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行かないで  作者: 遠藤 敦子
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 5日後、美結ちゃんから再び電話が来る。話を聞くと、新村くんと別れたという報告だった。心なしか美結ちゃんの声が弾んでいる感じだったので、美結ちゃんとしては新村くんと別れられてスッキリしたのだろうと思う。


 ある日、私はアルバイト先から退勤して帰宅途中だった。授業終わりの律とばったり遭遇し、途中まで話しながら歩いていた。

「……あれ中寺じゃない? 横の男の人、誰? 新村は?」

 律が見つけたのは、新村くんではない男性と腕を組んで仲良さそうに歩く美結ちゃんだ。その男性はハーフっぽい感じの金髪で、タトゥーも見える位置に入っている。私はあの人が美結ちゃんの新しい彼氏だと確信した。

「あ、美結ちゃん! そのひと新しい彼氏さん?」

 私は美結ちゃんに声をかけ、訊いてみる。美結ちゃんは嬉しそうに新しい彼氏について教えてくれた。

「そうそう! 梛と別れて傷心の時にバーで知り合って付き合ったの」

 美結ちゃんの新しい彼氏は31歳で、私たちより12歳年上だ。半年前に元奥さんと結婚して11ヶ月で離婚したけれど、子どもはいないそう。そんなバツイチの彼に美結ちゃんは「大人の余裕」を感じるらしい。ところが、彼は私に向かってこっそりと

「君可愛いね。美結の友達? 美結に内緒で俺とデートしない?」

 と言ってきた。もちろん丁重にお断りしたけれど。このひとはやめておいた方が良いと思い、私は美結ちゃんに

「この彼氏さんはやめといた方が良いと思う……。子どもはいなくても、1年持たずに離婚してるのも気になるし……」

 と言う。律も美結ちゃんに忠告した。

「さっき沓澤に、『可愛いね。美結に内緒でデートしない?』って声かけてたの聞いてしまって……。悪いけど俺、こういう姑息な男は嫌いなんだ。中寺と付き合ってるのにそれは誠実じゃない気がして」

「……あっそ。なんでみんな彼のこと悪く言うの? 彼の何がわかるの? 玲奈ちゃんと川上なら応援してくれるって思ってたのに! 気分悪いしもう行くわ」

 美結ちゃんは怒り出してしまい、新しい彼氏の手を引いて立ち去っていく。律と私はその場で呆然と立ち尽くした。


「美結ちゃん、昨日はあんなこと言ってごめんね。誤解とかないようにちゃんと会って話したいんだけど、時間とれるかな……? 美結ちゃんのタイミングでいいし、また連絡待ってるね。ずっとずっと大好きだよ」

 私は美結ちゃんに謝罪と会って話したいことをLINEで送る。ブロックされてはいないし、美結ちゃんは4人のLINEグループからの退会もしていない。けれど数日経っても彼女からの返事はなかった。

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