お家
「おーい、朝だよー、起きなさーい」
「ぬぅ」
朝は苦手だ。
光というか、眩しいのが大の苦手だ。
うつ伏せ状態の俺は目を開けることができなかった。
「あっくん! 起きろー」
背中をさすられ、柔らかい手の感触がする。
さっきから俺を起こそうとしているのはルリママだな。
「俺が起きるの応援してくれぇ...」
「えぇ...もぅ、頑張れ、頑張れ」
「ぐぅぅー」
俺を起こすのにはもうひと押しだな。
「や、やっぱり床じゃ寝づらかったよね...ごめんねあっくん」
昨日、エリーとルリがシャワーを浴びに行った後俺は床ですぐ寝た。
きちんと歯を磨いて寝巻きに着替えた俺はもう何をされても寝る。すぐに俺は深い睡眠をとった。
そして俺はただ起きるのが辛いだけだ。
床の寝心地など関係ない。
「謝罪ではなく...ぐぅぅぅ」
「エリーもあっくん起こすの手伝ってー」
「はーい、起きてくださーい、頑張れぇ〜、頑張れぇ〜」
まったりしていてゆったりしていて、これはいい、寝れる。
「ぐがぁぁぁぁ」
「あぁ! エリー、あっくん寝ちゃった!」
結局俺が起きたのはお昼前だった。
「もー、あっくん! シチュー冷めちゃったじゃん!」
「俺の分のご飯を作ってくれたのか」
嬉しいなぁ、ご飯を作ってもらうのが久しぶりだから感動したぞ。
「ルリが作ったのか?」
机にはパンの残りとシチューが入ったお皿がある。
「そーだよ! ささ、食べて食べて」
初めて女の子に料理作って貰ったぞ。
なんかワクワクしてきちゃったなぁ。そうだ、食べさせてもらおっと。
「食べさせてくれっ」
口を上に向け開き、待機する。
「えぇと...」
暫く沈黙が訪れ口にシチューがついたパンが入ってきた。
「ふむ、美味しい」
食べさせてくれたのはルリか。
エリーはこちらをずっと見つめている。
「あっくんお茶飲む?」
「飲ませてくれっ」
「ぷぷっ、はいはい」
ふふ、中々素晴らしいな、これからどんどんお願いしていこう。
「さて、改めて今日からよろしくな」
「はーい、よろしくね!」
さてさて、ルリが元気よく返事したところで、エリーのママテストでも始めるか。
「じゃエリー、ママテストやるぞー」
「は、はい、え、えと、何すれば良いでしょうか」
「そんなに畏まらないでいい、もっと楽にしてていいぞ」
「...はい」
「ねぇあっくん、私はー?」
「好きにしてていいぞ」
まず俺の寝巻きを脱がせて私服に着替えさせる事にした。
「えー、えーとズボンも脱がせてあげなきゃダメですか?」
少し甘えてみるか。
「だー、やってほちい」
朝食を取るときに考えてたセリフを言う。
「えぇ...」
困惑したエリーに変わってルリが着替えさせてくれた。
「あ、あっくん...本当に甘えん坊さんになりたいんだね」
そうだよ、甘えん坊さんになるんだよ、そしてお前ら今日から俺のママになるんだよ。
「歯磨いてー」
床に仰向けで寝っ転がり口を開いて歯磨きを所望した。
「うーん、手のかかる子ですー」
俺の使っている歯ブラシを手に持って掲げる。
「今日は私が家事しとくね、じゃ、私洗濯してくる」
「え、う、うーん」
ふむ、戸惑いがあるというか、若干引いているというか。
「う、うまくできない」
口の中で俺の歯ブラシが暴れている。
雑ではないのだが不器用で喉にガンガン歯ブラシが突き刺さる。
「お、おぇ、も、もういい、自分でやる」
次からはルリに頼むか。
「ご、ごめんなさい」
「気にするな、得意不得意誰にでもある」
「私、昔から手先が不器用で」
悪気があるわけではないのだから責める気は無い。
「もっと...頑張ります」
落ち込んでいるのか、まぁ無難に励ますか。
「不器用だって構わない、癒しがあれば、母性を感じさせてくれるならそれでいい」
「母性...ですかぁ」
「嫌だったら断ってくれて構わない」
「う、うーん、私なんかが出来ることは少ないと思うけど、精一杯やりますぅ」
「頑張ってくれ」
はぁ、全くなぜ俺が励ましているんだか。
どちらかというと俺は励まして欲しいのだがな。
早く立派なママになってくれ。
申し訳ない




