来世は必ず。
_今すぐこいつを殺してやりたい。
涙が目に溜まるほど、感情が昂ぶる。
でも、身体は動かない。
いつもより狭い気がする視界で、血が滴り落ちているナイフを持つ右手と、腰が抜けた様子で座り込み、青ざめた顔で僕を呼ぶ君の姿を見る。
あぁ、どうすれば僕は、君を護れるのか。
ほら、泣いてないで。今すぐ逃げて。
僕は最後の力を振り絞って、目の前の男の身体にしがみついた。
「…ぜったいに、ぼくが、まも_」
僕のか細い声は途中で、途切れた。
「…続いてのニュースです。先月発生した、市民駅通り魔事件の容疑者が、新たな供述をしたことが明らかになりました。なお、この事件では三名の被害者のうち、2名が死亡しており、1名は意識不明の重体でしたが、先日奇跡的に_」
リモコンをテレビに向け、スイッチを押してニュースの声を遮る。
僕は真っ白な天井を見ながら考える。
「なぜ、僕だけが生きているのか」
目が覚めてしまってから、ずっとそれだけが頭を占めている。
薬を飲んでいても痛む腹部の刺し傷が、僕は生きているのだと、見たくもない現実を突きつける。
現実から逃げる様に目を瞑ると、脳裏に浮かぶ、君の笑顔。
あの日は、彼女の両親に初めて会うはずの日だった。
緊張する僕に、君は
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ
私の自慢の恋人だもん!」
と言って、にこにこと楽しそうに笑った。
また、あの笑顔が見たいな。退院できたら君に_
あぁ、君にはもう、会えないのか。
頬に冷たいものが伝う。
僕は、君を護れなかった。
ごめん。
僕があの日、もっと違う行動をしていれば、君は今も生きていたかもしれないのに。
謝りたくても届かない。
でも、大丈夫。
今から、君とおんなじ所に、僕も行くから。
やっと一人で歩けるようになるまで回復したんだ。
死後の世界ってどんなだろう。
真っ暗なのかな、それとも天国みたいな感じ?
来世ってあるのかな。
君とまた、会えるかな。




