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チョロ助

まさか、こんなにチョロいとは思ってなかったよぉ〜。

美味しいお肉を食べさせてもらい、エリーに似合いそうな服を買ってもらうなんて。

今まで出会ってきた中でトップクラスの財力とチョロさを備えてた。

きっとエリーは喜んでくれるはず!

会計を済ませている間、店を出る。

最後にまたあのパン屋さんで何か買ってもらおうっと。

エリーの喜ぶ顔を想像していると、柄の悪い男達に囲まれ話しかけられる。


「おい、てめぇーがルリだな?」


嫌な予感がする。


「い、いえ、違います」


顔を俯ける。


「いや、そいつで間違いないはずだ」


腹を殴られ思いっきり押さえつけられる。

怖い、恐怖で頭が一杯になる。


「かひゅっぅ、う、うぐ、」


無抵抗のまま手足を拘束され、口に布を巻かれ、袋に詰められる。




「へへ、上手く行ったな、そろそろスラムだぜ」



何処かに運ばれている気がする。

さっきの男達の声が聞こえる。


「これで、当分遊んで暮らせるぜ」


「な、なあ、ちょっとだけ味見してもいいかな?」


「だめだめ、だめだろ。傷物にしたら、報酬が減るかもしれねぇ」


「っち、まぁグレッグスに引き渡して他の女を抱くかねぇ」


ま、まさか、あいつ、まだ私を探してたの!?

い、いやっ、どうしよう、このままじゃ......


「おい、そいつを離せ」


動きが止まる。

こ、この声、もしかして、あのチョロ助が!?


「っち、なんでここにカモの旅人が!」


あぁ、助けて!


「おい、カモとはどういうことだ」


「おいおい、あんた自分がカモにされてたのわかってねーのか?」


「なんのことだ」


男達が笑う。


ま、不味いよぉ、このままじゃ、私がチョロ助利用してたのバレちゃう......


「アンタ、このガキに今までいいように金を使わせられてたんだよ!」


肩に掛けた袋を親指で差す。


あぁ、これでチョロ助はもう私のことなんて......


「なぁお前、この事を誰にも話さず、どっかに行けば、命だけは助けてやるぜ」


「黙って聞いて入れば不愉快だな」


えっ、チョロ助? もしかして戦うの?

な、なんで......


「あぁん? やんのかごらぁ?」


うぁっ、いてて。

急に落下してお尻が痛い。どうやら袋が地面に落ちたようだ。

急に視界が明るくなる。

袋の口が開いたようだ。

あれ? どうしたんだろう。


「おい、大丈夫か?」


えっ? な、何が起こってるの?

抱きかかえられ、袋から取りだされる。

そして口の布と、手足を縛っていたロープを解いてもらう。


「怪我はないか?」


四人の男が倒れているのが視界に入る。


い、今の一瞬で!? う、うそ......


「えっ、えと、そのお腹...」


頭が真っ白になる。

そして、服を捲られお腹を見られる。


「痣か、殴られたのか? 痛かったろうに」


痣の部分を摩ると、じんわり暖かくなり、気付けば元通りになっていた。


「立てるか?」


何でそんなに優しくしてくれるの...


「は、はいっ」


頭を撫でられる。


「まだママテストは終わっていない、勝手に何処か行ったから大幅減点だぞ」


その手は分厚くて、硬くて、重みがあった。頼もしく、安心する感覚がし、心地良い。

まるで父親に撫でられているようで、安らぎがあった。


「それと、心配させるな」


心配、してくれた......

心の中で罪悪感が渦を巻く。


「さて、ママテスト再開だ」


えっ、今までの事は....

聞いてなかった筈が無い。

遂に、ダムが決壊する。


「......ごめんなさい」


なんだろう、この感情は.......


「おい、どうした」


「ひぐっ、わ、わたしは...あ、あなたのこと...だ、騙してましたっ」


今まで他の人は平気で、何で今回は......

チョロ助なんて言っていた自分が恥ずかしくなる。


「ぐすっ、ママにっ、なんか、ほんきでっ、なろうとかっ、おもってなくてぇっ」


エリーのことばっか考えてて、自分の事なんて二の次で、明日を生きる為必死で....


「な、なに!? 」


あいつに見つかるか不安で、怖くて、心配で、毎日が毎日が...

こんなに優しくされたら...


「ぐすっ、あなたはっ、しんぱいしてくれた、いい人だからっ、それに、助けてくれたからっ」


今まで近づいた奴は、みんな下心があった。

勿論私はそれを利用した。

だから簡単に騙せるし、もちろんそんな変態に体を許すわけない。

でも、この人はなんか違った......。なんか、全然よくわかんないけど。


「おい、落ち着け」


前から抱きつかれ、背中をさすられる。

もう心の整理が間に合わず、何が何だかわからなくなる。


「わ、わたし、うわぁああああん。ごめんなさいいいいい! だましちゃってぇえええ!!」


顔を胸に押し当て、ぎゅっと抱きつく。

優しい、いい匂いがする。

慈しみを求める。


「はいはい、よしよし」


また頭を撫でられる。

今まで我慢してきた何かが解放された気がした。


「うわあああああああん、こわかったよぉおおおおお」


似たようなものを求める人だったからなの?

なんとなく母性、わかった気がする。


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