等々力の思い
お久しぶりです。四月から田舎のバスの運行ペースのように更新していきます。よろしくお願いいたします。
「早速だが、解析に移るとしよう。」白衣を着た有ヶ崎はそう呟いた。
何を解析するのかと言うと、等々力の付近に落ちていた宝石である。何の変哲もない宝石だが、二人にとっては死体の埋まったところから生える花のように意義のあるものだと感じた。
「流音さん。こいつはどう思いますか?すぐ近くに宝石があったんですけど。」香澄は有ヶ崎に尋ねた。
「うーん。そうねえ。こいつは思うにブラックボックスみたいなものなんじゃないかな?記憶が入っている知の結晶だと思う。」
等々力は嘗て、女子に散々虐められ続けた過去があった。そしてその憎しみから魔の手によって化け物へと改造させられてしまったのだった。そして、光莉の投げたルナペンダントによって塵となった肉体を見て神が哀れみ記憶や人格を再生させようと結晶を遺したと言うのが、彼女の推測であった。
「まずは、この結晶が何かを知るために物質解析装置を使う。これは物質的にどの物質で構成されているかを調査するための機械。精神的なものは分からない。」彼女はそういった。
「物質的にも調べなきゃいけないんですか?普通に精神的なものだけ調べればいいでしょうに。」俺は、そう口にしてしまった。
「馬鹿ねえ。女の状態で一生暮らしてもらうわよ。多少なりとも分かるじゃないの。海櫻女子高校を拠点に活動する魔物達の様子が。」苛立った様子で、システムエンジニアの有ヶ崎はその宝石を冷蔵庫みたいな所の一番上の台に入れた。
機械音がする。結構うるさい。一秒一秒、1%1%進んでいく。
「何っ!読み込めなくなっただと。畜生!ええい。何か手を打たないといけないわね。これはハッキングなのか!それともコンピュータウイルスにかかったのか。王将が効かねえとは。」彼女は震えていた。こんな危険なファイルだとは予想していなかったからだ。
大概のコンピュータウイルスに対抗できる王将…「Object System from Hacking Oddity(ハッキングする奇人への対抗システム)」を搭載しているコンピュータである。ハッキング用だが今まで100%ウイルスをバスターしてきたシステムは撃沈したようだった。
「畜生、正体が分かれば俺がとっちめてやるのに。」香澄は思わず男人格でそう言った。
「ん?そうか!その手があるか。二人ともこのヘルメットを被ってくれ!」
「うっ…駄目だ。眠くなってゆく。」
二人とも寝てしまった。実は流音が出したのは、夢にVFX効果を混ぜこみ、その中でウイルスやプログラムに対抗してもらう算段であった。




