第一柱 ③
宿を探していた途中、良い匂いが鼻をくすぐる。
この匂いは、パン屋だな、腹も空いたし何か買うか。
店に入ると様々なパンが売られていた。
パンを一通り見て食べたいものを買う。
すると此方を見つめる気配を感じた。
どうやら、少女が店の外から眺めているようだった。
ん? あれは.......
店を出ると、買ったパンを羨ましそうに見ている。
「食べたいのか?」
「....うん」
「なら全部やる」
「えっ、ほ、本当!?」
パンの入った紙袋を少女に投げ渡す。
そして店に入って買い直す。
「なんだ、まだいたのか」
少女が店の外でパンを齧っていた。
「お礼がしたかったの」
「礼などいらん、俺は母性が欲しいのだ」
「母性? よくわからないけどお礼はしなきゃね」
「もう暗い、さっさとお家に帰るんだな」
店から離れる際、後ろから少女のお礼が聞こえる。
「ありがとうございます!!」
ああ、そうだ、この近くの宿を聞いてみるか。
「なぁ、宿を探している。近くにいい所はないか?」
「んーとね、じゃあお礼に宿屋さんに案内するね!」
「案内はいい、場所を教えてくれ」
「えー、案内したいなぁ」
「......はぁ、では案内してくれ」
「うんっ!任せてっ!」
それから数分宿屋に着く。
高そうでも安そうでもない、普通の丁度いい宿だった。
なかなかやるな。
「それじゃ! ばいばーい!」
「気をつけて帰れよ」
「はぁーい!」
......あの子、訳ありなようだな。
宿に入り、部屋を借りる。
部屋はシンプルで机、ベット、シャワーがある。
なかなか素晴らしい普通っぷりだ。
シャワーは水と火の魔石を混合させたもので温水が出る仕組みだった。
今回の宿はバスタブはない。
シャワーを浴び、旅で使っていた石鹸で体を洗う。
それにしても、買ったパンが美味しかった。
きっとあの"獣人"の子も喜ぶだろう。
「プププッ、チョロそうなのみーつけたっ」
まだ暖かいパンを齧りながら裏路地を歩く。
「うーん、こんなに美味しいパンが食べれるなんて久しぶりだよぉ」
あの店はなかなか美味しいと評判だが、どれも普通のパンより随分と高い。
それをこんなに沢山の種類のパンを買えたあの旅の男は気前がいいというレベルではない。
きっと、何かがある。
明日は朝早く、紹介した宿に行き、付け入る計画を立てる。
「ふふーん、早く妹にもこのパンを食べさせてあげたいなぁ」
裏路地を進み、ボロ家に着く。
「ただいまぁ!」
「あっ、ルリねぇちゃんおかえりぃー、なんか凄くいい匂いがするよぉ〜」
白髪の小柄な少女が出迎える。
「んふふ、おいしいパンたくさん貰っちゃった」
羊のようにくるくる巻いた黒い角が二本生えた頭を撫で撫でし、袋を渡す。
先が尖り下向きに生えた耳がピクピク動き、目を細め気持ちようさそうにする。
そして自分に掛かった幻覚魔法を解くと、
頭に茶色い狐耳と、お尻からふさふさの尻尾が生え、髪の毛の色が茶色から黄色に変わる。さらに瞳の色が黒から青に変化する。
「さっ、暖かいうちにたべよぉー」
「うんっ......んー、おいしぃー」
「エリー、もしかしたらまた美味しいものが食べられるかもしれないの」
「えっ! 本当!? 」
「ふふっ、明日も楽しみにしててね!」
それから今日起きた出来事を話す。
ロリロリけもけも




