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行かないで  作者: 遠藤 敦子
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 12月になり全員の進路が決まる。私は行きたかった専門学校へ、美結ちゃんは短大に進むことになった。律は公募推薦で有名私立大学へ、新村くんは指定校推薦で中堅私立大学への進学が決まったのだ。

 美結ちゃんと一緒に帰っていた時、このように打ち明けられる。

「新村ぜったい私のこと好きかなって思ってて、別にタイプじゃないからスルーしてたんだけど、私も新村のこと気になり始めて……」

 私はようやく美結ちゃんが新村くんの好意に気付けたような気がして、新村くんに報告したい気持ちに駆られる。けれどここで仲が壊れるのも嫌だったので、報告しないでおこうと思ったのだ。

「新村くんなら美結ちゃんのこと幸せにしてくれると思うよ。頑張って」

 と私は美結ちゃんに言った。新村くんは良い人だし美結ちゃんにとって良い彼氏になりそうだと思ったのだ。1月以降はあまり学校に行くことがないので、卒業式で集まった時に話を聞こうと考えていた。

 新村くんは美結ちゃんの好みに合わせようと、野球部を引退してからずっと髪を伸ばし続けていたという。もともと坊主だった彼が結構長いこと髪を伸ばしていたので、クラスメイトも

「え? 新村? 誰かと思った」

「カツオでもマルコメでもなくなってるじゃん」

 と言っていたほどだ。そんな新村くんは卒業式で美結ちゃんに告白すると、私にこっそりLINEで教えてきた。私は心の中で応援していたのだ。



 卒業式を迎え、私たちは高校を卒業する。新村くんと美結ちゃんが手を繋いで私と律のところに駆け寄ってきた。

「実は俺たち、今日から付き合うことになりましたー!」

 新村くんが笑顔で報告し、美結ちゃんは

「ちょっと梛、声でかいって!」

 と静止する。この2人なら良いカップルになりそうだと私は確信した。

「玲奈ちゃんと川上も一緒にファミレスでご飯食べてカラオケ行かない?」

 美結ちゃんに誘われ、私たちは4人でファミリーレストランでご飯を食べてカラオケに行くことになる。ファミリーレストランではポテト、唐揚げ、ピザ、パスタ、ドリンクバーを注文し、2時間くらい語り合った。

「……それで、どっちから告白したの?」

 私が訊くと、新村くんが照れ臭そうに「俺です……」と手を挙げる。私は「彼氏かあ、いいな」と美結ちゃんに言ったけれど、美結ちゃん本人は恥ずかしそうに笑っていた。一方で律はというと、黙々とポテトを食べながら話を聞いている。

 二次会でカラオケに行き、私たちはいろいろな曲を歌った。流行りの曲から懐かしい曲まで様々だ。カラオケボックスにも2時間くらいいて、私が家に着いたのは17時だった。

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