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支配者の黙示録  作者: 白神零
第1章『統一国家レギオン編』
3/3

第一幕『悪魔侵入』



名前:久遠渚

能力:『風車(カザグルマ)

種族:人間・覚醒者

武器:鉄扇・小太刀

所属:『神の簒奪人』

称号:『神の簒奪人・祭り人』


名前:柊翔也

能力:『不死鳥』

種族:人間・覚醒者

武器:『聖剣オルドーラ』『魔剣コートルス』

所属:『神の簒奪人』

称号:『神の簒奪人・不死鳥』


名前:天月優菜

能力:『雷霆の神権』

種族:人間・超越者

武器:『神刀・村雨』(大太刀)

所属:『月華法国』

称号:『超越者・雷霆者』『月華法国の守護者』



___________



統一国家レギオン 学園都市クリステラ



そこは、『統括政府』管理の研究所跡…そこには、『統括政府』の『警備局員』が集まり…今にも突入しようとしていた

自動小銃を携えた隊員がそこに立っている女性に近づいていく

「『菜々様』…突入準備が整いました」

その女性は桐崎菜々…白神零直属の『執行官』の1人だ

「よし…合図と同時に突入…被疑者を制圧し、研究データを確保する」

「「「「了解」」」」

菜々が合図を出すと…警備局員が建物の中に突入していく

彼女もその隊員達に続いて中に入っていく…が既にもぬけの殻だった

「ちっ…」

「菜々様…」

「情報が漏れていたのかしら…」

「それはあり得ません…『統括政府』の内部に内通者など…」

「まぁいいわ…被疑者の行方などに関する情報を探しなさい」

「「「「了解!」」」」

菜々は最奥部に入り…コンピュータを操作し、情報が消されていることを確認する

「やっぱり…無いか」

菜々は用はないとでも言うかのように踵を返し建物から出ていく




________



統一国家レギオン 商業都市テリート



「入国審査厳しいのに…こんな簡単でいいもんかねぇ」

その少年…柊翔也は呟く

「まぁそんなもんじゃな〜い?変装無しで入ってきたら速攻で捕まるだろうけど…自信があるんだよ…司君も言ってたじゃん」

「自信…ねぇ」

「早く終わらせよ…こんな小物のために私たちの時間が浪費されるなんてやだ〜」

「小物って…まぁそうだな」

その瞬間…二人はバラバラの方向に走り出し…あっという間にその姿が消える



_____


統一国家レギオン 学園都市クリステラ

『統括政府』の本拠地 『神樹の塔(ユグドラシルタワー)



零の書斎には…零、シャイン、パンドラ、ジキルが桐崎菜々の報告を聞いていた

「____…以上が報告です」

「こんな小物に…お前の手を煩わせて悪かったな…」

「そのロッドという男は何者なんですか?」

「…彼は学園都市クリステラの学校の教師だった男でな…同時に研究者でもあった…その研究内容は『科学帝国』との合同研究だった…だが、突如ロッドとの連絡が取れなくなったと『科学帝国』の連絡官から報告があり…調査をさせていた…」

「研究内容のデータを全て持っていなくなったのですか?」

菜々が少し驚くように零に聞く

「そうらしい…」

その時…部屋のドアが開く

「零様!大変です!」

「どうした?」

「…学園都市内に…『悪魔族』が確認されました!」

菜々の通信機に声が入る

『菜々様!悪魔__が__れ_!やめっ____』

「どうした!」

菜々が零の方を見る

「菜々…僕も行く…」

零はパンドラとシャインとジキルに命じる

「お前達は『美波』の安全確保を優先しろ」

「「「了解!」」」



零と菜々は騒然としている現場の研究所に現れる

そこには…警備局の隊員達を殺している悪魔が三体居た

「悪魔族か」

その姿は人間と大差ないが…内包している邪悪なオーラは比にもならない

その悪魔達の内の2体は零と菜々を威嚇するように腕を鋭い刃のように変える

三体の内…最も大きいオーラの持ち主が呟く

「邪魔者を排除せよ…『優哉』様のご命令だ」

その瞬間…2体の悪魔達が動き出し…零と菜々に襲い掛かる


零は『絶対障壁』を展開し、自らと菜々を2体の悪魔から護る

「相手をして欲しいそうだ…菜々」

「お任せください…零様」

菜々は『氷』で長剣を創造する

彼女は回転斬りで2体の悪魔の注意を引き付ける

菜々は2体の悪魔を相手取り…とても嬉しそうに笑う


そして、そこには…零と指示を下した悪魔が残る

「あの人間に…悪魔を2体も押さえて置けるとでも?」

「…お前には彼女が人間に見えているのか?」

零の問いに…悪魔は疑問を抱くが…振り払い…漆黒の剣を手に召喚する

「上位の悪魔だな…だが喜べ…僕は『悪魔族』が大嫌いだ…僕の前に現れた悪魔は…全員殺す」

零はその悪魔の間合いに踏み込む…悪魔の眼には『神帝眼』に『神印』が浮かんだ瞳だけが映る

その瞬間…凄まじい衝撃が悪魔に走り…横方向に吹っ飛ばされる

「さぁ…『悪魔狩り』の時間だ」


_____


学園都市クリステラ 路地裏


男は走っている…

この男の名前はロッド=スコール…学園都市の研究者である

彼は内通者として『神の簒奪人』に情報を流していた

だが、自身の発明の成果を悪用する為に全てを裏切り…逃亡を図った

しかし、今…彼は追われている

彼の前に…少女が降り立つ

「どこまで逃げるつもりなの?」

「…久遠渚…」

そして、男の後ろに…少年が降り立つ

「鬼ごっこはここまでだ…」

「柊翔也まで…随分な過剰戦力だな」

「それだけのことをしたって事じゃない?」

ロッドは2人を鼻で笑う

「この発明は貴様らに渡さない」

彼は自身の持っているUSBメモリを忍ばせているポケットの手を当てる

「俺たちは発明にもう興味はない…お前は始末しろと命じられている」

柊翔也は『聖剣』と『魔剣』を召喚する

「僕がここまで逃げてきたのは…お前達をここに誘き寄せるためだ…ここは…僕の取引相手との待ち合わせ場所だからね」

その瞬間…純白の騎士が降りてきて翔也に斬り掛かる

「お前…」

その騎士が翔也を押さえつけ…渚にも斬り掛かる

渚は鉄扇でその攻撃を防ぐが…渚もその騎士の正体に気づく

騎士の姿が消えると、ロッドを庇うように翔也と渚の前に立つ

「お前のことは知ってる…『魔導国家ベネティアス』の魔法騎士」

騎士は仮面を外して横に投げる

「私も君たちのことは知っているよ…『神の簒奪人』という…私たちの崇高な目的の邪魔をする愚者だ…でも、礼儀として…自己紹介くらいはしてあげる…私は『白色原典』エーテル=メイクラウド…よろしくする必要はないよ…君たちはここで死ぬから」

彼女がそう言うと…エーテルの部下2名が現れる

「渚…俺があの女を殺る」

「分かった…」

渚は部下の騎士の方に向かう

エーテルはその姿を横目に…柊翔也を見つめる

「悪魔の気配もある…早々に終わらせるよ」

彼女の姿が光に同化して消える…その瞬間…翔也は二本の剣で突如現れたエーテルの攻撃を防ぐ

「これくらいは受けれるよね…そうでなくちゃ」

エーテルの姿が一瞬で翔也の背後に移動する

「張り合いがない」


その直ぐ近くでは…2人の魔法騎士が久遠渚に斬り掛かっている姿がある

「(部隊長クラスが2人…柊も『白色原典』が相手じゃ私だけでこの2人を殺るしかないよね)」

渚は鉄扇閉じ…魔法騎士の攻撃を弾く

「気配を悟られる前に…方をつけるけど…悪く思わないでよね」




___________________


悪魔族は『魔界』に住まう種族である

故に『現世』に現れる際には肉体を持たず、『魔力』によって影のような姿を生み出して姿を表す

菜々の相手をしている2体の悪魔は影のような姿で顔などをはっきりと視認できないが、下級の悪魔はこれが普通だ

しかし、その強さは人間の能力者であっても…上位者でなければ苦戦するぐらいの強さだ


菜々は零の戦闘を邪魔しないように2体の悪魔を誘導するように戦っている

2体の悪魔は統制の取れた動きで菜々に襲い掛かるが、菜々の創造した『天氷』によってその動きを阻まれる

悪魔の放った斬撃が建物を斬る…菜々はその様子を見て舌打ちする

「零様の創った国に傷をつけるなぁ!」

菜々の髪が青白くなっていき…瞳が蒼く光る

彼女が地面に手を付くと…『天氷』が地面から棘のように飛び出し…2体の悪魔を完全に消滅させる

「…あ…やり過ぎちゃった…まぁ良いか…『人間』の方が『悪魔族』よりマシって言葉…本当だったね…零様」

その視線の先には、悪魔と戦っていた零が映っている

「妙な気配がする…零様の権能で…周囲への影響が無いからってこの国で変なことして欲しく無いなぁ」

菜々の光る瞳は…少し離れた場所で戦っている集団に向けられる



「『氷結覇気』」

零から放出される覇気が襲いかかる悪魔を跳ね除ける

「(この人間は何なのだ…何故…上位の悪魔である私を圧倒するなど…!…まさか、この国の…『神の使徒』なのか…)」

その時…菜々の攻撃で部下の悪魔が消滅する

「ありえない…上位悪魔になりかけていた悪魔なのだぞ!」

「悪魔に違いはない…悪魔は全て下賤で愚かだ…」

その悪魔は…持っていた剣を再び握り締める

しかし、その腕は…零によって斬り飛ばされる

「お前は『優哉様』と言ったな…お前達を呼び出した召喚主のことだろう…そいつは何処だ」

「…知らない…あの男は私たちに何でも良いから騒ぎを起こすように言った…」

「陽動か…」



その様子を遠くのビルの屋上から見ている男がいた

その男は…召喚主…『時神優哉』だった

「あれはもう無理か…だが、面白い力を持っている様だな…」

その瞳には…零達を中心に薄く景色がぼやける様な結界がドーム状に広がっている光景が写っている

「『全能』の権能によって、他の神から奪った権能か…だが、思い知らせてやる…最強は…」

優哉の瞳に特異な紋章が浮かび上がる

「俺だ…お前に超えられるものか…」

『何をするつもりだ…『クロノス』』

「お前は俺の中で…大人しく見ているが良い…『超越者』などと人間に祭り上げられた存在だが、俺の受肉体として有効活用してやる」



菜々が零に近づく

「どうしますか?」

「『優哉』という人物を探し出す…虱潰しに…」

「では…『執行官』たちに?」

「あぁ…パンドラとシャインが居れば美波の護衛は充分だ…侵入者を僕の前に連れて来い」

「了解」

菜々の姿が消える

零は『神帝』を引き抜く

「また僕に歯向かうのか…人間風情が…」

零が『神帝』を軽く振ると…その悪魔は斬り刻まれて消滅する

「面白い…『超越者』が…僕の国を陥せると勘違いしたか…」




__________________



『魔導国家ベネティアス』…その名を知らぬ者は居ない

『創世』後…本歴成立から存在していたという大国だ

『魔導国家』には、『魔法院』と呼ばれる組織が運営を行っている

その最上位権力者が『七色原典』の『無色原典』である


『白色原典』エーテル=メイクラウドは…『無色原典』の次に高い権力を有する『魔法院 法執行者』である

その実力は神の使徒と同格程度であると言われている

エーテルは柊翔也の周囲を高速で動く

彼女は『霊剣』に『霊力』を纏わせる

その斬撃を柊は双剣によって受けるが…『聖剣』『魔剣』特有の力は『霊力』によって相殺され…受け切れずに後ろに飛ばされる

「ここまでやるかよ」

エーテルは高速移動を解除し、柊の方を見る

「流石は『覚醒者』…中々出来るね…でも、私程じゃない」



渚は2人の魔法騎士の攻撃を交わし…エーテルと翔也の戦いを見ている

「(翔也でも無理そうかな…覚醒して数年も経ってないし…流石に『術式覚醒』してる彼女には勝てないよね〜)」

渚は鉄扇で竜巻を生み出し…2人の魔法騎士を壁に叩きつける

「それに比べて…君たち…弱いね」

渚が指を鳴らすと、光で型取られた刃によって2人の魔法騎士を殺す

彼女の眼は…青ざめているロッドに向かう

「何?私が戦闘を苦手にしていると思った?」

ロッドに近づいていく渚の行手をエーテルが阻む

「させないよ…渚」

「エーテル…邪魔しないでよ…何で彼を守るの?」

「彼が…私たちの崇高な目的を達成する為の…鍵になるからだよ」

「目的…ね」

「渚…あなたも分かっているでしょう…この国の…『神』の計画を」

「何の話?」

その瞬間…その場にいた人間が認識する間もなく…エーテルが壁に叩きつけられる

そこには…『神帝』を携えた零がいた

「『魔導国家』の虫まで入り込んでいたか…」

エーテルは目を見開く

「白神…零!」

「僕は彼女の理想とする世界を創る…その為の計画だ…邪魔はさせない!」

零の姿は目で追えない速さでエーテルに接近し、零の放った斬撃はエーテルを吹き飛ばし…壁に穴を開けていく

「四、五ブロックてところだな…まだ5%も力を使っていないんだがな…」

零の『神帝眼』はロッドを捉える

「うわぁぁぁ!」

ロッドは逃げていく

柊と渚は零の圧倒的なまでの覇気を前に動けない

「流石は『覚醒者』…気配を辿れなくする手段は用意していたか」

零はエーテルが気配を絶った事を確認して『神帝』を収納する

「『神の簒奪人』…ここは見逃してやる…消えろ」

2人はその言葉を皮切りにいなくなる

零は通信機を起動する

「僕だ…ロッド=スコールを全域指名手配…殺害もやむなしとする」

『了解』

零は通信機を切り…空を見上げる

「邪魔はさせない」



__________________



冥界


その玉座に…『冥王 ヴェリアル』が座っている

「…ウェレアスが消滅した…我が眷属が欠けた…やってくれたじゃないか…『ゼロ』」

ヴェリアルは立ち上がり…『門』を出現させる

「あの女…クロノスの計画に我が眷属を利用するとは…」




____



統一国家レギオン 先進都市ゼクス



先進都市ゼクスと学園都市クリステラの都市境に着物姿の女性が立っている

その腰には大太刀を携えている

「…時神優哉の反応は…ここか…何でここに」





名前:時神優哉

能力:『?????』

種族:人間・超越者

武器:『時雨』

所属:『月華法国』

称号:『超越者・時法者』『月華法国の守護者』






次回予告


『時神優哉』がついに動き出す…彼の目的は…『白神零』を殺す事


複数の勢力の思惑が絡み合い…この物語の決着を歪めていく

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