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ボロ家

はぁ、全く何故俺は、この子をあやして、おんぶしてパン買ってるのだ。

ちょっと、お節介が過ぎているな。

昔から涙に弱かったからなぁ。

いやいや、この子は狙われている身、目の前で女の子一人助けられないのは、俺のポリシーに反する。

あぁ、俺もあやされたい、泣けばいいのか?

今度わざと転んで泣いてみるか、そうだそうしよう。


「着いたよっ!」


やっと着いたか、あー疲れた、主に心が。

しかしボロい家だな、苦労しているのか。


「よっこいしょ」


ルリを降ろす。そこまで重くないが、自然と出てしまった。


「あはは、おじいさんみたい」


「心はもう、瀕死のじじいだ」


このままじゃ死ぬ、心が。


「お疲れ様だよぉ」


頭を撫で撫でしてもらう。

あぁ〜染み渡るこの癒し、ま、まさかこれは母性!?


「あ゛〜、っは!?」


勝手に声が出てしまった、い、一瞬だが、これ程とは...


「お家、上がって欲しいの、今日のお礼と、会わせたい人がいるのー」


「ふむ、いいだろう」


むむ、少し無用心だな。ここら辺は子供だな。そして俺は子供に母性を感じてしまったよ。



家に上がると羊娘が出迎える。


「あれれ、お客様? それにこの匂い、また美味しいパンだ〜」


おっとりした少女だな。こっちは幻覚魔法を掛けていない。

姉妹か?こいつの親は居ないのだろうか。


「妹のエリーよ、で、こっちはアーク、ささ、上がって!」


幻覚魔法魔法は解かれ、元の姿に戻っていた。改めて見たが、尻尾が気持ち良さそうだな。触りたい。


「汚いお家だけどー、ゆっくりしていってねー」


こっちの妹さんは落ち着いてる感じがしていいな。

家に上がると狭かった。

キッチンと寝室、トイレにシャワーの最低限のものしかなく、どれもボロボロだった。

寝室に案内される。

寝室にはベットが一つあり、近くに机がある。

机の近くに座り、くつろぐ。


「エリー、渡したいものがあるの!」


今日買った服を渡した。


「わぁこの服! ずっと欲しかったやつだぁ、ありがとぉお姉ちゃん」


こいつが着るために買ったわけじゃないのか、妹想いのいい姉だな。


「誕生日プレゼントだよ! それにこの服はこの人が買ってくれたんだよ」


「ど、どうもありがとぉ」


「感謝など要らん、癒しをくれ」


さっきみたいに頭撫で撫でしてくれ。

ちょっと後で頼むか。帰り側にさよなら撫で撫で所望。


「そうそう、エリー、アークはねぇ、母性が欲しいらしいの」


「おう」


「母性? 母乳かなんかが飲みたいのぉ?」


「うーん、わかんない、飲みたい?」


「飲みたいか飲みたくないかで言うと飲みたい」


正直飲んでみたい、そもそも母乳はどんな味がするのだろうか。多分幸せな味だろうな。

一度でもいいから飲みたい。


「うーん、私はでないなぁー、お姉ちゃんは?」


「で、でるわけないよぉ」


二人とも胸が 小さいからな。子供だから仕方がないが。だが勘違いしてはならない。母乳だけが母性ではないことを、少女からもしっかり母性は感じられるんだ。ブルートのママもお前らくらいの年齢だった。


「まぁ母乳が全てではない、他にも母性を感じることができるはずだ」


頭を撫でられた時がそうだった。

なんかこう、癒されたような感じがした。


「あ、あのねアーク、私はその、お礼に頑張って母性を感じさせてあげたいの」


「う、嬉しいぞ」


感激した、ルリ、頑張ってくれ、立派なママになってくれ。


「エリー、あなたも今日から一緒にママになるの!」


ママは何人居てもいいものだろうか?

多分一人だと思うんだが、まぁいいか。

いっぱいいた方がその分だけ癒しが...


「お、お姉ちゃんが言うならいいけどぉ...」


「ふむ、ではエリーといったな? お前には明日ママテストを行う」


だが無理はよくないし、嫌なら明日言ってもらおう。


「あっ、エリーは幻覚魔法魔法が使えないの、だからお外に出かけるのは...」


姉だけが幻覚魔法を使えるのか。


「ではお家テストだな、さて用は済んだか?」


そろそろ帰るとするか。


「あっ、まってぇ、その、アーク」


「ん? どうした」


「あの、今日の出来事で...その、良かったらだけど、私達を守って欲しいの」


「お、おねぇちゃん?」


「ああ、わかった」


仕方ない、俺のママになってくれるかもしれない女の子だからな。あんな連中に若い芽を摘まさせはしない。


「本当!? じゃあ今日泊まっていってね!」


「ん?」


おいおい、少女二人しか居ない家に男を泊まらせるのはどうなんだ?


「じゃあアーク、先にシャワー浴びていいよー」


昨日今日会ったばかりの俺に警戒しなさすぎだな、ここは注意をした方がいいだろう。


「いいか? ルリ? 男の人を泊まらせるのにはきちんと注意をしなきゃならないんだぞ?」


そうだ、ここは今後の為、ビシッと言うべきだな。


「ええっ、でも、夜に襲いかかられたら私達......」


確かに言う通りだ。


「だ、だが男の人を簡単に泊まらせるのはその、不味いと思うし、無用心だから...せめて親くらいは一緒にいないとな」


親がいればいいのだがなぁ。


「私達の両親はいないの」


まぁそうだろうとは薄々わかっていた。

死んでいるのか? まぁ聞くのは良くないな。


「ではならなおさら警戒しなくてはならない、何されるかわからないぞ」


世の中物騒なことを子供に伝えなければな。


「アークは私たちを犯すために今まで優しくしてくれた変態さんじゃないんだよね?」


「そんなことない! 俺は乱暴が嫌いだ! ただ俺はママが欲しくて、その、なんだ」


あれ、でもこれ俺変態じゃね?

今俺は、少女に母性を感じようとしている。これが変態と言わずしてなんと言えるのか。あ、じゃあブルートはド変態だな。


「ママが欲しいだけなんだよね?」


「そ、そうだ、誤解しないでくれ」


「ぷぷっ、なら平気だね! 家には取られるようなものは下着くらいしかないし!」


「お、おい」


「あのね、私達はね、アークに守ってってお願いしたんだよ? 」


「今思うが俺なんかでいいのか?」


「うん、私にはアークくらいしかいないの」


「でも、そのなんだ」


な、なんか俺がヘタレみたいだな。いやもうヘタレか。


「大丈夫、ちゃんとそこんところはしっかりわかってるよぉ、アークだから良いんだよ?」


「はぁ、今後はちゃんと気をつけるんだぞ? 」


「うん、わかってるって」


シャワーを浴びに行く。

全く、俺がしっかりしなければならないのになぁ。あれ、違うぞ! 俺は甘えたいのだ! なぜ俺が頑張らきゃならんのだ。ちくしょう。

そう言えば宿に荷物置きっぱだな。


「ルリ、宿に荷物があるから一旦とってくる」


「す、すぐ帰ってきてよぉ?」


「あぁ、わかってる」

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