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来世は必ず。

作者: しゔぃる
掲載日:2025/10/10

_今すぐこいつを殺してやりたい。

涙が目に溜まるほど、感情が昂ぶる。

でも、身体は動かない。

いつもより狭い気がする視界で、血が滴り落ちているナイフを持つ右手と、腰が抜けた様子で座り込み、青ざめた顔で僕を呼ぶ君の姿を見る。

あぁ、どうすれば僕は、君を護れるのか。

ほら、泣いてないで。今すぐ逃げて。


僕は最後の力を振り絞って、目の前の男の身体にしがみついた。

「…ぜったいに、ぼくが、まも_」

僕のか細い声は途中で、途切れた。



「…続いてのニュースです。先月発生した、市民駅通り魔事件の容疑者が、新たな供述をしたことが明らかになりました。なお、この事件では三名の被害者のうち、2名が死亡しており、1名は意識不明の重体でしたが、先日奇跡的に_」


リモコンをテレビに向け、スイッチを押してニュースの声を遮る。

僕は真っ白な天井を見ながら考える。

「なぜ、僕だけが生きているのか」

目が覚めてしまってから、ずっとそれだけが頭を占めている。

薬を飲んでいても痛む腹部の刺し傷が、僕は生きているのだと、見たくもない現実を突きつける。

現実から逃げる様に目を瞑ると、脳裏に浮かぶ、君の笑顔。


あの日は、彼女の両親に初めて会うはずの日だった。

緊張する僕に、君は

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ

私の自慢の恋人だもん!」

と言って、にこにこと楽しそうに笑った。


また、あの笑顔が見たいな。退院できたら君に_

あぁ、君にはもう、会えないのか。

頬に冷たいものが伝う。

僕は、君を護れなかった。

ごめん。

僕があの日、もっと違う行動をしていれば、君は今も生きていたかもしれないのに。

謝りたくても届かない。


でも、大丈夫。

今から、君とおんなじ所に、僕も行くから。

やっと一人で歩けるようになるまで回復したんだ。


死後の世界ってどんなだろう。

真っ暗なのかな、それとも天国みたいな感じ?

来世ってあるのかな。


君とまた、会えるかな。

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