尾行
夜が明ける。
エリーはまだ寝ているようで、起こさないように支度をする。
昨日食べきれなかったパンを朝食にし、エリーの分も残しておく。
最後に幻覚魔法を掛け家を出て、昨日紹介した宿の近くで、あの男を出待ちする。
「ふぁー、あぁ、いつになったら出てくるのー」
かれこれ二時間近く待ち続けている。
暇だよぉ〜、早くでてきてよぉ〜、
あー、早起きした意味ないよぉ。
さらに一時間経過し、やっと出てきた。
遅すぎるよぉ〜、旅人ってこんな朝遅いの?
尾行を開始し、どこかのタイミングでばったり会うのを見計らう。
そして、またなんか奢ってもらおう。
そんな期待を胸に寄せて、追いかける。
朝っぱらから酒場に入るの?
何するんだろう、ちょっと覗いてみようかな。いやでも、まだバレるわけにはいかないし、うーん。
結局待つことにした。暫くすると酒場から出てきて大通りを行く。
行き着いた先は教会でシスターと話をしている。
何を話しているんだろう。
遠くから聞き耳をたてると、ほんの少し会話の内容が聞こえる。
ぼせ...もとめ...すま...まま...せいか....
聞いていてもよくわからなかった。
それからシスターに渋い顔をされていた。
頭を搔き教会を後にした。
次に向かったのは、雑貨屋だ。
店主のおばさんと会話をしていたら、急におばさんが笑いだす。
旅人の見える範囲の顔が赤くなっていた。
恥ずかしがっているようだ。
雑貨屋を出て今度は薬屋に向かった。
お婆ちゃんと会話しまた笑われる。
しかし案外会話は弾んでいた。
お喋りし、今度は傭兵ギルドに来た。
受付の人と話し合い、困った表情をしていた。それから、屯っていた傭兵に話しかけ、ギルドを後にした。
大通りを外れ、裏路地を進み、治安があまり良くない通りに出る。
そして数分後、奴隷市に近づくところで声を掛けられる。
「ここらは危ないと思うから、近寄らない方がいいぞ」
ば、ばれてた?
ど、どうしよう、まだ収穫が一つもないよぉ
とにかくバレてしまったらからには行くしかない。
「あはは、ば、ばれちゃったぁー」
旅人の近くまで行く。
「き、昨日のパン美味しかったねぇ」
「ああ、で? どうした」
うう、怒ってるのかなぁ、怒ってるよねぇ
もぉぉ、チョロいと思ってたのにぃ
「うぅええっと、い、今まで何してたの? 」
「母性を感じる人を探していたんだ」
母性って、昨日も言ってたよね、一体なんなんだろう
「あなたのお母さん探していたの?」
「まぁ近いがそうではない、俺のママになってくれる人を探していたんだ」
も、もしやこれはチャンス!?
「ささ、帰りな」
「そ、そうしたらさ、私がママになったあげるよ!」




