職工脱出。
ある時でした。
仕事の帰り道、度重なる職工の仕事で意識が曖昧朦朧としてきて、ふらついていました。そんな時にこの出来事は起こったのです。
当時もどうせ疲れてんだろう。騙されているんだろう。そう思いながら進んでいました。
自分には、そんな上手い話があるわけないと。
見えない妖精が見えるのだから。きっとこれは夢だと。
「あの?お兄さん。何か面白いこと披露してよ。」
こぶとり爺さんか何かだろう。きっとうまい事しなかったら何か起こるんじゃないかと思いました。
「あぁ、分かったよ。」
自分じゃそこまで上手いとは思わなかったけど、仲間達からは歌を褒められていた。だから、例によって与作を歌った。
目の前の妖精たちは、自分の歌を熱心に耳を重ねている。
きっとまた、音痴なんだろう。そう思った。
「ねぇねぇ。お兄さん。その歌感動したよ。」
「そうかい?そう露骨に言われちゃ、信じ難いが、嘘ついてないよね。」
「勿論だよ。君は我が世界に来るべきだよ。もっといい扱いをしなきゃ。宝の持ち腐れだよ。」
「そこまで言われるんじゃ。行くしかないわな。少し不安だけど治安は良いのか?」
「おじさん。リフェ イズ アドベンツレ だよ。」
『Life is adventure(ライフ イズ アドベンチャー)』と言いたいのだろうが、妖精は若いせいか英語が分からなかった。
それにしても、アドベンツレとは話さない。きっと英語の概念が伝わらない世界からきたのだろうか。
「あぁ、分かった行けばいいんだろ。」
彼は、暫く貧しい家系に転落していた月野家中興の祖、月野 武蔵であった。