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行かないで  作者: 遠藤 敦子
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 あれから4人のLINEグループでは誰も何も発言しなくなった。私が個人的に送ったLINEにも、美結ちゃんからの返信は来ていない。既読マークがついていないので、見てすらいないのだ。しかしブロックされている様子はない。私はもういいやと半ば諦めていた。


「中寺美結の彼氏です。美結はもうあなたたちとは関わりたくないと言っています。もう深入りしてこないでください」

 ある日、美結ちゃんから4人のLINEグループにメッセージが来る。気づけば美結ちゃんは4人のLINEグループから退会していた。彼氏が書いているので本当に美結ちゃん本人の気持ちかどうかはわからない。あの彼氏は危なそうな感じがしたので、もし美結ちゃんに何かあったらと思うと私は気が気ではなかったのだ。

 関わらないでと本人が言っているのなら……ーー。私の中にはその気持ちもあったけれど、彼氏と何かあったのではないかと心配だった。なつめや専門学校の友達と遊んだり、アルバイトしたりして日々を過ごす。それでも美結ちゃんのことが毎日頭から離れなかった。



「もしもし沓澤? 今公園に来られるか? 中寺が大変なんだ……!」

 律から切羽詰まった様子で電話がかかってくる。律は公園で美結ちゃんが彼氏から暴力を受けているのを見てしまい、110番通報して新村くんにも助けを求めたという。私はすぐに公園に駆けつけ、同じタイミングで新村くんもやってきた。

「おい、お前何やってんだ!」

 律が2人の間に入って止めようとすると、美結ちゃんの彼氏が

「お前が川上律か? 年上に向かってなんだその口の聞き方は……!」

 と律の胸倉を掴む。それを見ていた新村くんがさらに止めに入った。美結ちゃんは後ろで涙を流しながら恐怖で震え、体育座りでうずくまっている。彼氏はやってきた警察官に連行され、現行犯逮捕された。


「……美結ちゃん、会えて良かった。ずっと心配してたよ」

 私が声をかけると、美結ちゃんは

「川上に……玲奈ちゃん? 梛もなんでここに……?」

 と驚いている。

「たまたま通りがかったら中寺が彼氏に殴られてるのを見てしまって。俺が沓澤と新村も呼んだんだ」

 律が口を開く。美結ちゃんの様子を見ていて、このまま放置してはいけないと思ったらしい。

「ごめんなさい……。私あの日、川上と玲奈ちゃんにひどいこと言った……。梛には好きじゃなくなったって言って傷つけてしまった……。なのにどうして……?」

 美結ちゃんは涙を流し、声を震わせていた。みんなにひどいこと言って傷つけて申し訳ないと、ずっと思っていたという。

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