。


 ましてやこの娘は経歴を知れども、心根は知らない。

 ただエリィだったと言うだけの……あるいは似たような魂だから死した記憶が焼き付いたのか……何れにせよそれだけの別人だ。


 彼女の言う通りエリィにあったのは阿諛追従だったのかも知れないし、そうでは無いのかも知れない。

 

 だが彼女の想いはどうであれ、前世(おれ)は確かに安らぎを得て、確かに愛していた。失ってから始めて実感したとはいえ。


 ……だがそれはこの娘ではないのか。



「……始まりがどうであれ愛情は育める。だが貴女にその気は無いのか」


 悲しい、が目の前の女性がエリィでは無いと分かって拍子抜けしている。


「……だって面倒なのは嫌ですもの。旧家であっても割と自由にさせてくれる我が家ですら、面倒なしきたりや礼儀作法に五月蠅いのに……国家元首級と日常的に付き合わなければならない貴方のパートナーなんて無理。それに貴方と駆け落ちも無理です――それこそ実家が潰される」


 惹かれてはいるが、なんて甘い物はまるで無い。本当に俺に興味が無いのだ。



「……もう一度言いますけれど、何よりも貴方に興味が湧かないのは、貴方が一片も私自身に興味を示さなかったから……否定できませんよね? そんな人のために四方敵だらけの境遇は選びません」

 

 ああ今ならば認められる。


 俺はこの女性自身に興味を抱いてない。なのに俺は彼女に自分と同じ土俵に立てと言っているのだ。

 この女性が俺の嫁に求められる基準を満たさずに釣り合わないというのなら、この女性の望む生き方に俺自身も釣り合わない。


 良い悪いとか、どちらがより裕福かなんて関係ない。俺が一族や会社を捨てて、ただの一般市民として生活する方が遥かに楽なぐらいなのだ。

 確かに一族を離れる時には苦労するが、上手く離れてしまえば……少なくとも一生言われ続ける彼女よりは楽だろう……だが俺にそんな気は欠片も無い。


 無論だがそれを責められる謂われはない、だが彼女だって惚れてもいない厄介な男に近付く謂われもないだろう。


 玉の輿に興味が無いなら、手酷く拒絶するしかあるまい。なまじ曖昧な態度で出れば、余計な野心を抱く馬鹿が現れる――そうした彼女の思考を認められはしないが、否定も出来ない。


 



「……ああ、なんて事だ。俺は貴女を見ているつもり……いや最低限、エリィを見ていたつもりが、そのどちらも見ていなかったなんて」


 そうしてそれを見透かされていた。


 目の前の女性に、そうして父母に、だ。


「逃避していたのか、過去に束の間得た幸福に」


 フゥ、吐息を吐いてこの空間を見回した。


「今さらだがここは何処だ? 貴女は魔術か何かを使えるのか」


 背景が土壁色の異空間である。

 いやそう感じているだけでよく分からない。



「……魔術と言う程の物では無いです。エリィも僅かに使えたでしょう? 精神感応的能力を。容姿も性格も違う私をエリィと気が付いたように、オーラと言うかそうしたモノを見るor感じる力。でも普通の人をそんなにハッキリとは感じません。ちょっと雰囲気を普通の人より強く感じられるぐらい」


「でも前世が王子様な貴方だけは強く感じます。多分、貴方と私が前世で似たような魔術を学んだからでしょう。これは貴方の心の中にある疑似空間。そうしてその中に私の魔力と称すべきモノを送り込んだ……そう、この私は疑似人格です。記憶も人格も同じですけれど本体に繋がっていない、この空間が消えた時に消滅する存在。感情すらありません」


 現実世界では向かい合ってくれなかったという訳か。


「またこうした空間を創る事は出来るのか?」


 首を振る女性。


「貴方の二十年使用していなかった魔力を用いていますから。それにこの前に執着心から怨霊と化していた前世の王子様が昇華されました。彼と繋がっていたからこそ僅かずつ貯めていた魔力はもう貯まる充てもありません。これが最期です」


 そうか。俺も彼女に会いに行ってから前世の夢は見ていない。前世の自分が魔力(?)なんて代物を沈殿させていたのか。



「こちらもエリィの夢を見なくなっているので、私の方もこの空間を作った事で多少の魔術めいた力も終わりでしょう。それだって、オーラが見える時もあるとか。特定の人のインナースペースに疑似人格を送り込むなんて、特に使い出があるものでもありませんが」


 特に迷いも無くエリィの残滓を振り捨てるのか。

 いや俺とて前世に振り回された。万の桁の社員の人生を担う気になっていた。だがまだ若造の俺には荷が重くて……。


「では本人はこの空間での記憶は無いのか」


「繋がっていませんから。本人ならこう言うであろう存在ではあります。ですが感情まで完全に再現しきれませんので。本人と完全に同じでもないのです」


 残念なような、ホッとしたような不思議な気持ちだ。

 みっともないところも見せた。だが違うとは言えエリィの心が残っている彼女に俺の想いを知っていて欲しかった気もする。


「結局独り相撲か。だがスッキリはした。何処かで俺が手を差し伸べて幸福にしてあげなければ……なんて思ってもいたが……滑稽だな。望まれるどころか望んですらいないとは。交わらない線だったな。本当に勘違いして強引に事を進めても前世と同じ結末だったろう」


 勘違いと思い込みの果てだ。

 美化しているだけに、理想と違うとすぐ拗ねただろう。


 ましてや比べる相手は封建時代の準貴族の娘だ。従順なのが美徳とされていた、いいや美徳もなにもなく王太子に逆らうなんて思いも出来ない娘であった。


 それと現代に生きる娘を同じに考えたら、理想とズレるのは当然だ。


 その時に気が短い自覚のある俺が我慢できるだろうか。

 首を振って、苦笑する。


 どれだけ視野が狭くなっていたんだか。

 雰囲気に惹かれたのだから、最初に友人付き合いを頼むべきだった。


 最初に生涯の伴侶たるを求めなくても、順当に付き合って互いを見せ合えば、今は考えるまでもない結論をどちらかが選べたかも知れない。


 一足飛びに感情をぶつければ、現実に負けるのは当然だ。

 どう考えても玉の輿狙い所か俺自身を忌避しているのだから。だが上手く付き合えば恋人にはなれなかったとしても恋愛沙汰の絡まない気軽な異性の友人ではいれたかも知れない。

 

 

「……今さらだな」


 そう今さらだ。ましてこの空間が彼女と繋がっていないのなら余計にいやだろう。前世の囲って飼い殺しにした王子様(おとこ)の同類なんかと仲良くしたいわけもない。



「……ク・ク・ク……」


 滑稽だ。自分を厳しく律してきたつもりが、いや律したつもりになって重しを乗せていたから、その重さに耐えられなくなっていった。

 

 誰かに癒やされたかった。沸騰してその誰か(・・)の事なぞ真剣には思いやらなかった。


 

「この前世由来の魔力とやらは消えるのか。すると記憶はどうなる」


 ふと気になった。

 この記憶もすっぱり消えてしまうのかと。

 傲岸不遜を気取りつつ、不安だと夢想に縋り付いていた脆弱な自分を自覚した事は決して悪い事じゃない。




「私もそうですが、すぐに忘れることもないでしょう。ですが実証不明な御伽噺、消えることは無いけれど今のように実感も無くなっていく……本当に夢のようになるでしょう」


 そうして確信のあった前世が、夢幻のように崩れていく。


「だからか、俺が鬱陶しいから」


 魔力とは前世の残り火だろう。

 それが尽きれば、この夢の実在もそれだけ薄くなる。



「私にとっては心地良いとは言えない記憶でも、貴方にとっては忘れられない美しい記憶のようですから。放っておいても一年かそこらで、あやふやになるでしょう。けれど思い詰めていたようですから、燃料を使い切ることにしました」


 そうだな、俺は浮かれていた。逃げ込む場所があると。


「……いいえ、最期ですのであえて言い切りましょう。貴方にとって幸福な夢かも知れませんが、幼児の私にとって紛う事なき悪夢でした」



 先程からその類のことは言われていたが、ハッキリと言われると凹む。


「……なぜ?」


 苦笑を唇に浮かべて俺を見下ろす。

 ――見目麗しい王子様に愛された、美貌の少女の前世――


 物語的にも憧れるシチュエーションだろう。 



「浪漫チックに考えているようですが、強引に関係を結んで、全てから遮断されて王子様を待つだけの日々。子を持つことも許されず出会う人もなければ文も出せず……これを望む女っているのでしょうか? オマケに早死にした理由は避妊薬もあるかもですね……いやこれは穿ち過ぎですが、エリィに子供が生まれる事を許されたのでしょうか」


 否定できない。

 いや子供が生まれたら修道院に放り込むか……殺していたか。良い悪いではなくてそうした時代だった。


 せめて妃に男子が生まれていればともかく、一番先の子供が望まれていたとは思えない。



「エリィはその時代の人だから納得していたようですが、私にとっては冗談じゃない。今世も貴方に比べれば塵芥に過ぎなくても、私だって私なりに生きています。前世の記憶のまま、今の私を無視という事は……ってさっきと同じ事を言う事になりますからもうよしますが」


 そうだ、俺は彼女の立場を何も考えていなかった。

 確かにあの時代の男女ではある程度仕方が無いかもしれない。だが目の前の女性は現代に生きている。


 前世の王子様(おれ)の仕打ちをどうして肯定的にだけ捉えられようか。前世の彼女を望んだという事は、境遇も似たような物を望んだととられても否定できない。


 俺は……とことん馬鹿な勘違いをしていた。


 あるいはあの前世を浪漫チックに考えられる女子もいるかも知れない。だが確認を全くせず前世(まえ)と同じに俺を無条件で受け入れる者と思っていた。


 前世だって否応無く受け容れたに過ぎないのに。




「……落ち着きましたか? もう言い残す事はないようですし、話し合いの時間は終わりです。悔いの残らぬように吐き出したようですので」


 空間に光が差す。もう終わりか。



「……せめて友人に……とは思うが、無理か。貴女は貴女ではないのだから。だが御陰で目が覚めたよ。本当の貴女には機会もないだろう。だから貴女に言おう、せめて幸福に」


 目が覚めたら、目の前にいる女性はこの会話を知らないのだ。


 なら余計な事を言わずに拒絶されて立ち去ろう。


「……貴方も。せめて健やかに過ごせますように」


 記憶のエリィにも似た、でも違う慈しみの笑みを見た気がして、俺は深い満足に包まれる。


 光が過剰に差し、そうしてこの空間は崩壊した。






 目が覚める。


 いや眠ってはいなかったようだし、ほんの一瞬の瞬きの間だったように思う。


 手が伸びかけて、慌てて手を引っ込める。

 俺の記憶は残っているが、向こうにはないようだ。


「……すまない。少し頭を冷やす」


 ここで彼女に何か言うのも無粋だ。

 ただただ、この場を離れたかった。



 家に帰り彼女の経歴を総ざらえする。


 中の上の大学で、それでも一生懸命に理工系の学部の勉強をしている。


「……こんな事も見逃していたのか」


 どう考えても、現状で将来を……なんて言えば四方八方から待ったが掛かるに決まっている。


 そうして思う。彼女では俺の行く道の隣に立てるとは到底思えない事を。



「忘れよう、取り敢えず」


 忌避しなければ何れ交わる事もあるだろう。


 

 俺は自分の学業に専念するために、普段の日常に戻った。






 十年近く過ぎ、20代後半になってしまっていた。


 結局、俺と彼女の通る道が交わる事は無かった。


 彼女は海外の大学院でより専門分野を学ぶために留学した。


 何年か前に帰国して、程々の会社の研究職として就職できたようだ。


 俺は大学半ばでアメリカに留学し、博士号をもぎ取って帰国するつもりだ。


 もう一息という自信がある。


 そこで学生時代の親友の結婚のために一時帰国してきた。



「はい」


 実家に帰宅して一息吐いた俺に、母が資料を渡してきた。




「これは……そうか」


 懐かしい女性の近況の調査書、である。


 就職して同期の男性と付き合い、婚約……目出度く結婚するようだ。


 共働きを選択とか、都内にマンションをもう借りて同棲していると書かれている。


 収入に家格に年齢……全て釣り合いが取れていた。


 ただ一つ釣り合いが取れていないと言えば、相手は美男子とは御世辞にも言えない男である事だ。

 プロフィールを見るに長身だが横にも大きい。


 一瞬ムッとするモノを感じて苦笑する。

 彼女がどんな男を選ぼうが俺が口出しできる事ではない。不幸になりそうなおとこというのならともかく、そうで無いのなら余計なお世話だろう。



「これは」


 調査書のファイルの最期に隠し撮りされた写真が何枚かが挟んであった。


 現在の彼女は順当に綺麗になっている。相手のおとこは太っているが、穏やかで優しそうな男だ。そうして安心と嫉妬を等分に抱いて、最期の彼等のツーショット写真を見つめる。



「……」


 止め処なく涙が流れていく。


 今となっては夢とも(うつつ)ともつかない、彼女の最期に見た笑顔。


 あの笑顔に恋した。記憶の中にあるエリィの笑顔よりも魅力的な笑顔。


 あの後もう一度だけ、今度はエリィではない彼女自身に付き合いを申し込んだが、それは丁寧に断られた。


 もう表情を変える事無く彼女は俺と相対し、全く相手をしてくれずに去って行った。



 あの笑顔を俺に見せてくれる事はないとガムシャラに勉強し、そうして留学までしたのだ。


 だが彼女が自分の婚約者に見せる笑顔は、記憶の何倍も美しい笑顔だった。



 そうした笑顔を見せる相手が出来たか……それが嬉しくて。でも自分じゃないのが悲しくて、ただ涙を流し続けた。



 祝いの電報を送り掛け、お祝いを手渡そうと報告書にあった携帯の番号に掛けかけて、慌てて自制する。


 始まりもしなかった王子様の物語は、序章すら始められなかったあの頃に終わっていたのだ。


 曾ての王子(おれ)が愛した魂を持つ、あの(ひと)の幸福をただ願った。


 外野になってしまった俺に、手を出す事は許されないから、ただただ祈る。


「俺の前世の所為で始めてしまった馬鹿な出来事と、それに振りまわされて始められもしなかった初恋がようやく区切りがついた……俺も相手を探すかね」


 そう言って友人の結婚式に向かう準備を始めた。


 その裏の、あの(ひと)の結婚式に心惹かれながら。






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― 新着の感想 ―
[気になる点] 最期を乱発しているけど、 最期=死に際、命が尽きる時 コイツ何回死ぬんだろ?ってなるw 誤字もそうだけど、同音異義語も気を付けた方が良いですよ
[良い点] たまたまタイトルに引かれて読みましたが、まとまったきれいなお話でした。 他の作品の別視点ですか。 そちらにも興味を持ちましたので、じっくり読ませてもらいます。 [気になる点] 「賢しらげ」…
[一言] 王子母の「余所様のお嬢さんをみすみす不幸にさせたいとも思いません」という台詞が、家格や礼儀作法云々を言うよりも『住む世界が違う』ことを端的に言い表していて、現実味と説得力を感じました。
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