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行かないで  作者: 遠藤 敦子
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「えー、2年では玲奈(れな)とクラス離れちゃうのかあ……」

 1年生の時に同じクラスだった友人の塩田(しおた)なつめはため息をつきながら言った。なつめが1組で私が5組なので端と端になり、教室の場所も離れてしまうことになる。

「私もなつめと離れるのショックすぎるわ……。でも昼休みとかに1組に遊びに行くしLINEも続けようね」

 私がそう言うと、なつめはホッとした表情を見せた。そしてなつめは1組、私は5組の教室に戻る。最初はみんな適当に空いた場所に座っていたけれど、40代の男性担任教師の一声で席替えをすることになる。周りは知らない人ばかりで緊張していたものの、そうは言っていられなかった。


 席替えをし、私は川上(かわかみ)(りつ)という男子の隣の席になる。川上くんは無口で大人しいひとという印象だったけれど、音楽の話になると熱く語るひとだった。前の席には中寺(なかでら)美結(みゆう)という女子がいたけれど、中寺さんは巻き下ろししたロングヘアが印象的な今時っぽい女の子だ。

 私の斜め前で中寺さんの隣にいる男子は新村(にいむら)(なぎ)という男子だけれど、新村くんは生粋の野球少年で坊主頭が特徴的だった。新村くんの明るい性格もあり、一部の男子からはサザエさんのカツオにちなんで「カツオ」、味噌のキャラクターにちなんで「マルコメ」と呼ばれている。私は新村くんが嫌がっていないか気になっていたけれど、新村くんは「おいカツオ!」「マルコメ〜」という呼びかけに「おう、なんだ」と笑いながら返事していた。


沓澤(くつざわ)玲奈(れな)といいます。部活は茶道部です。本を読むのが好きです。よろしくお願いします」

 1人ずつ自己紹介をすることになり、ついに私の番がやってくる。緊張していたのでこれだけしか言えなかったのが悔しい。次は中寺さんの番になったけれど、彼女は

「中寺美結です。ナンシーちゃんって呼んでください。よろしくお願いします」

 と言っていた。中寺の「な」からもじってナンシーになったのだろうか、と私は考える。なんでナンシーなのか気になってしまった。

「中寺さんってなんでナンシーなの?」

 休み時間になり、私は中寺さんにナンシーの由来を聞いてみた。すると彼女は

「あ、美結でいいよ。私中学の頃ナンシーちゃんって呼ばれてたんだけど、中学の友達と1年の時に同じクラスになって、それでみんなナンシーちゃんって呼ぶようになったの」

 と話してくれる。やはり由来は私が思っていた通り、なかでら→な→ナンシーちゃんとなったらしい。ナンシーちゃんこと美結ちゃんは怖そうな印象だったけれど、話してみたら面白かった。私と美結ちゃんが仲良くなるのに時間はかからなかったのだ。

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