王子の下につくのはやめた
どうも、今しがたあの性悪王子と別れた木城紅葉です。
今は疲れたと父…宰相の木城聡に告げ、了承をもらった上でホールの隅っこでお菓子やら飲み物やらを食し、会場を眺めていた。
………にしても、頭痛い……。
はぁ………ん?
うっわぁ……あんなの邪魔だろうに。
今私は盛大に呆れている。
なぜかって?そりゃあ、目の前のでっかい子供の塊みれば誰しも思うだろうね。
その塊はな何か……うん、王子とその取り巻きどもだね
はぁ…邪魔くさ……他の見よーっと
「きゃっ!」
………ん?
振り返ると、取り巻きの輪のそばで、一人の女の子がうずくまっていた。
足でもひねったのか?まあ、どうでも…ん?
…あの子、さっき見た時にあの輪にいなかったはずだ
てことは……
「あなた邪魔よ!」「なにそんなとこでうずくまってるの!」「真守様の邪魔になるから何処かへ行きなさいな!」
「あなたーーー「ちょっと失礼」…えっ?」
ちょっとだけ見ていたが、この子はおそらく取り巻きどもに弾き飛ばされたんだろう
それなのに、真守は止まったがつまらなそうに見下しており、女たちは罵倒…ふざけてんのか
この時、私の中のなにかが『ぶちっ』とちぎれた
「「「え…?ぶちっ…??」」」
王子とその取り巻きどもが首を傾げているがどうでもいい
女の子に近寄り、「失礼します」と言って、?を浮かべた女の子を抱き上げる。
お姫様抱っこで。
こんな行動に私が出ると思ってなかったのか、周りの大人たちも、真守も、その取り巻きどもも、ぽかんと呆気にとられ、女の子は驚いていたが、徐々に理解して行ったらしく、どんどん顔が朱色に染まる。
そして、それを見渡した私は…
「…この方には、控え室に連れて行き、そこで休んでもらいます。……それで、王子」
いきなり呼ばれ、呆然としたままに私をみる真守…覚悟はできているだろうな?
そう考えながらも口を開く
「怪我している方を突っ立って見ているだけ、しかも、令嬢たちの言葉も制止せず、ただただ見てるだけなんて……最低ですね。私は、そんな人の下につきたくありません。ですから、貴方につくつもりはもう毛頭無いので、他を探してください。それでは」
冷徹で感情の無い瞳で王子に告げた後、踵を返し、歩いていく。
後ろがなにか騒がしいが、知ったこっちゃない。そして私はすべてを無視して控え室へ足を進めた。