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この子が悪役令嬢?

どうも、王子に啖呵きって控え室に女の子をお姫様抱っこしながら逃げて来た木城紅葉です。

今は女の子の治療中。

実はその女の子。ちゃんとみていなかったから気がつかなかったけど、この子、かなり可愛いんだよね…いや、可愛いというよりは綺麗、かな?

将来かなりの美人さんになるだろうなぁ……少しつり目だけど、そこは顔の良さで気にならない…と言うよりも、凛とした感じがして逆に全体を引き立てている。

そんなことを考えて見惚れていると。

「あ、あの…私の顔に何かついているのでしょうか?」

おずおずと彼女が問いかけて来た。

困惑してるなぁ、まあ当たり前か。

誰だってまじまじと見られていたらそうなるわな。さぁってと…自己紹介しますか。

「私は木城紅葉と言います。貴女は?」

私が名乗ると、彼女は慌てたように口を開く。

「木城!?あっ!わ、私は、小柳真奈こやなぎまなです!申し訳ありませんっ、名乗るのが遅れてしまってっ」

おー…すっごい慌てよう。

とりあえず、落ち着かせよう。

「いえいえ、いいですよ。ほら、落ち着いてください。」

「は、はい…」

まあ、慌てるのも当たり前か。

この国では二番目に権力のある宰相の娘だもんね。そりゃあ、誰でも焦るわ。

…って…小柳真奈…?

それって確か、悪役令嬢の名前じゃ…。

てことは、この子が悪役令嬢!?

こんなふんわりした子が!?

なんで気づかなかったのかって?

だって、ゲーム内の真奈は、高飛車で高貴な雰囲気で…あ、いや…確か本来は違ったんだっけ?ファンブックには裏事情が書いてある。それでは確か、彼女は可哀想な悪役令嬢だった。

彼女には最悪なバッドエンドしかなく、裏事情を知るものは彼女のファンが多くいて、バッドエンドに涙するものが多くいた。

その裏事情とは、彼女は本来、今接している少女がそのまま大きくなったような子でお淑やかで完璧淑女な女性なのだ。

その証拠に、高飛車で高貴なように『演じて』いたとしても、最低な手段は取らず、真っ当な方法でヒロインと敵対する。

容姿は今の容姿と違い、今が金髪セミロングで、耳に桜のピン留めで止めている柔らかな可愛い系だとしたら、ゲームでの容姿は、悪役らしく金髪縦ロールで、煌びやかなものを大量に付けていて、まさに、ザ・高飛車お嬢様なのである。

あの攻略対象たちのせいでこの子が悪役しなくちゃならなくなったんだよね…。詳細は今後出てくるだろうから省くけど、基本的に私は攻略対象たちが嫌いだ。

だから、私は私でこの子を助けたいから助けよう。

と、このような思考を五分で素早くしていた私に、真奈が心配そうな顔で口を開いた。

「紅葉さm「紅葉。」……紅葉s「紅葉。」……紅葉。」

「そう、それでいいんです。二人きりのときは呼び捨てにしてくださいね。」

様付けしようとしたので遮って呼び捨てにさせる。様付けってなんかむず痒いんだよねぇ。馴れ馴れしいかもしれないが、断固譲らない!

「それで、なんですか?そんな心配そうな顔をして。」

「その…ごめんなさい…。」

?なんでいきなり謝……あーもしかしてさっきのことか。王子に啖呵きった件。

「気にしないでください。大丈夫ですから。それに、私がやりたくてやっただけですので。」

これは本心。

彼女は別に助けを求めたわけではなく、勝手に私が動いただけなのだから。

私のその言葉を聞いた彼女は、少しだけ間を開けた後。

「ありがとう、ございます…」

花が咲き誇ったように満面の笑みを浮かべる真奈。私はその笑顔に魅了され、気付けば私も滅多に浮かべない満面の笑みとまではいかないものの、小さい微笑を浮かべていた。

彼女はそれにびっくりした様子で、そして、少しだけ赤くなってから、微笑んだ。

「それでは、丁度迎えも来たようですし、帰りますね。」

そう、今丁度うちに使える召使が私を呼びに来ていたのだ。

「あ、私の方も来たようなので途中まで一緒にいませんか?」

「いいですよ。それでは、エスコートさせていただきます。」

そして出した私の手を、彼女は微笑みながら手に取った。

これから、いろんなことがあるだろう。

だけど、決して私の大切なものを傷つけさせやしない。絶対に守り通してみせる。

………どんな手を使ってでも、絶対に。

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