おんぶ
「パパ、戦争に行っちゃうの?」
「あぁ、わたしは騎士だからねぇ」
「いつ帰ってくるの?」
「すぐに帰ってくるさ。だからルリ、エリーを頼むよ」
「うん。ママの分までしっかりする!」
「ごめんよ、二人を残して寂しい思いをさせてしまって」
「ううん、全然平気なの!心配しないで!」
「ふふ、エリーはいい子だ」
頭を撫でられる。
あぁ、この感覚。
大好きだった。
「ねぇルリお姉ちゃん、いつパパは帰ってくるの?」
「エリー、もうすぐ帰ってくるよ」
屋敷のドアが開かれる音がする。
「ほら......えっ、だれ」
「くくく、中々いい屋敷だな」
「い、いや、はなしてぇ!」
「ほほぅ!めっちゃ可愛いではないか」
「ど、どこに連れていかれちゃうのかな、ルリお姉ちゃん」
「わからない、でも何かあったらお姉ちゃんが守ってあげるね!」
「くくく、おまえら、今日から俺様のペットだ。たっぷり可愛がってあげるからね」
こいつは危険だ、エリーを連れてすぐに逃げなきゃ。
「くそっ、どこ行きやがった、まだ何にもできてねぇ、ちくしょう」
「見つけたら、お仕置きしてやる」
「へへ、王都のこんなボロい家に住んでたのか?」
「やっと、みいつけたああああああ!!」
嘘、何で見つかったの、いや、いや、ペットなんて...
「いやぁああああああああっ」
目が覚める、夢だったようだ。
「おい、大丈夫か?」
おんぶされていた。
背中からぎゅっと抱きつく。
筋肉質で体ががっしりしていた。
「ゆ、ゆめ...お、お仕置きされてない、よかったぁ」
辺りはもうすっかり夕焼け空が広がっていた。
それといい匂いがしてくる。
「何を言っているんだ、まぁ丁度いい、着いたから起こそうと思ってたところだ」
ここは......美味しいパン屋さん。
「最後のママテストだ、好きなもんを買え」
おんぶされたまま店に入る。
少し恥ずかしいが、降りたくなかった。
「うん、えっと、それとぉ、あれとぉ、」
パンを指で指していく。
あぁ、あれ美味しかったなぁ。
「こんなに一人で食べるのか?」
「違うの、妹と一緒に食べるの」
エリーにも、この人を紹介してあげたい。
そうだ、お願いしてエリーにもママテストを受けさせてもらおう。
「なるほど、ずる賢いな」
「えへへ」
ぎゅーと体を預けると心地良い。
「さてと...お前の家まで送ってやる、案内しろ」
「えぇっ、いいのぉ!? 」
「またお前を襲う奴が現れるかもしれないしな」
「えへへ、優しね、んーとね、こっち」
「そういえば、ルリ、俺のことだが」
「超越者様だよねぇ? 大叛逆のアーク様?」
「アークでいい」
きっと本物だろう。ずっと体を預けていると、体を通して莫大な魔力を感じ取ることができる。
「黙っててもらえないか? パン買ってあげたからさ」
「私の事も内緒にしてくてたらいいよぉ〜」
私が幻覚魔法を掛けてても、きっとお見通しだろう。
「わかった、お互い内緒だ」
そうしてボロ家に着く。




