第4話 初任務
ズカズカと人のパーソナリティスペースに入ってくるディスタ瑠香は私の世話をとにかく焼いてくれた
「バスタオルここに置いとくよ。」「お風呂の入浴剤肌に大丈夫?」など細かな配慮までしてくれる。第一印象としてうるさい人だと思った。でも気がとにかく利くし困ったことがあったら聞きやすいしさっき思ったことを後悔している。お礼を言いたいけど言いずらい。コミュ障って単語を知ってるがこういう時を指すのだなと実感するのであった。かろうじて声を出そうと
「あああ、ああありいりりりり」
「どうした何かあった何でも言って」
かえって気を使われてしまうダメだ諦めよう。風呂から上がるとディスタが「んっ」と瓶を差し出してきた。これはもしやメジャーな飲み物飲料
「牛乳だよおいしいよ」
そうよく仮想物語の定番な飲み物。これが牛乳か実在するとは思わなかった。ためらいながらも一気一気と飲み干していく。んっなんか不快な匂いんんん~「ゴホゴホごㇹ」耐えられず思わず吹き出す
「ハハハハハ~ちょ、ちょっと鼻、鼻から牛乳が飛び出しているよ。
もう笑わせないでプハーケラケラだ、ダメ面白い面白すぎるんですけど」
何か羞恥のあまり顔面蒼白でどうしよう今すぐこの場から逃げ出したい気持ちになるんだが仮想物語の気持ちが痛いほど分かってしまうのが辛い。ここは基地の事務室の奥にあるお風呂だ。私はそこで汗だくになった体を洗い終わったのちディスタと事務室の方へ向かうと4人の同僚が立って待機していた。
「先輩隊員を待たせるとは器のでかさに感服する」
嫌味を言ってきたのは上陸地から案内してくれた男の人だった。しかし先ほどは2人きりで混乱してたこともあり少し態度が悪かったと反省している。こうして冷静に考えてみれば熊から助けてもらったり分かりずらいが疲れてるとき励ましの言葉なんかもあったような感じで結構気を使ってくれた。だからこの場では
「えっと何ですか目の熊の人」
「人の気にしてるコンプレックスを堂々とついてくるんじゃない」
しゅんとしたように落ち込んだ口調で言ってくる
何と怒らせてしまったコミュニケーションとは難しい
「プププーいいぞもっと言ってやれ。このやさぐれ男に足が臭いぞとか息が臭いとか」
そう煽るのはディスタ瑠香だった。
「お前はもう少しオブラートに包む嗜みとかはないのか」
こちらはガチ切れときたものだ
「君が今日付で赴任してきた香神ミオさんだねよろしく僕は新海海斗と申します。」
えっ何この仮想物語で人気が出そうな名前は
私の胸がなんかドキドキする。そういえば端正な顔立ちを見た異性はこのように思うという。”イケメン”とおっとそのイケメンの後ろから黒い物体が
「越前リーです。よろしくです」
一言の挨拶だったがとても暗い人だなと思ってしまう。改めて第一印象は大事だ対してかかわりのない人ほど必要なスキルになっていく。すると私の頭にチョップが
「お前な先に先輩が挨拶をしているんだぞ。何か思うことはないのか俺だったら肩身が狭くて気まずいことになるんだが」
長い説教が始まると思った私はこの話題を回避しようと
「えーとそういうあなたのお名前は何ですか。目の怖い人」
「日野マルだ。一応ここの隊長をしている。」
「どうも私の名前は香神ミオと申します。よろしくお願いいたします皆さんと目の熊の人」
「あああんそろそろ温厚な俺でも激怒りしてもいいってことでしょうかね。一応個々の駐屯地で隊長なんだぞ!少しは敬う気持ちはないのか」
強い語気で話すがそこにディスタ瑠香が割り込んで
「全然うち等は気にしてないよ。うちの隊長はだらしないのに細かいんだよね。ちなみにあたいは逆らいまくってるよ。集合時間は遅刻しまくってるし。ゴミ当番は隊長に押し付けてるし」
「ほう自分の役割を反省せずに開き直るとはお仕置きが必要なようだな。」
「んーはっ」
「マル様大変申し訳ありません。この愚か者のわたしめに天罰をお与えくださいませ。」
先ほどの口調からは似ても似つかぬ態度に背筋が凍ってしまった。
「罰として腕立てスクワット各150回だ。足を曲げるなよ」
「かしこまりました。ご主人様」
なんていうか言葉の節々に日野マルの性癖が反映されている気がする。疑わしい目をしているときそれを察した新海が説明してくれる。
「マルさんはね人体実験施設の出身でね。そこで得た能力が人格の改変といって例えばディスタ瑠香は反抗的ー従順的に変えさせたのさ。あの人の意志によって発動される感じだね」
何それ仮想心をくすぐる能力なんですけど私もぜひその能力が欲しいんですけどいや・・・裏を返せば頭のおかしい能力だな。それに人体実験施設?外界の闇を感じるな
「まあ歓迎会は追々するとして香神初任務だ俺と来い」
えっなんかやな予感がするんですけど
「貞操の危機があるんで遠慮願いたいのですが」
「ホント俺の事なんだと思ってんのいいから来い」
こうして私は日野隊長の命により初任務を迎えるのであった。
つづく