ママテスト ①
「お、おい、あの小娘」
「あぁん?...もしかして」
「あぁ、多分間違いない」
「くく、やっと見つけたぜぇ」
柄の悪い男が二人、路地裏で喜ぶ。
「ところで、あの旅人はだれだぁ?」
「さぁ? どうせルリの奴が引っ掛けたカモじゃねえのか?」
「あいつはやっちまうか」
あの旅人は剣を装備していない。魔術師ならば杖を持っているはずだが、武器らしきものが見当たらない。
「俺はあいつらをつけるから、おめえは仲間を呼んでこい」
「わかった、しくじるなよ?」
「お前が、ママだと?」
この子からは母性を感じられない。
「そう! 昔、私はおままごとでママ役をやったことがあるの」
「ふむ、では今日からお前は俺の仮ママだ」
「やった! えぇっとぉ、私はルリ、あなたの名前を教えて」
「アークだ、よろしくな」
「うんっ、よろしくねぇ!」
「じゃあ、今からママテストを行う」
「ママテスト?」
「そうだ、丁度腹も空いたし飯を食べに行く、そこの店でまずママテストだ」
物は試しだ、こいつと一緒にいて少しでも母性を感じたら、まぁ考えてやろう。
「あ、あの、私お金あんまり持ってなくて」
「奢ってやる、付いて来い」
「やったぁー、プププ」
大通りに行き、店を探すこと数十分、良さそうな店を見つける。
「よし、ここにするか」
決めたのは、そこそこの高級店。
「おぉ、結構なところだね」
「まぁ、金ならある」
使徒をぶっ殺して、ついでに信者も片っ端から殺し、金を奪った。
使徒戦の記憶が蘇り、さらに母性を求めたくなる。
あぁ、早く俺の心を誰か癒してくれ。
店に入り、席につく。
ルリは俺の注文した料理と同じものを頼んだ。
「ね、ねぇ、アークさんは旅人だよね?」
さん付けが心に来なかった。これは減点だな。今のお前の持ち点は五十点だ。
「あぁ、ママ探しをしている」
「い、良い人見つかった?」
「だめだ、俺の心にグッとくる人はまだいない」
ブルートの連れを思い出し、羨む。
あいつは良いママを見つけたな。
すると、注文したステーキが来る。
ルリには少し大きいすぎるかも知れない。
「わ、わぁ、こんなに美味しそうな、立派なお肉食べられるなんてぇ」
俺も立派って褒めて欲しいなぁ、いや、俺のやってきたことは褒められることじゃない。
なんか悲しくなってきた、五点減点。




