第3話 現実に生き続ける覚悟
私の目の前いる男は疲れているような顔で睨みつけてるような感じがする。がん見しようものならさらにきつい顔で返すかのような状況が容易に想像できた。深い沈黙の後男はため息交じりに
「ついてこい事務所に案内してやる」
「えっ事務所もしかして寝食も兼ねてますか?」
「ハア、、、事務所の隣に寮がある。お前には今日からそこで生活をしてもらう。しかしやけにおかしな質問をする奴だな。質問のTPOが分かってないね」
「TPO・・・・とは?何かおかしなことを言いましたか?」
「まあいいオレは人とあまりしゃべるのが好きじゃねえんだ。話は終わりだ歩くぞ」
私は何かを怒らせたのか全く理解できなかった。妙な不安を覚えながら歩いて事務所とやらに向かうのだった。
歩けど歩けど樹木に囲まれた風景しか見えなかった。同じ景色に脳内が飽き飽きしている思考の最中背筋の凍る生き物を目撃してしまう。それは過去、現在、未来と我々の生存を天秤にかけている存在といえよう。食うか食われるか肉眼戦ではまず勝てない。コミュニティにいたときはどこか遠い世界の物語のように他人事として見ていた。なんなら恐怖より憧れの方が勝っていたと胸張って言えよう。
ーーーーー熊だ
「ああああ」
「・・・・・・・」
私は恐怖という感情よりも先行してとにかく動けなかった。なぜなら慌てふためいても状況が変わるはずもないだろう。いろんな不安な情報なんかに惑わされて結局何になる。だったら何も考えない方がよっぽど理にかなってるだろう。なんて考えてると同僚は熊の前に何かを投げた
慌てふためいて熊は私が思考停止していると同時に逃げて行った。ぽかんとしてる私に対して呆れた顔で
「爆竹だよ」と間髪入れず続けて
「あの熊は人間を無理に襲うほど飢えているわけではない。刺激しあわなければ通り過ぎたぞ。お前が大きな声を上げるからだ」
「このご時世だ。人間なんかよりも熊の方が食べ物や数なんかが裕福なんてこともあったりしてな」
「って無反応じゃねえか・・たく・・・?なんだよ」
「いえよく舌の回る口だなと思いまして」
「お前さっきからふざけたことを言いやがって、心の広いオレでも限度ってのがあるんだがそこのところ事務所に着いたらいっぺん分からせちゃる来い」
心の広い人はそんなことは言わない。迫る同僚に背負い投げを決め込む
「何しやがる。何もしてねえし何もする気はないんだよ。いきなり暴力なんてするんじゃない。か弱い人のことを少しは考えなさい。」
「私に手を出そうとしたんじゃ」
「自意識過剰にもほどがあるぞ。半径50センチに近づいたら誰これかまわず攻撃をするのか。君は」
「すみません、ここに来る前にあなたと同じような顔の人に迫られてしまって・・・・」
「!!ッ・・そ、そうかそれは大変だったな。悪かった・・・」
強制的にしり込みする男に違和感を覚えながらもまあ謝れたので悪い気がしない。実は悪い人ではないのだろうか。
「じゃあ行くか」と歩み寄りをかけるがそれは半径50センチだ。みぞうちを喰らわせるのは次の瞬間だった。
◇
「凶暴にもほどがあるだろ。親とかにどういう教育をされてきたんだ」
「私に親はいません」
少女はどこか引っかかった表情でそう答える琴線にでも触れたか?まあとにかくこれ以上関わるのは危険だが少し引っ張り出した意欲にかられ
「人口出産か」
「あんな生気のない人たちと一緒にしないでください。私にも感情くらいあります。」
ん~そうかとこれまでの発言が首を傾げそうになるのをこらえて歩き始める
例の少女はまだ3キロも歩いてないのに息が乱れまくってる。おいおいこれくらいのことで先が思いやられるな。だから強制隊員は雇いたくはないんだ。まあ雇用主は複雑な組織が決めて流れ着いた先がここということで・・・・しかも更生施設で施設長に暴力を振るってここに送られたのだとか力は強いのにもかかわらず体力はないってどういう了見だ。
「何を見てるんですか。まさかこの期に及んで私を狙って」
「ああもうそういう自信はどこから湧き上がってくるんだ。もうすぐ着くから檄を飛ばそうとしただけだっての。まず人の話を聞け」
チョロチョロしてて落ち着きがない無理もないか今まで暇すら管理してくれるとこにいたんだからな。まあ少しばかりこちらも歩み寄って
「とにかく歩けなくなったら少し休憩をしようか?」
「もしかして動けなくなった隙をついて襲おうと」
「人聞きの悪いことを言うな。俺が何を言っても敵認定何ですかそうですかどうせ俺は目つきの悪いし言葉遣いもキツイし部下から避けられてるよ。言ってて悲しくなる」
「何ですか?同情を誘っているのですか」
「もうええわだめだこりゃ」
◇
私はとにかく唖然とした。病院や施設も独特の建物だったが事務所別名駐屯所は一言で言って
「狭い まるであなたの心のように」
「君は俺の悪口を常に言わないとだめなのか」
ガラガラ中に入るそこに2人の女性が立っていた。金髪のウェーブかかった髪型にひし形ピアスを付けている。服装はラフな黒ワイシャツにネクタイ上着はトレントコートを着こなしていた。
もう一人はミディアムヘアーの髪型に頭のてっぺんがアホ毛があり容姿は幼く見える。白衣を直用して下にニットベストを着ている。身体的特徴として胸が・・・・何だろうこの嫉妬に近い感情なのだろうか
「あ・・・あのう」
「あーしはディスタ瑠香よろしくこの娘はタレット直美新隊員が入ってくるなんて夢みたいだよ。」
何か動揺が広がるそんな予感がするのであった。
つづく