奇遇
「こいつは俺を虐めていた主犯格の女だ!」等々力はそう言った。彼は驚きのあまり冷や汗をかいていた。そりゃ、そうである。目を覚まして鏡を見れば、自分を虐めていた人の身体がそこにあるのだから。
「何たる偶然。そして皮肉なものだな。」流理は驚きつつも、平然とその言葉を口にした。
「俺はこの女の身体を支配しているのか?ざまあみろ。人を馬鹿にするのは痛い目を見るんだ。」等々力は興奮していた。
「等々力、お前は向こうの事情も十分に理解しているんだろ?案内してくれ。この世を壊滅させようとしているんだ。奴らは。」流理は相変わらず淡々と話す。
「まぁ。少しは分かっている。俺の知る限りじゃ、15の下部団体がそこにはいた。奴らは月帝十五殿軍と呼ばれている。一つの支部でも相当な奴らがいる。到底勝てないと思うがな。」
「私達なら出来る。月から生み出された最後の希望、月光戦士月那の装甲と太陽戦士緋炎の装甲がある。」
「俺を蘇らせたなら何か武装させろよ。暴れさせてくれよ。」
「駄目だ。君は、立派な家の令嬢だ。そんな危険な身に遭わせるわけには行かない。」
「ふざけんなよ!それでもお前、天才科学者なのかよ。折角、蘇らせた俺を戦に出さなくて、令嬢としてのうのうと暮らせって言うのか?冗談じゃねぇ。世界の存亡の危機なんだ。何があっても装甲を作って戦うからな。」
等々力は怒っていた。好戦的な性格では本来無かったが、光莉と香澄の二人の美少女が装甲を纏って闘う姿を憶えていて、引け目を感じたのだろう。
「もうそろそろだな。林田啓優が来るのも。」流理は腕時計を見てそう呟く。大分時間が経っている。気がつくともう朝になっていた。長いようで短いな。この時間というものは。
「啓優様が参られました。」ドアスタッフは、流理に話し掛ける。
「お通ししろ。呉々も失礼の無いようにな。」
「いやぁ、有ヶ崎先生。ホンマ有難うございます。」
「何の何の。そちらこそ御足労有難うございます。」
と言うや否や。
「麗華、待ってたで。兄ちゃんは。」傍から見れば、変態な啓優は抱きつこうとした。
「きゃあ!変態。」等々力は思い切り啓優を叩いてしまった。
「おい!先生!これはどないなっと




