ママテスト ②
「おい、あいつらはどこだ」
二人仲間を呼び、計四人のゴロツキが集まる。
「あの店に入って行ったぜ」
高級肉店を指で差す。
よく、貴族や騎士の偉い人なんかが行く店だった。
「あの店に乗り込むのは少し不味いな」
「おい、じゃあどうすんだ」
「外で待ち伏せて、追いかけて隙を付いて拉致するぞ」
「旅人はどうすんだ」
「スラムの方に逃げて、追ってきたらやるしかない。まぁ武器を持ってなさそうだし大丈夫だろ」
「しかし、なんであの店に行ったんだ」
「ルリのやつが誘ったんじゃねえか?」
「カモにされてるのかねえ」
「うーん、美味しかったぁ」
「なかなか食べるな」
こいつにしては多いと思ったんだが、なかなかの食欲だった。
「こんな美味しいお肉なら、幾らでも食べれちゃうよ」
「食べ盛りだな」
それにしても、食べ方が綺麗で、フォークとナイフの使い方が慣れていた。
このことを聞くのは野暮だな。
店を出る。
「おい、どこか行きたい所はあるか?」
ママアピールタイムをくれてやる。
「んーとね、そしたらお洋服屋に行きたいなぁ」
「ならそこに行くか」
「じゃあ、付いてきてね」
ルリが向かったのは、高級ブランド店だった。
ルリがじーっとその店を見ている。
「ここのお洋服で、凄く可愛いのがあって、それを着るのが夢だったんだけど」
「はぁ、言っとくがこれはママテストだ、お前は俺に母性を感じさせなければならないのだ」
「うぇぇっと」
「そしてお前からはまだ少しも母性を感じていないぞ」
「ご、ごめんなさい」
「なぜそこで謝る、俺が欲しいのは謝罪ではなく慈愛だ」
「え、えっと、ママになるからぁ」
「お前など俺のママにいらない」
「が、がんばるからぁ」
「お前に一体何がわかるんだ」
ルリの顔が瞳が赤くなり、今にも泣きそうになる。
しまった、言い過ぎた。
そもそも俺は少女に対し、何を言っているんだ。
「うぅ、うぅ」
「す、すまない」
不味いな、人目が集中している。
「こ、これから頑張る事を約束するなら、買ってやる」
「えっ、本当!? がんばる!」
パッと明るくなり、笑顔になる。
店に入り、高いワンピースを買った。生地も製作者も一流ブランドのものだ。
「や、やったぁ、うれしぃ」
嬉しいか、そうか、俺は寂しい、癒してくれ。
会計を済ませ店を出る。
日没も近くなりつつあった。早くママテストを終わらせなければならない。
おい、あいつはどこだ。
ルリの姿が見当たらない。
ワンピースを渡し、先に店を出て待っていると思っていが、見当たらない。
幻覚魔法が掛かった気配を探り、見つける。
まだ近い、あの狐娘め、大幅減点だぞ。




